「地球は平らだ。平らなんだ。証拠は目の前にある。連中は俺たちに嘘をついているんだ」
先月、NBAのクリーブランド・キャバリアーズのスター選手カイリー・アービングが「地球は平らだ」という持論を展開し、物議を醸した。アービングといえば、昨年のNBAファイナルでキャバリアーズを優勝に導いた立役者。あのコービー・ブライアントもその実力を認めるリーグ屈指のガードだ。静かに闘志を燃やすタイプで、チームメイトからの信頼も厚い。そんな彼が、陰謀論まがいの説を真剣に主張したのだ。これにはファンもさぞがっかりしたことだろう。
しかし話はそれで終わりではない。ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンもアービングの意見に賛同。さらには、コービーと共にレイカーズの黄金時代を築いた“シャック”ことシャキール・オニールまでもが地球平面説の信者であることが明らかになった(※後日、ジョークだったと釈明しているが果たして・・・)。
(ジェイ・ファロア演じるシャキール・オニール。頭のネジがぶっ飛んだ感じが最高)
「NBA選手ってアホばかりなの!?」
そう思われても仕方がない。キリスト教福音派が進化論を信じないのは「信教の自由」として片付けられるかもしれないが、アービングをはじめとする憧れのスーパースターたちが地球平面説を真面目に唱えるってのは教育上よろしくない。日本だったら、ネットで散々叩かれた挙句、涙の謝罪会見に追い込まれることだろう。
とはいえ、日本人もアメリカの教育レベルをバカにできたものではない。例えば、中世ヨーロッパでは地球平面説が有力だったと多くの日本人が今も信じているが、そもそもこれ自体がトンデモ話なのである。地球が球体であることは古代ギリシア時代から唱えられており、地球平面説のようなナンセンスな説は中世以前にほぼ消滅している。地球が丸いことを証明するためにコロンブスが西回り航海に出たというのも真っ赤な嘘だ。
それから、昨年末話題になった水素水ね。国民生活センターの調査で「やっぱり、ただの水」であることが判明した。筆者の知り合いにも水素水の熱狂的ファンがいたが、もう飲んでいないとのこと。さすがの健康バカも目が覚めたかと思いきや、今度は「酵素」にハマっているらしい。「加熱したら酵素が死んじゃうから、野菜は生でしか食べないの」だとか。
あのね、酵素ってタンパク質でできてるんですよ。タンパク質はどっちみち胃で消化されますよね? あんた、アホなの? ってか、そもそも酵素が何か分かってる?
思わずキレそうになった私に必要なのは、科学教育よりもカルシウムかもしれない。
(文・まごおりしんぺい)