男性アーティストばかりの音楽フェスの時代がもう終わるかもしれない。45個のフェスが2022年までに出演アーティストの男女比を50:50にすると約束した。
先月のグラミー授賞式で物議を醸した、女性アーティストの受賞の少なさ。「音楽業界は女性軽視の傾向がある」と、不満の声が挙がった。そしてそれは音楽フェスも同様である。BBCの調査によると、昨年開催された音楽フェスのヘッドライナーは、80%以上が男性アーティストだったそうだ。
先日ラインナップが発表されたUKの音楽フェス『wireless』は、出演する女性アーティストがたったの3名しかおらず批判を浴びている。シンガーソングライターのLily Allenが投稿した、フェスのポスターから男性アーティストを全て消した画像を見ると一目瞭然である。
The struggle is real pic.twitter.com/R58zKuCaK2
— Lily (@lilyallen) 2018年1月23日
アーティストや作曲家を支えるイギリスの財団『PRS Foundation』は、女性の音楽業界での活躍促進のために『Keychange』という新提案を掲げた。2022年までに音楽フェスに出演するアーティストの男女比が50:50になることを目標としている。
すでに45個の音楽フェスが『Keychange』に賛同しており、2022までに男女比を均等にすると公言。イギリスの『The Great Escape』、『Cheltenham Jazz Festival』、『Sound City』や、『BBC Prom』。他にもアメリカやカナダのフェスも、この新提案『Keychange』を支持すると発表した。
「昨年、イギリス国内で開催されたフェスの出演アーティストのうち、女性は26%であった。5年後にはこの倍になることを見据えている」と『PRS Foundation』のCEOであるVanessa Reedは語る。「大胆な目標ではあるが、決して不可能ではない」と彼女はいう。
一方、先述の『wireless』や、『Reading Festival』『Leed Festival』といったUKの大規模フェスをマネジメントしているMelvin Bennはこの新提案に賛同していない。具体的な数字を目標としなくてもいいのではないかと考えているようだ。
『50:50にしなければならない?それが正しいやり方だとは思わない」と彼はコメント。
代わりに彼の運営する『Festival Republic』はプロジェクト『ReBalance』を発案した。これは36人の女性アーティストにスタジオレコーディングを提供するという試み。今後3年間、毎月1人の女性アーティストに、1週間スタジオでレコーディングできる環境を設け、フェスに出演できるチャンスも与えるというプログラムである。さらに『ReBalance』はエンジニアやプロデューサーを目指す女性もサポートしていくとのこと。
女性アーティストの母数を増やし、音楽フェス側の女性アーティストを選ぶ選択肢を増やすことが狙いだ。「男女平等の考えは支持する。私は(Keychange)とは違う方法を提案するが、目指すところは同じである」とMelvin Bennは主張する。
確かに音楽フェスの男女比には大きな差があるが、もともと男性アーティストの方が多いのも事実。『Keychange』と『ReBalance』の活動によって今後の音楽フェスのラインナップはどう変わって行くのだろうか。