アメリカの人気番組『サタデー・ナイト・ライブ』の字幕制作メンバーが、アメリカやイギリスのコメディについて語るblog『脇の下こちょこちょ』の出張版コラム『脇の下こちょこちょスピンオフ』の第2回目。同blog運営者の馬郡慎平(まごおりしんぺい)がTV番組や映画などを通して、現代のアメリカ社会事情などを紹介していきます。今回は全米で今一番行った方がいい都市?!ことデンバーを紹介。
アメリカ大統領選はドナルド・トランプが勝利した。現在、政権移行が着々と進んでいる。選挙から、2週間以上経った今も打ちひしがれている国民は多い。「飲まなきゃやってられない」と酒に走る人もいれば、カナダへの移住を本気で考える人もいるようだ。
しかし、人気司会者のスティーブン・コルベアはこう提案する。「カナダよりデンバーのほうがいいかもよ」
11/15にコロラド州デンバーで、全米の都市としては初めて、商業施設におけるマリファナ(大麻)の使用が合法化された。大統領選に合わせて行われた住民投票の結果だ。これからはレストランやバーなど、公共の場でもマリファナを吸えるようになる。
ただし、吸ってもいいのは客自身が持ち込んだマリファナだけ。レストランやバー側が、客にマリファナを提供することは許されない。それから、屋内で吸う場合、火をつけて喫煙するのは禁止。文字通り“クサ”を燃やしたような匂いがして周囲の迷惑だからね。でも蒸気を吸う形であればオッケー。
いろいろ制約はあるようだが、州外から来る旅行者にとっては朗報だろう。家がなくてもハイになれる場所が見つかるんだから。デンバーの観光産業にとって追い風になるかもしれないし、行政側としても、取り締まりにかかるコストを軽減できてありがたいはずだ。
面白いのは、マリファナ使用が許される施設の種類。レストランやバーの他に、ヨガスタジオもリストに入っている。
「やっぱりな!」とコルベアも大はしゃぎ。
ヨガ愛好家の方には大変申し訳ないが、筆者の場合も「ヨガ」と聞いて最初に連想するのはマリファナだ(2番目は『ストリートファイターⅡ』のダルシム)。まあ、ヨガ発祥の地であるインドでは何千年も前から宗教儀式に大麻が使われてきたわけだし、スピリチャルな世界とマリファナは切っても切れない関係にあるのかもしれない…。ふんどしパンツを履きながら俺はそんなことを思った。
あと、念のために言っておくが、日本人がデンバーに行ってマリファナを吸うのはやめておいたほうがいい。
筆者の知人に、日本では認可されていない薬物をオランダからそれと知らずに持ち帰ってしまったアホな奴がいて、パスポートに要注意人物であることを示すスタンプを押されてしまった。それ以来彼は、出入国審査のたびに素っ裸にされ、ケツの穴までのぞき込まれるという屈辱を味わい続けている。知らんオッサンに肛門をさらすなんて死んだほうがマシだろ。
(文・まごおりしんぺい)