ネット上を探せば現在は違法薬物のLSDの使い方を教えてくれるサイトはあるが、1967年に刊行されたLisa Bibermanによる『Session Games People Play』が一番良いマニュアルに違いないだろう。
『Session Games People Play』は1967年、アメリカでLSDが違法になってから間もない頃にパンフレットとして刊行された。
目次は
・イントロ・君はLSDを摂取するんだね?
・ゲーム開始
・不安に感じたら
・試しに少しなんてものはない
・様々な人生の責任逃れしたくなる段階
・誰かが急にいなくなる段階
・他の人が何考えているか分かるように感じる段階
・すべての問いに対する答えを見つける段階
・メシアになる段階
・摂取した人と摂取したことない人の間に生じるギャップ
・摂取してからの1日を通して
・その他アドバイス
・君はLSDを摂取したんだね?
・他の幻覚麻薬などなど
といった流れになっており、かなり細かく段階を踏まえて詳しく解説してくれている。
この本はまずLSDに関するよくある誤解を解くところから始まる。LSDは最高のセックスを経験させてくれるわけでもなく、魔法のような力を手に入れるわけでもなく、記憶力やIQが急にあがるわけでもないとのこと。次に実際に口にいれる前の心の準備についても丁寧に解説してくれている。
「一緒にトリップする人は好きな人たちであることが大事で、そして興味のあることや、好きな人のこと、これから先の夢など自分の中のポジティブな感情に集中する。摂取する前に誰か親しい人に優しい言葉をかけたりなど、善い行いをすることもオススメ。そして誰も他人が入ってこない綺麗な家で携帯の電源を切り、静かなリラックス効果のある音楽を流す…」などよいトリップをするためのアドバイス。
さらに、「騒がしかったり奇妙な音楽はダメ。怨みや嫉妬の感情はバッドに入らないように忘れたほうが良い。どんだけハイになったかまわりと競い合ってはダメだ」など悪いトリップをしないためのアドバイスも書いてある。
LSDは1960年代初頭にはまだ薬局に並んでいたのだが、1962年に違法となった。それでも隠れて使用する人たちにとって、現代のように簡単にネットで使用方法を調べられなかった時代にこれほど丁寧に使用方法が記されたパンフレットは貴重であったに違いない。違法行為についてなので褒めていい内容では無いのだが、1967年に発行された文面そのままで残っているめずらしい資料である。(小林一真)
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