AKLOとZORNのジョイントツアー『A to Z Tour 2018』が12/2に東京・新木場STUDIO COASTで開催された。『A to Z Tour 2018』は今年7/22から8/24まで全国6箇所で行われた。各地で盛況だったことに加え、AKLOとZORNが意気投合したことで追加公演が決定。前回行かなかった福岡、大分、京都、石川を11月から回った。昨日はそんなツアーのすべてを締めくくるファイナルとなった。8月に行われた東京公演の舞台はLiquidroomだった。約4ヶ月で2人は倍以上のキャパシティの会場をパンパンに埋めることに成功した。
ステージは、高いところに配置されたDJブースと階段のみというシンプルな構成。開演前BGMのAKLO, JP THE WAVY, KLOOZ & KM"SEE ME NOW"の音量が大きくなると、客電が消えてブースの中からひょこっとAKLOが登場する。1曲目は"DIRTY WORK"。いきなりフックで合唱が巻き起こる。前回以上のバイブスを持った観客と激烈なエネルギー交換をしながら1曲目を歌い終える。AKLOは超満員の客席を見回して、「スタジオコースト調子はどうよ。ヤバいなあ」と感慨深げに語る。
AKLOはその勢いのまま"Getter"、"The One"、"MF Problem"をメドレー形式で畳み掛ける。そして「周りの人に遠慮して、自分で勝手に作っちゃうその枠を取り除いていきましょうよ」とのMCから「Outside the Frame」でフロアを爆発させた。また中盤には"Chaser"、"Stand Hard (Remix)"といった懐かしいナンバーも。"HEAT OVER HERE"では「I My Me Mine」「曖昧にしない」というライミングでそれぞれ合唱が起こる。AKLOは自身と会場のテンションを高めながら、"NEW DAYS MOVE"まで一気にステージを駆け抜けていった。
今回のライヴにも盟友・JAY’EDが登場。2人はAKLO×JAY’ED名義の楽曲"Different Man"、"Under the Cliff"、さらにAKLOの代表曲である"サッカー"の3曲を一緒に歌唱した。そしてAKLOはZORNとのことを振り返る。
「このツアーでZORNとはすごく仲良くなりました。TikTokの『全力ガチ顔』とかやらされたり(笑)。ずっと和気藹々とやってたんだけど、ある日ZORNと2人になった時『AKLOくん初心を忘れちゃダメですよ』って言われたんですよ。よく聞く言葉だけど自分が言われたのは初めてだったから、改めて『俺の初心ってなんだろう』と考えたんです。俺はもともと何もコネクションを持ってなかったから、東京のシーンに入ってくのは最初難しかった。ライヴするために10万円払えとか言われたり、すごく悔しい思いもして。たぶん俺の初心って、その時の悔しさなんだと思う。俺は金は持ってなかったけど、曲はたくさんあったからそれをネットにアップしていろんな人とつながったんだ。次に作ったのはそんな思いを込めてBLさんと作った曲です」と"RED PILL"を歌った。そしてライヴの定番曲"YOUR LANE"でZORNにバトンを渡した。
今回もほぼ転換時間はなく、アルバム『柴又日記』のオープニング"男はつらいよ(Intro)"が会場に鳴り響く。ライティングは温かい色味に変わり、ZORNが"いい感じ"を歌い始める。前半は"Life Size"、"Brand New Day"、"シャウエッセン"をしっかり聴かせる。どの曲も大合唱だ。そして"雨ニモマケズ"では1ヴァース目をアカペラで歌う。しっかりとしたスキルと発声で、歌詞を観客の胸に直接届ける。
ZORNとAKLOとでは同じヒップホップでも、歌詞のトピック立てはもちろん、フロウやビートのスタイルもまったく違う。だが観客は違うノリを楽しんでいた。ZORNの固い韻や、共感できる日常の瞬間を感じて熱くなった。そんな様子をZORNはユーモアいっぱいに「男子校でがっかりしています」と笑顔で表現した。
ZORNといえば東京・下町のバイブスだ。WEEDYとギタリスト・dubby bunnyが登場すると、いたないが優しく温かい"葛飾ラップソディー"、"黄昏ミゼット"を届ける。さらに"柴又の夕焼け"後のMCでは「ちょっと前までラップゲームにとりつかれてました。数字とか気にしすぎて、制作で3~4日帰れないこともありました」と語る。次の曲は"My Life"。この曲は「金ピカのチェーンなんて持ってない」というラインが印象的なナンバー。改めて自分の必要なことが何かを見つめ直した彼は、最後にEVISBEATSがプロデュースした自身の代表曲"Letter"を歌った。
