FNMNL (フェノメナル)

写真家・寺沢美遊の個展がソウルで開催

写真家・寺沢美遊の個展『BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR』が、本日11/14(木)より韓国・ソウルのスペース「CORD」にて開催される。

これまでFNMNLをはじめとしたメディアや広告、書籍、ミュージシャンとの写真制作を行い、エッセイの執筆、DJ、ラップグループ「嫁入りランド」への参加など、多岐にわたる活動を展開してきた寺沢。2021年には東京のギャラリーLAID BUGで個展『UNOWNED』を開催し、自動車を被写体に、都市生活者の視点から“所有”と“非所有”の関係性を提示した。

今回の個展『BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR』でも、自動車が主な被写体である。2024年に訪れた韓国・聖水洞で目にした、雑然と置かれた事故車たち――ひしゃげたボディや割れたガラス、むき出しになった内部構造のフェティッシュな魅力、それらが日常生活の延長として存在する風景から、彼女は日本の都市部では見られない韓国特有のエスニシティを感じることができる。また、彼女が偶然目にした「MDPOPE」(人間の本能や禁忌に触れる過激なシーンを集めた映像シリーズ)や、約3年間にわたるメンタルヘルスの問題もインスピレーションの一部となっている。

こうした経験を通じて、自動車という代替的な被写体に本能的な関心を置き換え、写真に収めるアイデアにたどり着いた。長い時間をかけてこれらと向き合うなかで、「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」というタイトルには、事故車のように修理をして再生可能でありたいという願いや肯定的な提言が込められている。

展示では、写真作品に加え、本個展のために制作されたZINEと、寺沢が自ら選曲・ミックスをしたミックステープ『E-400』も披露される。このミックステープには、彼女自身や両親との記憶をセルフカウンセリング的に振り返り、選ばれた曲が収録されている。展示の内容同様、これも彼女が求めるポジティブなイニシエーションとしての意味合いを持つだろう。今展では、写真展示、印刷物、音楽作品といったさまざまな角度から、彼女の独自の視座を体感できるだろう。

展示場所の「CORD」は宇宙万物の元スタッフカン・ミングがオーナーを務める乙支路の新しいスペース。ZINEの編集・デザインはKazuma Ogata、ミックステープのマスタリングはRei Taguchi (Saidera Mastering)が行い、展示に寄せたテキストを高橋圭太が執筆した。

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