東京を拠点に活動するDJ/プロデューサーのD.J.G.O.が、ゲットーハウスを全面に押し出したアルバム『鳥人間 (RED_DISK1)』、『鳥人間 (YELLOW_DISK2)』をKool Switch Worksより2枚同時リリースした。
Kool Switch WorksはPharakami Sandersにより運営され、日本国内のゲットーミュージック、ジューク/フットワーク、エレクトロシーンを牽引しているレーベル。本作『鳥人間』は、D.J.G.O.のクラブミュージック原体験である90年代ゲットーハウスに対する愛情をストレートに表現した作品となる。
アートワークはTSMTが手掛けている。
Sauceman名義でリリースした、あと6年後ぐらいに(おそらく)世界的にも評価されるであろう、ウェイトレスな抜け感と気まぐれのようなベースラインがグルーヴを弛緩する、エレクトロニック・ミュージック史における、もっとも痙攣に近い付録こと“鳥”シリーズ (※下記参照) から3年、D.J.G.O.名義や同じくSauceman名義でのAiwabeatsとの共作を経て、ここにさらにD.J.G.O.名義として、“鳥”からの着地を試みた2作のアルバム『鳥人間』の“RED”と“YELLOW”をリリース。
リリースは前述の作品をリリースしているKOOL SWITCH WORKSより。
ジューク未満にバウンシーなタメを訊かせたエレクトロ・ファンク「Ufoe In This House」にはじまり、偉大なる故ポール・ジョンソンのスタイルを人情で笑わせたハウス・トラック「Laugh Laugh」、そして意外にもドリーミーに終わる『鳥人間 RED DISK1』、そして伝統のパーコレーター・スタイル「濾過器(ROKAKI)」から、スキャットとゲットー・ファンクが軽やかに交叉する「Twu Twu」、さらにはもろもろあって割愛するオオネタがさらにこだまする後半(というか全体的に)の『鳥人間 (YELLOW DISK2)』。
彼の地のなまりにも似たゲットー・ハウスのグルーヴも援用しつつ、独自過ぎる取っかかりを備えたここまで空っぽに楽しく鳴り響く振動音は、どこか彼の人なつっこいその笑顔と、時折見せる不安な表情を想起する、そんなファンクとリズムのエレクトロニックでファンタジックな交差点。
『鳥人間』もまた、あと7年後ぐらいにおそらく、数多ある世界のオーパーツ的な音楽として一部で評価され、あのDJやあのDJまでもがプレイ、ついには4曲だけをフィーチャーしてアナログ・リリースへというのもおそらく既定路線。しかしその4曲以外が重要な曲ということも考えられますので、その前に、いま、すべてを聴くことをオススメします。(河村祐介)
Info
鳥人間 - D.J.G.O.
【鳥人間 RED_DISK1】
1.Ufoe In This House
2.JUST DO IT
3.Boom Crash
4.GO FREAKS GO
5.Laugh Laugh
6.Tatta-Ra
7.Baby Make Your Sound
8.Skinny Dippin' (Bonus Track)
koolswitchworks.bandcamp.com/album/red-disk1
【鳥人間 YELLOW_DISK2】
1.濾過器(ROKAKI)
2.Work Dirt feat. DJ SEKIS
3.Twu Twu
4.COWBELL
5.Fire Clapper
6.Parappa Para
7.Doopee Dopa
8.Bomb Born Bone
9.IMAGE ULTIMET BEST (Bonus Track)
koolswitchworks.bandcamp.com/album/yellow-disk2
artwork created by TSMT