先日、BTS(防弾少年団)のニューアルバム『LOVE YOURSELF 轉 'Tear'』がビルボードアルバムチャートで初登場1位を獲得したことは記憶に新しい。
K-Popは今や国境を越え、アメリカのチャートで1位を獲るまでになった。最近でもJay Parkは2Chainzと新曲"SOJU"をリリースし、金曜日に公開されたChristina Aguileraのニューシングル『Like I Do feat.Goldlink』のプロデュースにはAnderson.Paakに加え、韓国人プロデューサーのBRLLNTそして韓国系アメリカンラッパーのDumbfoundeadが参加している。
これらのことからも分かるように、韓国の音楽というものがアメリカのシーンに違和感なく定着しはじめていることがわかる。
そんな中Geniusが『DECONSTRUCTED』シリーズに興味深い動画をアップしている。
この動画ではK-PopグループRed Velvetの新曲"Bad Boy"を手がけたプロデューサー軍団The Stereotypesが、ビート作りの観点からK-Popについて語っている。The Stereotypesは90‘sの音楽に影響を受けており、これまでBruno MarsやJustin Bieberなど多くの有名アーティストの楽曲を手がけ、グラミー賞の常連でもある。
今回彼らがプロデュースした"Bad Boy"は90年代のR&Bを彷彿とさせるメロウなビートの上で彼女たちが女心を歌う楽曲となっているが、このビートはどのように作られたのだろうか。
The StereotypesのメンバーのひとりであるJeremy Reevesは、「少なくとも俺にとっては、楽曲の1番大事な部分はメロディだ」と語り、「それがK-Popのクールなところなんだよ。それがK-Pop楽曲の1番重要な部分なんだ」とメロディーの重要性を指摘している。
つまりK-Popでは楽曲を作る際に、歌詞やボーカルよりも、メロディが重要視されるということだ。確かにK-Popのアーティストの楽曲にはビートがかっこいいものが多い。このメロディ重要視の風潮には韓国のHiphop/R&Bシーンが少なからず影響を与えていると思われる。ヒップホップやR&Bは確かにリリックも重要な要素だが良いビートがあってこそリリックが際立つ音楽だ。特にアメリカでは韓国語を理解する人は英語に比べると激減するので、歌詞がわからなくても響くメロディーは重要になってくるだろう。
同じくThe StereotypesのメンバーであるRay Romulusはアメリカ国外のアーティストと一緒に楽曲制作することについて、面白い指摘をしている。
「僕たちが聴いて育った音楽をアメリカで使うのは結構難しいことなんだよ」と母国で自身が聴いてきた音楽を母国のアーティストに利用するのは難しいことを指摘しつつ、「僕たちは子供の頃にもう一回戻ったかのような感覚になるんだよ、自分たちが聴いて育った音楽を使うことが許されるからね」とK-Popではそういった制限なくプロダクションを行えることについて語った。
つまり、アメリカ国内よりもアメリカ国外のほうが楽曲制作の自由度が上がるというわけだ。たしかにThe Stereotypesが影響をうけている90‘sのR&Bサウンドをアメリカでやるとありふれたものになってしまう可能性があるが、それを韓国でやることで新たな音楽ジャンルとして受け入れられ、プロデューサー側も楽曲制作の幅を広げることができる。
K-Popのアーティストの多くは、The Stereotypesのような国外のプロデューサーとともに楽曲を制作している。それがアーティストとプロデューサー両者の制作の幅を広げ、現在のような独自な音楽性を生み出した大きな要因となったのかもしれない。