2008年に3つのステージのみでスタートしたOutlookフェスティバルは、この10年でレゲエ、ダブ、ダブステップ、UKガラージ、グライム、ドラムンベース等のいわゆるベースミュージックを中心としたフェスとしては世界最大の規模へと成長した。
先述したジャンルの音楽を点でなく線で結んだという意味でもOutlookの功績は大きく、実際に2000年代の後半はロンドンにおいても、ダブステップはダブステップのみで、ドラムンベースはドラムンベースのみのイベントがほとんどであり、現在のようにOm UnitがChannel Oneのシステムでプレイするといった事象はOutlook以後の事である。
筆者は第2回の2009年に初めてクロアチアの地を訪れ、Outlookを体験したのだが、その頃はまだステージも3つでヘッドライナーもZion Train, Iration Steppas, Foreign Beggars, Digital Mystikzで、Laulyn HillやMos Def等を招いている近年のOutlookに比べると遥かに小規模でアットホームな雰囲気だったが、サウンドシステムへのこだわりや、低音好きが集まるという点、町並みや音楽以外のアミューズメントを充実させる他の人気フェスと違い、ステージと爆音のサウンドシステム、小さなビーチ、トイレ以外特に何も無い構成は当時から続いている。
そのメガフェスティバルとなったOutlookが先日10周年を記念し、Outlook Orchestraと題したイベントをRoyal Festival Hallというロンドン最大級のコンサートホールで開催された。
Photo by Nicola Antonazzo @nicolagypsicola
このイベントの為に編成されたオーケストラをバックにOutlookオールスターズとも言えるMC陣(General Levy、Dawn Penn、Newham Generals、Flowdan & Killa P、Pharoahe Monch、Congo Natty等)がヒットチューンを歌い、ライブダブミックスはAdrian SherwoodとMad Professorが担当するという豪華な内容で、コンサートの序盤に着席していた観客も次第に総立ちとなり、普段のRoyal Festival Hallでは見られない熱気が沸き起こった。
Part 2 #royalfestivalhall #outlookorchestra #realartist #bigflowdan #killap #skeng ???
Malaさん(@maladmz)が投稿した動画 -
The Bugとのクラシック チューン”Skeng”をパフォームするFlowdanとKilla P。
Morgan Scoffieldさん(@kaidanuk)が投稿した動画 -
Skreamのダブステップアンセム、"Midnight Request Line"
コンサート最後の曲となったのはここ数年のサウンドシステムのアンセムであるDubkasmの”Victory”だ。
満員とホールの客層は普段Outlookフェスや関連のイベントで大半を占める20歳前後の客層ではなく、20代後半から30代以降といった年齢層が目立った。第一回のOutlookフェスの時に20歳だった人も現在は30歳、少し大人になった彼らに、オーケストラが奏でる思い出の曲達はよく響いただろう。(高倉宏司)