2017/7/8(土)~8/27(日)にDIC川村記念美術館にて、美術史・美術批評の分野で活躍する林道郎の手引きによる、絵画を中心とした現代美術展「静かに狂う眼差し-現代美術覚書(おぼえがき)」が開催。会期中は講演会やギャラリートークも実施される。
本展では、DIC川村記念美術館のコレクションの中心を成す現代美術に焦点を当て、初公開作品を含む約 90 点を、4つのキーワードを基軸に展示。現代絵画とは何か、どのような流れや変化があったのかについて学ぶ、計4 回シリーズの講演会や、ギャラリートークを毎週開催。現代美術への理解を深める充実の場を提供する。
1章 密室と絵画:静かに狂う眼差し
ブラッサイが撮影したアトリエのマティスの写真を中心に、近代において画家が密室(アトリエそしてプライヴェートな居住空間)のなかで育んできた、見る欲望とその対象との関係について模索する。
出品作家 アンリ・マティス、ピエール・ボナール、ピエール・オーギュスト・ルノワール、ブラッサイ、パブロ・ピカソ、マックス・エルンスト、リチャード・ハミルトン、ロイ・リキテンスタイン、ジョゼフ・コーネル ほか
2章 反射と透過:表面という問題
表面処理への関心が鋭くなる 60 年代、反射・反映(光を撥ね返す表面)と透明(光を透過させる表面)という問題が先鋭化し、「環境」の問題に至る過程について、マクロフリンとベルに焦点を合わせて展示する。
出品作家 ジョン・マクロフリン(初公開)、ラリー・ベル、フランク・ステラ、桑山忠明 ほか
3章 鉛とパン:戦後美術における灰色への沈着と日常性への下降
ジョーンズの鉛の作品群を起点に、現代美術において物言わぬ灰色が大きなウェイトを占めるようになった事情とその意味を探るとともに、赤瀬川のトマソンやクリストのラッピングの仕事などにも言及する。
出品作家 クレス・オルデンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、赤瀬川原平、クリスト
4章 筆触のざわめき:手の(無)人称
戦後美術において筆触というものがどのように語られ、どのような問題群とともにあり、そして今後どのように展開しうるのか。19 世紀から連続する視点によって、象徴的な作品を紹介する。
出品作家 ジャクソン・ポロック、サイ・トゥオンブリー、ロバート・ライマン、中西夏之、李禹煥 ほか
[林道郎氏からのコメント]
「20 世紀は美術の転換点だった。ルネサンス以来の規模と深さの。DIC 川村記念美術館の特異なコレクションは、その転換を知るためのたぐいまれな鉱脈だ。そこに4つの坑道を掘ってみる。1)画家のまなざしが結晶化する密室空間、2)日常の事物の鈍重で繊細な存在性、3)最小単位への還元と環境への折り返し、4)諸感覚の擦過の舞台としての絵画。『蔵出し』の作品を多くまじえた『交差配列』により、この4つの坑道に光を通し、ひとつながりのネットワークを出現させる。この明るい『迷路』には、複数の時空が編みこまれ、幾通りもの隘路や杣道が隠されている。迷うことの快楽へようこそ。」
INFO:
DIC川村記念美術館×林道郎『静かに狂う眼差し-現代美術覚書(おぼえがき)』
会期:2017/7/8(土)~8/27(日)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(7/17 は開館)、7/18
入館料:一般 1,000 円、一般リピーター2,000 円、学生 65 歳以上 800 円、
学生リピーター1,600 円、小中学生・高校生 600 円
※リピーターチケットで展覧会会期中、何度でも入館可能
会場:DIC川村記念美術館 千葉県佐倉市坂戸631 050-5541-8600(ハローダイヤル)
[関連イベント]
■講演会 林道郎(美術史 美術批評、上智大学教授)
日程:
8/5(土)「密室と絵画: 静かに狂う眼差し」
8/12(土)「反射と透過: 表面という問題」
8/19(土)「鉛とパン: 戦後美術における灰色への沈着と日常性への下降」
8/26(土)「筆触のざわめき: 手の(無)人称」
時間:各日13:30~15:00(13:00 開場)
予約不要|定員 80 名|入館料のみ
■ギャラリートーク
7/8(土)林道郎(美術史 美術批評、上智大学教授)
7/15(土)ガイドスタッフによる対話型トーク「mite!」
7/22(土)前田希世子(本展担当学芸員)
7/29(土)アートテラー・とに~
8/19(土)ガイドスタッフによる対話型トーク「mite!」
上記ギャラリートークの開催日を除く毎日 ガイドスタッフによる定時ツアー
時間:各日14:00~15:00
予約不要|定員 60 名|14:00 エントランスホール集合|入館料のみ