今から11年前の2008年6月、アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルス北部にあるUniversal Studios Hollywoodで大規模な火災が起こった。『Back to the Future』や『宇宙戦争』などで使われたセットをはじめ、ビデオテープや映画フィルムを収蔵する倉庫1棟が全焼するなどの被害に見舞われたUniversal Studios Hollywoodだが、実はこの火災により、多くの著名アーティストのマスターレコードが焼失していたことが明らかになった。
今週火曜日に発行されたThe New York Timesによると、Eminemや50 Cent、2Pacなどのマスターレコードが上記の火災に巻き込まれ、破壊されてしまったとのこと。もしこの報道が真実であれば、1999年にリリースされたEminemの名盤である『The Slim Shady LP』から2004年の『Encore』までの全ての彼のマスターレコードが永遠に失われたことになる。2Pacや50に関しても同様だ。
また、The New York Timesはこの火災により、50万個ものマスターレコードが失われたと伝えており、その中には先述の3人の他にもQuincy JonesやSting、R.E.M.、Janet Jackson、Eric B. and Rakim、Bobby Brown、Guns N' Roses、Mary J. Blige、Sonic Youth、Nine Inch Nails、Snoop Dogg、Nirvanaなど多くの著名アーティストのものも含まれているそう。
その一方、Universal Music Groupの担当者はVarietyの取材に対し、一連の報道には「多くの不正確な情報や誤解を招くような記述、矛盾および基本的な誤解」が含まれているとし、異議を唱えている。さらに同担当者はThe New York Timesの記事で多くのマスターレコードが‘破壊された’と言われていることについて「我々が近年リリースした何万ものバックカタログの存在を都合良く無視している」とし、あくまでもマスターレコードが焼失したことによる問題はないと主張した。
このように、現状ではThe New York Timesの主張とUniversal Music Groupの主張は真っ向から食い違っているわけだが、もし前者の主張が本当ならアメリカの音楽業界にとっては大きな損失となることは間違いない。続報が待たれる。