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英テート美術館、セクシュアル・マイノリティに関連するアートのみを扱った初の展覧会

英国最大の現代美術館、テート・モダン美術館で今月4/5からQueer British Art展覧会が開催されている。
の展示は1861~1967年の間に描かれたレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBTQ)に関連した作品のみを扱う。

イギリスで肛門性交に対する死刑制度が廃止された1861年から、制限付きで同性愛が合法化された1967年の間の期間に焦点を当てている。同性愛が認められてから50年経過したことを記念すると共に、性とセクシャリティーの在り方が問われ変化し始めた時代に、芸術家達は自分たちやセクシュアリティををどう表現したかを探究する展示となっている。

Simeon Solomon 1864

キューレーターである、Clare Barlowは「これは人々が己もお互いも解放し、自分が誰であろうと自分らしくいるための方法を探す物語である」そして「まだ性別とセクシャリティーの定義がはっきりとしていなかった苦悩に溢れるこの時代が重要である」と語る。

ポップアートの巨匠David Hockney、同性愛を美しく描くHenry Scottの作品や、他にも英国では初めて展示される、同性愛の罪で監獄に収容されたオスカー・ワイルドの肖像画など様々な作品が並ぶこの展示。各作品には細かな解説がついているので、絵画そのものの芸術性を楽しみながら、時代背景や芸術家ひとりひとりの物語を理解することでさらに奥深くまでのぞくことができる。

Duncan Grant 1911

大衆向けの作品と、完全にプライベートのために描かれた作品が一緒に並ぶことで、遊び心あるものから政治的なメッセージを込めたもの、エロティックなものからドメスティックなものまで驚くほど幅広い範囲の個性を楽しめるに違いない。

アメリカではすでに全ての州で同性結婚が認められており、日本でも2年前に渋谷が同性愛カップルを公認する条例を成立したことも記憶に新らしい。同性愛を無視する社会は時代遅れとまで言われる世界となった。それでも世界中ではまだ認めてもらえず苦しんでるLGBTQのコミュニティがたくさんある。イギリスで初めて同性愛のみを扱うことになる今回の展示は、同性愛に対してさらに寛容な社会へと世界を先行してくれる展示となるだろう。

“Queer British Art”はイギリス、テート美術館で10/1まで開催。

http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/queer-british-art-1861-1967

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