アメリカやカナダをはじめ多くの国で合法化が進み、また医療的価値も徐々に認められるなど世界的な見直しが進むマリファナ。そのような状況の中、国連が大麻を「最も危険な薬物」リストから除外したことが報じられている。
NPRによると今週水曜、国連麻薬委員会は「最も危険な薬物」を意味するカテゴリー「スケジュールIV」から大麻を除外することを決定。「スケジュールIV」にはヘロインやオピオイドといったドラッグがリストアップされ、「非常に中毒性が高く、乱用の可能性が高い」と考えられている物質がここに入れられる。
今回の投票は大麻をスケジュールIVから削除するようWHOと薬物依存に関する専門家委員会が勧告したことに端を発しており、国連麻薬委員会の53名のうち賛成27票、反対25票、棄権1票という僅差で可決された。この決定により、今後マリファナの法的規制の緩和や、医療目的での研究の前進が期待されている。
WHOは「マリファナには副作用があり、依存症を引き起こす可能性がある」と指摘しながらも、「痛みや吐き気を軽減し、食欲不振、てんかん、多発性硬化症といった症状を緩和する」との利点を挙げ、またオピオイドとは異なり重大な死亡リスクが無いことも指摘。「大麻と大麻樹脂をスケジュールIVに含めることは、スケジュールIVに入れるべき薬物の基準と一致していない」との見解を示した。
しかし、今回の決定後も大麻は「スケジュールI」のカテゴリーに基づく規制対象としての制限は継続する。国際薬物政策コンソーシアムのエグゼクティブディレクターであるアン・フォーダム氏は「我々は、大麻が医薬品であるという長い間の認識を歓迎します。しかしこの改革だけでは、大麻が国際的に不適切なレベルに分類されたままであることを考えると、十分とは言えません」との声明を発表している。
また、アメリカも今回の投票に賛成票を投じたことが明らかになっているが、一方で国務省の広報担当者は「この問題に対するスタンスは規制物質法の下での大麻の状態を変えるものではない」との姿勢を固めている。
いずれにせよ、世界的な大麻を巡る議論における着実な前進の一歩である今回の決定。これを受けて、ここ日本でも今後マリファナの合法化に向けた議論がより活発化すれば何よりだろう。