みなさまご無沙汰しております、ハカセです。気づけばもう2019も終わり、2020を迎えようとしております。今年一年どうでしたでしょうか?
一年のまとめってことで、たまにはスケート以外のことも書こうかなとか思ったんですが・・・つい先日、今年の『SOTY』(スケーターオブザイヤー)なるものが決まったばかりなんで、なんだかんだやっぱりスケボーネタで2019ラストコラムを書いていきたいと思います。
文:hakase
写真:Ryosuke Yuasa
えーとまずこの『SOTY』、スケーターなら大体聞いたことあるかと思うのですが、スケーターじゃない人はなんじゃそりゃ?って感じかと思うので簡単に説明いたします。
『SOTY』とは、1981年に創刊されたかの有名なスケートボードマガジンTHRASHERにより毎年選ばれる、一年間を通して最も「ヤバかった」スケーターに贈られる賞(?)の事。
その歴史は1990年からスタートし、過去にはゲームでおなじみトニーホーク様、LAのピザ屋PIZZANISTA!のサルマンアガー、万里の長城を飛んじゃったダニーウェイなどのレジェンドから、近年ではFUCKING AWESOMEを引っ張るアンソニーバンエンゲレンや、SUPREMEでおなじみの大将、タイショーンジョーンズなんかも選ばれており、メンツを見ただけでハンパなスケーターでは選ばれない事がおわかりいただけるかと思います。
では今年のSOTYは一体誰になったかっていいますと、こちら。
アルゼンチン人のミルトンマルチネスさん!
「・・・誰?」ってかんじの人も多かったのではと思います。ルックスも・・・笑
実はこの『SOTY』、「今年は絶対アイツだ!」、「いやアイツに決まりでしょ!」っていう視聴者の予想をいい意味で裏切ってくるのも特徴であります。
今年スケーターみんなが予想していたのは大体この2人だったような?
adidasからもシグネチャーモデルをリリースし、プロスケーターとして活躍しながらもNYの大学院にも通っていた文武両道、正確無比超絶スキルスケーター、マークスチュウさんと
ブラジリアン特有の強靭なバネとスキル、CHUNKYなシューズとバギーなスタイルで2000年前後なフレイバー全開。コアなスケーターから熱狂的な支持を集めた、まさに今をときめくティアゴレモスさん。
以上の2人はそれぞれ紹介した動画で今年全世界のスケーターにハンパない衝撃を与えました。公開された次の日から、「あれ見た?やばくない?」「あのトリックをあそこで〜・・・」「マークだ!」「いやティアゴでしょ!」、なんて会話があちこちから聞こえてきました。
しかしそんな最有力2人をぶっちぎって『SOTY』に選ばれたきっかけとなったミルトンさんのジゴスパーク、いや地獄パートがこちら。
そもそもTHRASHERのTHRASHという言葉には、激しく打つ、相手を打ち負かす、という意味があるそうです。ミルトンさん、まさにスラッシャー、いやスラッッッシィアァァァァーッッッッ!!!!です。
約9分間もの長さの間に何回も死ねます。そんなシネマっす。玉ヒュンの連続を重ね、ブチこけても立ち上がり、ラストトリックはあのマークゴンザレスも散った事で有名なLAのスケート世界遺産、カーウォッシュバンクにフリップイン。(このトリックはスラッシャー12月号の表紙にもなりました)
冒頭に登場するのはスラッシャーの元名物編集長であり、惜しくも今年3月に他界した、ジェイクフェルプス氏。スラッシャーを作ってきた漢もミルトンさんのスケートを気に入っていたのではないでしょうか。
しかしそもそもミルトンさん、このパートを出すまでは知る人ぞ知るスケーターといいますか、花形イケメンオシャレスケーターとはかけ離れたとこでひたすらスケボーしてますな感じで、あまり有名&人気ではありませんでした。それゆえ「SOTY誰だと思う?」話題にもあまり名前が上がらなかったように思います。
でも実はここにこそ、『SOTY』に選ばれた訳があるように思うのです。なんかこの人のスケートを見ていると、ただひたすらやりたいことをやってるだけというか、「これをやったら『SOTY』になれるはずだ!!」って思って滑ってなさそうというか。
危険なスポットの数々も、誰よりも危ないことをすれば認められるとかじゃなく、ただただ己の限界に挑戦しているだけというか・・・。
ステータスやお金のためじゃなく、ただただスケートボーディングそのものに忠実な姿勢、それこそが『SOTY』に選ばれた1番の理由な気がしています。そしてそんな彼を『SOTY』に選ぶ事で、THRASHERは世界中のスケーターにTHRASHERの想うスケートボーディングのあるべき姿を提示しているように思えるのです。
来る2020年はオリンピックでスケートボードが競技として開催されます。日本人が金メダルを獲得することも夢ではないと期待が高まっております。では果たして日本人が『SOTY』に選ばれる日は来るのでしょうか???神のみぞ知る・・・。
さてここで突然ですが番宣です。来る2020年1月25日、私ハカセも所属するdiaspora skateboards初のフルレングス映像作品の試写会を渋谷wwwx様で行います。
なんだかんだ制作に5年も費やしてしまいました。その間様々な出来事がありました。若かったメンバーもいつしか30代に突入、結婚、出産を経て昔のようにスケボーばっかしてるわけにもいかなくなりました。
それでも自分達なりに自分達の思い描くスケートボードの理想を表現するために活動を続け、ついに発表できる日を迎えようとしています。この映像をきっかけに、僕がミルトンさんを見て感じたような何かを、見にきてくれた人達にも感じていただければなと思います。
それではみなさん、1月25日に会いましょう〜!良いお年を!
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PROFILE
hakase
長野県出身。Diaspora Skateboardsのメンバー。あだ名のhakaseは、詳しい方の博士ではなく、ひょっこりひょうたん島の同名キャラクターが由来。