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Geniusが歌詞の不正利用疑惑を巡るGoogleとの裁判に敗訴

現在のラップやポップミュージックのファンにとっては重要なツールの一つとなっているGenius。単に歌詞を確認するにとどまらず、その裏側に隠された意味なども知ることが出来るありがたいサービスだが、そんなGeniusがGoogleとの裁判に敗れたことが報じられている。

Complexが報じるところによると、Geniusは昨年後半に、同サイトのコンテンツをGoogleとカナダの歌詞検索サービスLyricFindが無償または表示無しに不正利用していると主張、裁判を起こした。Geniusのサイト内にある歌詞にはいわゆる「電子透かし」が仕様されており、それを根拠にGoogleの検索結果ページに表示される歌詞がGeniusのコンテンツを流用したものであることが判別出来たという。

Geniusの「電子透かし」は曲中のアポストロフィーマークの形状を特定の順番で変化させており、それをモールス信号として解釈すると「REDHANDED(現行犯)」と読むことが出来る、という暗号をサイト内に仕込んでいたようだ。

Googleらによる不正利用疑惑に対し、Genius側は最低5000万ドル(約53億円)の損害賠償を要求。しかしGoogle側は疑惑を否定し、「これらの歌詞のソースとなるウェブサイトをプログラムに検索させたり、流用したことは無い」と主張していた。曰く、検索結果として表示される歌詞はプロバイダーから直接入手したもので、定期的に新しい歌詞や修正を受けて更新される仕組みとなっているとのこと。

そして今週月曜日、ニューヨーク州東部連邦裁判所のMargo K. Brodie判事は「Geniusは歌詞の著作権を所有しておらず、オリジナルの著作権所有者のみが二次的著作物を認可する排他的な権利を持っていることが判例で明らかになっている」としてGenius側の訴訟を棄却。GoogleとLyricFindがGenius内のコンテンツを流用することは著作権法の範疇に収まる行為であり、またGenius側がGoogleによる二次的著作物の不正利用を主張するということ自体が、著作権法で定められるところの著作権所有者の排他的権利を侵害する行為であるとの見解も示された。

確かにGeniusに掲載された歌詞の権利は本来アーティスト側が所有するものであるため、Geniusがその権利を主張することは妥当ではないという裁判所の判断も理解することは出来る。しかし、Googleや他の歌詞検索サービスがGeniusに掲載されたものを流用していたという主張が本当だったとすれば、倫理的に少なからず後味の悪さが残る判決であったとも言える。

歌詞という創作物の扱いについて、音楽ファンにとっても考えさせられるニュースであった。

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