先日88risingから新曲"Cannonball"のミュージックビデオがアップロードされ日本でも話題を呼んでいるアーティストSen Morimoto。
彼は京都生まれで現在シカゴ在住の日本人アーティストである。Morimotoは10歳の頃に手にしたサックスで、ジャズをプレイすることからキャリアをスタートし、次第にKanye Westなどのシカゴのヒップホップアーティストに影響を受け、現在のようなジャズやポストロック、ヒップホップをミックスしたようなスタイルでの楽曲制作をはじめたようだ。
一人で全ての楽器を演奏し、宅録で作品を作っているということからも彼の高い技術が伺える。サックスやピアノをフィーチャーしたジャジーなサウンドと複雑なビートはFlying LotusやMndsgnなどのいわゆるビート系のアーティストを連想させる。
そこに自身の抱える強迫観念や精神的な苦痛、失恋の記憶などを歌ったエモーショナルなラップを乗せるスタイルからは現在のトラップやローファイヒップホップ周辺のアーティスト、特に同じく88risingで活動するアーティストJojiと共通するような感性を持っているように聞こえる。
MorimotoはChcago Tribuneのインタビューで誰もが持つ「一般的な不安」が自身のインスピレーションになっていると語り、こう続けている。「不安はすべてのことに影響する。それによりあなたがどのように人と交わり人を扱うに影響を与えてしまう。そこには信頼はあまりない。僕はそれを取り除こうとしているから平和にいられるんだ」
彼は現在の名義になる以前のキャリア初期にはMorimoto名義で活動し、マサチューセッツのアーティストDJ Lucasと共にレーベルDark World Recordsを設立していたようだ。
現在彼はBandcampにて二枚のEPをリリースしている他、同郷のラッパーJoseph ChilliamsやシンガーのKainaをプロデュースし、自身のSoundCloudにも新曲をコンスタントにアップロードし続けるなど精力的な活動を行なっている。
EP『It’s Late Remastered』を共に制作したラッパーQariは新曲"Pants From Japan"のMVも話題となっており、自身のみならず彼の周囲のアーティストも大きな注目を集めていることが分かる。
Sen Morimotoは現在アルバムを制作中ということだが、彼は前述のインタビューで自身の楽曲に対して懐疑的な視線も見せている。よく彼は完成しアップした曲を消してしまうのだが、それは「曲がパーソナルになりすぎている」と見えてしまうことが原因のようだ。アルバムリリースまでには時間がかかるかもしれないが、今後も彼とその周辺からますます目が離せないといえるだろう。