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【イベントレポート】日本初の音楽カンファレンス&イベント『TOKYO DANCE MUSIC EVENT』

ダンス・ミュージックに特化した国内初の複合型音楽イベント『TOKYO DANCE MUSIC EVENT(以下、TDME)』が、2016/12/1(木)~3(土)の3日間にわたって開催された。日本のクラブ・カルチャー発信地、渋谷を舞台に行われたこのイベントでは、渋谷ヒカリエホールA、Red Bullスタジオ東京、WOMB、contact、SOUND MUSEUM VISIONの5会場において、『CONFERENCE(国際会議)』『SESSIONS(音楽制作)』『LIVE(音楽パフォーマンス)』の3つのプログラムを展開した。

世界共通のカルチャー・コンテンツ、ダンス・ミュージックが持つ可能性とは?渋谷区長から著名アーティストまで参加した、大規模イベントの様子についてレポートする。

取材:Yuuki Yamane

音楽業界のが分かる『CONFERENCE(国際会議)』

1・2日目に行われたCONFERENCEには、ULTRA RECORDSの設立者であるPATRICK MOXEYやTHE FADER編集長のRUTH SAXELBYなど、音楽ビジネスにおけるキーマン約50名が登壇。フェスやコンサート・クラブ事情に加え、マーケティング、ストリーミング配信、プロモーション、さらには風営法までと、幅広いにテーマについて熱い討論を繰り広げた。

中でも大きな注目を集めたのは、テクノDJの世界最高峰と称されるNINA KRAVIZへのインタビューだ。「テクノ・グローカリズム」のテーマのもと、DOMMUNE代表の宇川直宏とともにテクノ・ミュージックの地域性やシーンの特色について掘り下げながら、自身が主宰するレーベル「трип(トリップ)」について解説した。

インタビューの中でNINAは、「レーベル名には“世界中を旅してローカルとコネクトしたい”という思いを込めた。EDMを含め、テクノの中にポピュラーカルチャーとサブカルチャーの両方が存在している現状は、とても良い状態。このレーベルがリスナーにとってより良いガイドになれば」と、真摯に語った。

音楽制作のノウハウを学ぶ『SESSIONS(音楽制作)』

CONFERENCE と平行して行われたSESSIONSでは、UKのテクノ&ハウス・レーベルTOOLROOM RECORDSプレゼンツによる音楽学校が開催。ハウスデュオPROK & FITCHに並び、banvoxや☆Taku Takahashiといった世界で活躍する国内人気アーティストも講座やワークショップを実施し、音楽制作におけるプロのノウハウを直々にレクチャーした。

上級者向けの「TECHNO MASTERCLASS」には、世界的なテクノ・プロデューサーのUMEKが登場し、即興のトラックメイキングを実演。さらに、参加者から寄せられる多くの質問にも笑顔で答え、「たくさんのトライアンドエラーが大事。スタジオで存分にもだえ苦しみながら、音楽制作における自分なりの公式を見つけてほしい」と、メッセージを送った。

 

このほか会場には、AbeltonやElektron、Pioneer DJといった、シーンを支える楽器メーカーの新製品を体験できるコーナーもあり、多くのクリエイターで賑わっていた。

世界の最新サウンドを体感する『LIVE(音楽パフォーマンス)』

2・3日目の夜に行われたのは、国内外の多彩なアーティストを召喚したLIVE。『STERNE×TOOL ROOM』では、日本が誇るテクノ・マエストロ石野卓球とインドのテクノシーンを牽引するARJUN VAGALEが共演したほか、『VISION×TDME』ではETC!ETC!をはじめ、BANVOXやSHINTAROといったベースミュージック/トラップのプロデューサー&DJたちが集結。さらに『GIORGIO MORODER×TDME』では、ディスコ界のリビング・レジェンドGIORGIO MORODERが来日。熟練のパフォーマンスを披露し、フロアを魅了した。

 

ほかにも『TDME×BOILER ROOM』では、SATOSHI OTSUKIやSeiho、galcidといった気鋭の日本人アーティストをフィーチャーし、そのパフォーマンスを全世界へ向けて配信。若手から重鎮まで、それぞれが紡ぎ出す至高のグルーヴが渋谷の街全体に溢れた。

 

日本のダンス・ミュージックシーンにおいて、新たな歴史の幕開けを予感させるイベントとなったTDME。ジャパニーズ・クラブ・カルチャーのさらなる発展に期待が高まる。

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