AKLOとZORN、それぞれのソロステージはあっという間だった。2人は衣装を黒に揃えて再びステージに登場する。ZORNが「AKLOとかZORNとかがんばってましたね。前座楽しめましたか? これがメインですよ」とがっつり煽ると大歓声が上がる。まずはAKLO×ZORN名義でリリースされた"Bars"。まさにこの「A to Z Tour 2018」を象徴するかのような1曲だ。この曲についてAKLOは「仲良しごっこじゃなかった」と話す。それを受けてZORNも「"Bars"もそうだし、ツアーでは毎回お互いをやっつけてやろうと思ってた」と返す。さらにAKLOは「俺らのアクションに反応してくれたヘッズにめちゃくちゃ力をもらった」と語った。
観客からもらった力を返すように"FUEGO"、"McLaren"で2人はステージから凄まじいバイブスを放つ。そして"100 (Remix)"ではフック「ワンハネッハネッハネッ」に合わせて観客全員がジャンプ。STUDIO COASTが揺れた。"Chill Out"を挟み、おなじみラップの適性検査「Rap Game Try Out」こと"RGTO"に突入する。2人が歌い終えると、観客から「もう1回っ!」との声が飛んだ。それを拾ったZORNは「えっ、もう1回?」とまさかの2回目の"RGTO"を歌い始めた。全ての合いの手が合唱になり、本当に異常なテンションまでブチ上がったところにSALUが登場。パンパンだった会場の観客がさらに前に押し寄せる。SALUが動くと観客は波のようなうねりを作った。そこにK ダブシャインも登場。曲が終わった後、ZORNはこのステージが2人との初対面だったと明かした。
お次はAKLOの最新ナンバー"Count On Me"。すでに120%の状態だが、2人は熱いパフォーマンスを繰り広げる。ZORNは「全然足りない」とさらに煽って、2回目の"Count On Me"を歌い始め、自身も客席にダイブした。演者も観客も熱くなりすぎて、一旦ブレイクを入れなくてはならないほどテンションはどんどん上がっていた。さらに3回目の"Count On Me"でNORIKIYOがステージに現れる。もはやSTUDIO COASTはポジティヴな混乱状態だった。
最後に2人は「A to Z Tour」を振り返る。そもそもZORNは2018年は仕事しないつもりだったが、AKLOからのラブコールとあって快諾した。手探りで始めたツアーについて、両者は「勉強になった」と口を揃える。そしてこのツアーで得たものを武器に、それぞれの活動に戻っていく。最後の曲"Walk This Way"では、向き合ってお互いにヴァースを蹴り合う。そしてがっちりと抱きき合って、AKLOとZORNはそれぞれ上手と下手に別々に分かれていった。
Info
AKLO x ZORN「A to Z Tour 2018」
2018年12月2日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
AKLO
01. DIRTY WORK
02. Getter
03. The One
04. MF Problem
05. Outside the Frame
06. Break The Records
07. Chaser
08. Stand Hard (Remix)
09. HEAT OVER HERE
10. NEW DAYS MOVE
11. Different Man / AKLO x JAY’ED
12. Under the Cliff feat. JAY'ED
13. サッカー feat. JAY'ED
14. RED PILL
15. YOUR LANE
ZORN
01. いい感じ
02. Life Size
03. Brand New Day
04. シャウエッセン
05. 雨ニモマケズ
06. かんおけ
07. Guiter Solo(Intro) / dubby bunny
08. 葛飾ラップソディー feat. WEEDY & dubby bunny
09. 黄昏ミゼット feat. WEEDY & dubby bunny
10. 柴又の夕焼け
11. My Life
12. Letter
AKLO x ZORN
01. Bars
02. FUEGO
03. McLaren
04. 100 (Remix)
05. Chill Out
06. RGTO
07. RGTO feat. SALU & K ダブシャイン
08. Count On Me
09. Count On Me (Remix) feat. NORIKIYO
10. Walk This Way