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【特集】XXXTentacionだけじゃないフロリダ出身の新世代ラッパーたち

XXXTENTACION

フロリダといえば、これまではRick RossやGunplayなどのMMG勢からDenzel CurryやKodak Blackといった若手のラッパーを輩出してきた土地だが、昨年から今年にかけてこれまでのイメージを覆すようなラッパーが多く登場してきている。

その代表格が"Look At Me"で知られるXXXTentacionなのは間違いないが、その周囲にも多くの注目ラッパーたちが存在する。その中でも4人のラッパーたちを紹介していこう。

SKi Mask The Slump God

SKi Mask The Slump Godはフロリダはブロワード出身の21歳のラッパーだ。 最近のRob $toneとXXXtentacion、Ski Maskのビーフが記憶に新しい。今月の7/2に発売されたEP 『You Will Regret』にはXXXやMadeintyoも参加し10曲が収録されている。

ちなみに盟友XXXとの出会いは刑務所の中で会ったのが初対面。そこでの出会いからMembers Onlyというクルー(XXXtentacion, $ki mask, Wifisfunel, Craig xenなどが参加)を作り、徐々に名前を広げていき、XXXの”Look At Me!” の大ヒットにより、Members Onlyに所属する他のラッパーの名前も広がっていっている。

Members Onlyのクルー活動はあまり明らかではない部分も多いが、クルーの一人Kid Trunksによると V.R.(Very Rare)というクルーがもともと存在していたが、ラップに本腰を入れ始めてからはMembers Only での活動がほとんどのようだ。しかしV.R.のことを忘れたわけではなく、今でもクールな関係らしい。

Ski MaskもEPの中でBrotherとV.R.を掛けて”vro”という言葉遊びを使っていたりする。Ski Maskは「V.R.は自分がメインで作ったクルーで、それを元にXXXがMembers Onlyを作った」ということらしい。Members Onlyのメンバーは現時点で、32人ということでフロリダだけでなく海外にまでメンバーはいるようだ。

Wifisfuneral

Members Only Crewからもう一人プエルトリカンのラッパー紹介したい。彼はヒューストンのライブにてダイブした際ファンにボコボコに殴られる事件が発生し一躍脚光を浴びたラッパーだ。

そんな彼のスタイルは一言で表すと”死にたい”だ。ニューオリオンズの$uicideboy$に影響されたかのような暗いサウンドの曲がほとんどである。自殺願望、空虚感、死、それらを表現したビートに乗せ、他のラッパーとは一線を画した人気を獲得している。

しかしライブでは死のイメージを振り払うかのような、エナジーの溢れるライブを敢行している。現実から離脱するために死という選択をとるのではなく、まるで非現実を求めてライブをするかのような不安定な生き方に興味を惹かれてしまうファンも多いかもしれない。しかし「もうターンナップするような曲は作りたくない、頭が痛くなるから」と言っていたり、これまでに4回も自殺未遂で集中治療室に運ばれたとも発言しており、その闇は深そうだ。

Smokepurpp

現在20歳のSmokepurppはラップだけではなくプロデュース力も長けていて、Lil Pumpを世に送り出したのも彼だ。

彼はXXLのインタビューにてキャリアのゴールについて語っている

「No.1のレコード、NO.1のアルバムを出したい。俺はエンターテイナーなんだ、ラップだけじゃない。なんでも自分でしたい。コマーシャルも、スポンサー契約もデザインもしたい。このベルトも自分で作ったんだ、まだ売り出す気は無いけどね」

最近のラッパーの1つのパターンともいえるラッパーとしてだけではなく、ファッションやエンターテインメントシーンなど、トータルでの成功を望むアーティストだ。また自身のサウンドのスタイルを2020年の未来の音楽と称していて、誰とも比べることもできないと話している。影響を受けたラッパーはLil Wayne、Young Thug、Chief Keefとのことだ。

彼のアップカミングなミックステープ『DEADSTAR』もリリース間近となりより一層注目が集まっている。プロデュースは全面的にTM88がするとされそちらも楽しみだ。こちらは先行シングルの”Audi.”。

Lil Pump

16歳の2000年生まれ、ついに21世紀のラッパーが世間で売れている時代になったようだ。スキルで成り上がったラッパーとは程遠い、新しい方法でゲームを成り上がっていったラッパーだ。彼のプロモーションの仕方は日本のユーチューバーとかなり類似点があるように思える。

ユーチューバーはサムネイルで聴き手を刺激してクリックさせるが、Lil Pumpの場合はマシンガン?を加えて聴き手を刺激している。

ユーチューバーは時に次回予告をしてリピーター獲得を増やすが、Lil Pumpももちろん欠かさない。「このツイートが1000RTを超えたら今持ってるピストルの引き金を引く」とツイートをしたところ、見事1000RTされた後の動画がこちらだ。

 

もう一つ彼の特徴として1曲あたりの短さがある。彼のSoundcloudで最も再生回数の多い”Boss”  は1分42秒、2番目に多い”D Rose” は2分6秒。他の曲を見ても2分前後のものが多い。もし意図的に短くしているのだとすると2つのことが考えられる。
一つはロックとの結びつきだ。ライブではほとんど歌わずシャウトをし、オートチューンをかけたままノイズのようなサウンドを演出するのだが、それがまさにロックなのだという。パンクロックでは一曲あたりの短さが特徴であり、ロックのいろいろな側面を吸収したヒップホップが彼らなのでは無いだろうか。

2つ目にストリーミング産業の影響も考えられる。再生回数を伸ばすことでより注目されるからだ。ストリーミングでは大体一曲で0.15円、ダウンロードではその10倍くらいだ。このようなシステムに生まれた若者にとって曲を短くするのは自然なことなのかもしれない。

以上4人のラッパーを挙げたがもちろん他にも才能あるラッパーはフロリダに多くいる。お気に入りのラッパーをみつけてほしい。(Yoshito Takahashi)

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