DIESEL ART GALLERYで8/25からパンク・ムーブメントの起源を語る上で重要なアーティストJohn Dove & Molly White(ジョン・ドーヴ & モーリー・ホワイト)の展覧会『SENSIBILITY AND WONDER』が開催される。
1968年、ジョン・ドーヴとモーリー・ホワイトは、ロンドンにパディントンに構えたアトリエで、「WONDER WORKSHOP」名義でフルグラフィックのプリント Tシャツを製作、これが現代に至るストリートファッションの主役であるTシャツが誕生した起源と言われている。
2人はTシャツをアーティストが版画を作っていたのと同じシルクスクリーンの技術によって製作。エディションナンバーのついた作品として紙やキャンバスに印刷されるのではなく 、ストリートで身に着けるため、多くの人が手頃な価格で入手できるようにTシャツにプリントされた。これにより、 キャンバスやポスターに封じ込められていたイメージは、限られたオーディエンスのみではなく、世界中の人々にリーチすることが可能となった。
「Tシャツは資本主義の現代世界の産物、そこから生まれた社会主義革命の一つなのです。それは普遍的な言語の一部であり、ポップアート のポスターよりもパーソナルで、音楽よりも痛烈な表現だったのです(」ジョン・ドーヴ & モーリー・ホワイト 2011)
当時彼らがスタジオを構えたパディントンにある、チッペンハムハウススタジオは廃工場で、詩人、作家、ペインター、映像作家、彫刻家、デザイナーなどが集い実験的な試みを行っていた。1960年代後半にはニューヨークでIggy Pop(イギー・ポップ)率いる The Stooges(ザ・ストゥージズ)、Lou Reed(ルー・リード)のVelvet Underground(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)が活躍、次第に イギリスとアメリカの急進的カルチャーの相互作用が始まり、パンク・ムーブメントが胎動していた。
70年代に入り現Vivienne Westwoodのショップ「Worlds End」の場所である、430 Kings Roadには「Paradise Garage」というショップ が存在し、オーナーのTrevor Myles(トレヴァー・マイルズ)とその周囲にはジョンとモーリーを始め、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)とMalcolm McLaren(マルコム・マクラーレン)、そしてSid Vicious(シド・ヴィシャス)が集まっていた。この場所を通して発信されたジョンとモーリーのシルクスクリーンとTシャツ、アンチファーのメッセージとして製作されたと虎のアニマルプリントなどは同時代の アーティスト達を惹きつけていく。
ポップアート、ダダ、シュルレアリスム、ロックンロール、全てのイメージをミックスし、社会に起きる動きに即応して メッセージを表現し身に付けることを可能にした彼らの作品は70年代のストリートファッションのアイデアソースとなり、パンク・ファッションの起源となった。
現在でも自らコンピューターを自在に活用し、精緻なドローイングと技術に裏付けされたプリントを製作し続ける二人の活動。過去50年間にわたる制作活動において通底するのは、現状(Status Quo)に対する反抗心とユーモア。
本展で展示される作品では、彼らが過去に歩んできた時代と同時期に過ごした人物や出来事を振り返りながら、60年代から70年代に生まれた現代アートとファッションの手法、今では当たり前になったアイデアの起源をスクリーンプリントとコラージュ、そして映像を通して遡る。
会場では展示作品のほか、関連商品の販売を行う。
また、会期中の8月26日(土)16:00-18:00にはDIESEL ART GALLERYにてサイン会の開催も予定している。
Info
タイトル:「SENSIBILITY AND WONDER(」センシビリティ アンド ワンダー)
アーティスト: John Dove & Molly White(ジョン・ドーヴ & モーリー・ホワイト)
会期:2017年8月25日(金)- 11月9日(木)
会場:DIESEL ART GALLERY(DIESEL SHIBUYA内)
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F 電話番号: 03-6427-5955
開館時間: 11:30-21:00
入場料 : 無料
休館日:不定休
キュレーター:小石 祐介(KLEINSTEIN CO., LTD.)
協力 : シャープ株式会社
協賛 : NOVESTA JAPAN OFFICE / NOAVENUE
サイン会
8月26日(土)16:00-18:00、DIESEL ART GALLERYにてサイン会を開催予定。