今夏8/16〜20に、ドイツ・ベルリンにて”復活後”5回目となるBerlin Atonalが開催された。かつて壁崩壊以前、テクノ以前の西ベルリンで5回開催されたまま23年間休止していたこのフェスティバルが再開したのが2013年だった。復活してから同回数を重ね、今回は動員においても内容においても最も優れた回となったというのが来場者と主催者に共通する認識だった。
これまでは、80年代から引き継がれるフェスティバルの美学を貫く確固としたカラーがあった一方で、「同じようなものが多い」、「飽きる」といったバラエティー不足を指摘する声も多く聞かれた。それが5年目を迎えて伝統と進化、美学と多様性、そのバランスが絶妙に均衡してきたように思う。インダストリアル、ノイズ、アンビエント、テクノ、エレクトロ、EBMを主流としながら、現代音楽やダブ、ベース・ミュージック、ハウス、スポークンワードやポップスの要素も感じられた今年のラインナップは、ベテランと新進気鋭、有名と無名の混ざり具合もよく、また例年より女性アーティストも多く見られた。
今年設立20周年を迎えた東京の鬼才集団兼レーベル、BLACK SMOKERからはオリジナル・メンバーであるKILLER BONG、KILLER BONGとJUBEによるデュオTHE LEFTY、DJ YAZI、そしてレーベルからミックスCDをリリースしているDJのCompumaと行松陽介がこの夏ベルリンへと渡り初出演を果たした。その様子をBLACK SMOKER専属の映像アーティストであるRokapenisが同行し撮影し、ドキュメンタリー『Road to Berlin Atonal』として完成させた。今週末12/1より開催されるBLACK SMOKERのアート・エキシビション、BLACK GALLERYにてドキュメンタリーが公開される。
最終日12/3に当事者KILLER-BONG、JUBE、DJ YAZI、Compumaがトーク・ショーに登場し、スペシャル・ゲストに伝説的ジャズ・ベーシスト、鈴木勲もトーク・ゲストとKILLER-OMA(鈴木勲 × KILLER-BONG)のライブで出演する。ショート・ドキュメンタリーとして、後日オンライン上でも公開される予定のこの映像、イベントで上映されるのはオフショット満載のここでしか観ることのできないロング・バージョンとなっているので、ご興味のある方はぜひお見逃しなく!
Text: Yuko Asanuma
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