「音楽を流しながら育てた野菜や家畜は美味しくなる」といった話を耳にしたことはあるだろうか?日本では「モーツァルトを流しながら育てた野菜が美味しくなる」というものが有名だが、今回、スイスで「ヒップホップを流しながら熟成させたチーズが美味しくなる」という発表がなされた。
Swissinfo.chによると、スイスにあるベルン芸術大学の学生と獣医のBeat Wampfler氏が音楽とともにチーズを熟成させるプロジェクト「Cheese in Surround Sound」を行なったそう。このプロジェクトでは「チーズは人間と同じように音楽に反応するのだろうか?」として、世界チーズ選手権で優勝したエメンタールチーズ「Muttenglück」を一つずつロック、テクノ、アンビエント、ヒップホップなど様々なジャンルの音楽を流して熟成させた。すると、ヒップホップを流しながら熟成させたチーズが「最もユニークな味」に仕上がったのだという。
Wampflerは結果発表にともない「細菌は良い仕事をしました。ヒップホップを聴かせたチーズは香りと味がとてもフルーティで、他のサンプルとは著しく異なります」とコメント。さらに実験を支援したMichael Harenberg教授は「我々は圧倒されました。チーズはエメンタールで非常に大きな文化的役割を果たしているので、最初は典型的なスイス的リアクションだと思いました。しかし、南アフリカのジャーナリストでさえインタビューの依頼が来ています」と、チーズに思い入れのあるスイスの人々だけでなく世界中から大きなリアクションが寄せられたことを明かしている。
ベルン州のチーズ職人が音楽を流しながらチーズを熟成させるのは珍しいことではないそうだが、音楽ジャンルごとに味の比較を行なった例はこれが初めてだという。ちなみに、チーズに聴かせていたヒップホップはA Tribe Called Questの名盤『The Low End Theory』に収録された“We Got (The Jazz)”だという。ヒップホップの中でも比較的チーズに合いそうな選曲である。
ヒップホップを聴かせたチーズが果たして本当に味が変わると簡単に信用するのは中々に難しいところだが、音楽ファンとしては是非食べてみたいものだ。