先日グラフィティアーティストのKYNEが、影響を受けてきた80年代の国産音楽をテーマにAWAで作成したプレイリストを公開していたが、それに続きイラストレーターの長場雄によるプレイリストが公開された。
長場は無駄のないシンプルな線画イラストで注目を集め、これまでにアパレルブランドとのコラボレーションや個展の開催などで注目集め、その活動は多岐にわたる。数年前から毎日必ず1枚イラストを描き、それをInstagramに投稿するのを習慣にしている長場は、今年に入ってからは、恋愛映画100作品のイラストを描いた書籍『みんなの恋愛映画100選』の刊行や、G-SHOCKとのコラボレーションモデルが発売されている。
長場は現在の作風を確立した経緯についてこう述べている。
「子供の頃から絵を描くのが好きで、美術大学を卒業後にTシャツをデザインする仕事には就いたんですけど、自分のなかで違和感があって。絵を描くことを仕事にしたいという気持ちがずっとありました。自分が好きなものを精査したり、自分の強いところはなんだろうって考えながら自分の作風を求めて夜な夜な絵を描き続けて、今のシンプルな線画に行き着きました。ぼくの絵が世間に広く知ってもらえたのが4年前の雑誌「POPEYE(ポパイ)」の表紙です。今の作風になってからは、モチーフ選びはみんなが分かるものにしようと思って。モナリザやフェルメールの絵画や有名人、映画のワンシーンとか、みんなが共通して見たことのある、体験したことのあるものを描きましたね。そこにはもちろん音楽もあって、ミュージシャンもいっぱい描きました」
また音楽との出会いについては「10代の頃から音楽は好きで。高校生のときにNirvana(ニルヴァーナ)が出てきて、一方ではヒップホップやR&Bが盛り上がってて、ジャンル関係なく聴いてました。雑食なんですよ(笑)。はまる時期と遠ざかる時期を繰り返してて、それこそ音楽ストリーミングが始まる前はCD屋さんやレコード屋さんにも行かなくなっちゃってたんですけど、ストリーミングで聴くようになってからは音楽を聴く量がめちゃ増えましたね。それ以前は自宅兼事務所で仕事していて、ラジオばかり聴いていました。ラジオはできればひとりで聴きたいタイプなので、事務所を借りて人と仕事をするようになった今は、音楽を聴くほうがいいなって思って仕事中はなにかしらのプレイリスト流しっぱなしにしてます」と話している。
そんな長場が「夜、部屋のソファでゆっくりしているときに聴きたいプレイリスト」をテーマに選曲したこのプレイリスト。AAAMYYYやYaeji、SZAなど新鋭アーティストから、Massive AttackやJanet Jackson、P.M. Dawnなどの名前も入っている。プレイリストの選曲については長場はこう話している。
「AAAMYYYは、音楽ストリーミングで今週の新人で取り上げられてたのがきっかけで聴いて、めっちゃいいなって思いました。Yaejiは昨年末、これも音楽ストリーミングで流れてきて、かっこいいなって思って、デトロイトのハウスなのかなって調べたら、韓国人の女の子で驚きましたね。それでInstagramにYaejiの絵を描いてアップしたら、本人も見てくれたみたいで知り合いを通じてYaejiのグッズをくれるなんてこともありました。音楽ストリーミングでこの2人のアーティストを知ったので、今回のプレイリストに入れたいなって思って選びました。入れたい曲に女性ボーカルの曲が多かったから、あまり続くのはなーって思って、男性ボーカルとかインストの曲を挟んだり、全体の流れを考えて作りました。最初は今っぽい曲に絞ってたんですけど、それだけじゃない方が面白いかなって思って、合いそうな昔の曲を入れたり。実際のところ昔の曲は聴きすぎちゃって、普段はSZAとか新しい音楽ばかり聴いてるんですけどね(笑)。自分も聴きたいプレイリストだから、新鮮な曲を中心に、本当に好きな曲だけを選びました」
「昔ならCDを1枚ずつ買わなきゃいけなかったけど、音楽ストリーミングは月額で聴くことができて嬉しいですよね。いつも作業してるときはお気に入りにしたプレイリストを聴いてるだけなので、自分で作るのは初めてでした。カセット感覚ですよね。この曲とこの曲を入れて、構成考えてとか、まさにあの感じですごい楽しかった。音楽ストリーミングのおかげで、今は音楽が本当に楽しいです」と語る長場。プレイリスト用のジャケットは今回のために書き下ろされたものとなっている。
「こういう女の子がAWAで音楽を聴いてたらいいなっていうイメージで描きました。ちょっと地味かもって思ったりもしたんですけど、ラフを描いたなかでも、この絵がいちばんAWAっぽいかなって」
長場雄が初めて作った、このプレイリストはAWAでぜひチェックしてほしい。