Kanye Westといえばツイートによってこれまでも様々なトラブルを引き起こしてきたが、今回彼のツイートが法的なトラブルにまで発展してしまった。
Kanyeの2016年のアルバム『The Life Of Pablo』はストリーミングサービス上でリリースされ、その内容がリリース後も変わっていくという斬新な手法がとられていることでも知られているが、同作は当初Jay-ZのストリーミングサービスであるTIDAL限定でのリリースになると発表されていた。
TwitterにてKanyeは「Appleでは絶対に聴けないし、そしてこのアルバムは発売されない。みんなはTIDALだけでこのアルバムをゲットできる。」と発言していた。しかしそれから6週間後、アルバムはSpotifyやApple Musicなど他のストリーミングサービスでも配信され、TIDALのエクスクルーシブではなくなってしまった。
結局どのサービスでも聴けることとなった『The Life Of Pablo』だが、Kanyeのツイートを信用してTIDALに登録した利用者もいたという。
その中の一人であるJustin Baker-Rhettさんは、この件について弁護士を通して2016年に民事訴訟を起こし、Kanye側は「アルバムが違う歌詞、違うアレンジで複数回アップデートされ、リミックスされていたため、TIDAL限定でリリースされたものと他のストリーミングサービス上にあるものは全く同じ作品というわけではない」という理屈で訴えを退けようとしたという。
しかし裁判所は「West氏の主張は極めて脆いもので、訴えを退けられるものではない」と判断したため裁判は未だつづいているという。原告であるBaker-Rhetの弁護士はPitchforkの取材に対し「被告はこの件から逃れるためのいくつかの主張をしていたが、裁判所は我々の議論の核となる『これは消費者に対する詐欺である』という主張の方を受理した」と自らの見解を語っている。弁護士は加えてこの裁判が国家規模のものになる可能性も示唆している。
自らの軽はずみなツイートが大きな裁判になるとはKanyeも予想していなかっただろう。大ごとになってしまったこの問題だが、これからどのような方向に転がっていくのだろうか。