オバマ前大統領が掲げてきた政策に対し、ことごとく反対の案を出してくるトランプ大統領だが、アメリカ内での雇用創出を狙うためのインフラ整備に着手している。
それはヒューストンからカナダまで伸びる「キーストンXLパイプライン」とノースダコタから中西部へと新設される「ダコタ・アクセス・パイプライン」だ。これは原油や天然ガスを大量輸送する手段として、石油製品の生産効率を上げるためのもので、トランプ大統領が掲げたCo2排出量規制への反対の公約に基づくものだ。
しかし、オバマ政権下ではこのパイプラインの建設は、温暖化防止のため中止されてきた。トランプにとってオバマ政権のやってきたことは、反対すべき事案でもあるため、着任早々トランプ大統領はパイプラインの建設に乗り出した。
パイプラインの建設を進めるトランプ大統領の動きに対して、反対する運動が起きている。それが『NODAPL』(NO Dakota Access Pipe Line)だ。
パイプラインの1つ「ダコタ・アクセス」は先住民への居住地の環境汚染の問題を引き起こす懸念も報じられている。「ダコタ・アクセス」の建設予定ルートは北アメリカ最長の川、ミズーリ川を横切るようになっている。パイプラインを作ることで輸送中の原油がミズーリ川へ漏れる可能性があり、それはミズーリ川を生活水の供給源といている先住民にも影響がでる。
そうした懸念から様々なアーティストが『NODAPL』(NO Dakota Access Pipe Line)に参加している。
俳優ウィル・スミスを父にもち、俳優やミュージシャンとしても活動するJaden SmithとWillow Smithも『NODAPL』のデモ行進に参加している様子をInstagram、Twitterに投稿している。
#NoDAPL pic.twitter.com/E4QFXlzp1A
— Jaden Smith (@officialjaden) 2016年10月24日
父親はLenny Kravitzで、母が女優のLisa Bonet、自身も女優として活動する、Zoe Kravitzもパイプライン建設予定ルートが横切る居留地であり、そこに住む先住民、スタンディング・ロック・スー族の"Standing Rock"とプリントされたTシャツを着た写真をInstagramに投稿。建設反対の意を示している。
そしてシカゴ出身でSave Money所属のラッパー、Vic Mensaもこのデモ活動に参加している。
Vic MensaはComplexのインタビューでデモ参加へのきっかけを「先住民はアメリカでもっとも貧しく、公民権を奪われた人々だからだ」と語る。アメリカ社会が政府よりも企業に支配されると人々の生活に打撃を与える。"Standing Rock"はそんなアメリカ社会に国民の力を見せつける第一歩と評した。
トランプ大統領は1/24にパイプライン建設への大統領令に署名した。これに対してスー族も同日、抗議する旨を発表し今後も混乱は続いていきそうだ。(野口耕一)