Kodak Blackが3/31にリリースしたデビューアルバム『Painting Pictures』は、Kodakらしいメロディックなフロウや、ロックやゲーム『ファイナルファンタジー』からのサンプリングなどが融合した、キャッチーな感触が残るラップアルバムだ。
昨年12月に保釈金を支払い出所したKodakは記念すべきデビューアルバムのリリース日には、すでに保護観察中の度重なる違反により、獄中に入り直してしまった。彼には他にも犯罪の容疑がかけられており、次にいつ出所できるかはわからない。
出所からわずか4ヶ月で制作からリリースまでこぎつけたアルバム『Painting Pictures』について、獄中のKodakの代わりにプロデューサーやエンジニアが制作秘話をXXLに対して語っている。
Kodakは出所した翌日に信頼しているプロデューサーDubba-AAを呼び寄せ、早く曲が作りたいと話していたという。DubbaはエンジニアのNixonとともに保護観察中で、外出ができないKodakの部屋に機材を持ち込み、レコーディングを開始。
最初にレコーディングした楽曲がアルバムのラストを飾る"There He Go"だった。レコーディングした、その日にリリースしてくれと頼んだKodakに対しKodakのビデオを制作している20k Visualsが、ミュージックビデオを制作しようと持ちかけ、その日のうちにビデオが撮影され、週末にリリースされることになった。このビデオは現在7600万回以上再生され、Kodakのビデオでは2番目に多い再生回数となっている。
Kodakは"There He Go"のビデオを公開するまえにアルバムのレコーディングを行ったPink House Studiosを訪れた。同作のミックスもおこなったエンジニアのLu Diazが設立したこのスタジオでKodakは2番目の家のように過ごしていたと、6曲で参加していたBen Billionsは振り返る。BillionsはこれまでにKodakとFrench Montanaによるビッグヒット"Lockjaw"のプロデュースも行っており、この曲がきっかけでアルバムでも大きな役割を与えられたという。
それはKodakが刑務所にいたことと関係がある。刑務所では音楽はラジオしか聴くことができず、Kodakは自分の曲はBillionsがプロデュースした"Lockjaw"しか聴くことができなかったという。これまではラジオヒットの重要性は意識していなかったKodakだが、刑務所でラジオしか聴くことができなかったおかげで、その重要性に気づいたのではないかとBillionsは推測している。KodakのマネージャーであるPhatboyも、Kodakは出所してからヒット曲を作るというのを強調していたと認めている。『Painting Pictures』の不思議なキャッチーさは、Kodakの獄中での経験から来ていたのだ。
Kodakは出所してからPink House Studiosにいる間は曲作りに熱中しており、最初に訪れた夜も4~5曲を一気に完成させたという。3ヶ月で50~60曲をレコーディングしたとエンジニアのGarciaは振り返っている。Garciaは『Painting Pictures』について、「ここまでクリアにそしてビビッドに自身のルーツがどのようなものでどのような生き方をしているかを伝えている作品はない」と振り返っている。