今月は「ついに干されたか」と思うくらい仕事がなくて暇だったが、アメリカでは実に様々な事件が起きた。シャーロッツビルでの衝突、皆既日食、バノン首席戦略官の更迭、メイウェザーvsマクレガー戦などなど。いろいろあった中、今回は、8月21日に発表されたトランプ大統領の「対アフガニスタン新戦略」を取り上げよう。
オバマ前大統領のアフガン戦略をことあるごとに批判してきたトランプ大統領だが、ここにきて一転、増派を決定した。しかし、この“新戦略”の詳細は不明。増派の規模もスケジュールも数値目標も明らかにされていない。にもかかわらず大統領本人は「俺は問題解決屋だ(I’m a problem solver.)」と相変わらず自信たっぷり。
この発言に対して『ザ・デイリー・ショー』の司会者トレバー・ノアはこうツッコんだ。「トランプを問題解決屋と呼ぶなんて、ゴジラを都市計画家と呼ぶようなもんだよ!!」さらにトレバーの攻撃は続く。「トランプが撤退(pull out)しないと決めたのは驚きじゃない。だって子供が5人もいるんだぜ」あえて解説はしないが、”pull out”には別の意味もありまして・・・。
トレバーは指摘する。「今回の演説はどこかで聞いたことがある」と。そしてトランプ大統領の演説とオバマ前大統領の演説が交互に映し出された。
トランプ:”From now on, victory will have a clear definition.”
オバマ:”I owe you a mission that is clearly defined…”
トランプ:”We will not dictate the Afghan people how to live.”
オバマ:”We are not in Afghanistan to control that country or to dictate its future.”
トランプ:”We must stop the resurgence of safe havens.”
オバマ:”We must deny Al-Qaeda a safe haven.”
トランプ:”Afghans will secure and build their own nation.”
オバマ:”Afghans will have to take responsibility for their security.”
トランプ:”Our support is not a blank check.”
オバマ:”The days of providing a blank check is over.”
うわっ、ほぼ同じやないか!!!
下線部分を見ても分かるように、随所に似たような表現が使われている。トランプ大統領の発言はオバマ前大統領の発言をちょっと言い換えただけにすぎない。政権交代が起きても軍事戦略は変わらず、メッセージも同じ。大統領がアホであれ、インテリであれ、結局は戦争屋の操り人形になる運命にあるということなのだろうか。軍産複合体を前にしてはアメリカ大統領さえも無力なのかもしれない。コメディ番組なのにこれを見て背筋にうすら寒いものを覚えたのは筆者だけだろうか。
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(文・まごおりしんぺい)
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