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イギリスのはっちゃけすぎな音楽フェス?Boomtown Fairに行ってきた

Boomtown Fair

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文・写真 Tomomi Sonoo

『Boomtown Fair』はロンドンより少し南に向かったウィンチェスターという地域で4泊5日にわたって開催されるフェスティバルだ。『Boomtown Fair』の開催は今年で8年目でもともとは小さなレイヴパーティーとして始まったのだそう。初期の頃プレイしていた友人の出演者に聞いたところ、オーガナイズもなかなかぐだぐだのパーティーだった様子。

ちょっぴり’Dodgy’(イギリスのスラングで危なっかしいという意味)なフェスとしても有名・・・?ただここ数年はめきめきと人気も上昇、チケットはソールドアウト、一度行った人は完全な虜になってしまうらしい・・・!

『Boomtown Fair』は名前にもあるように「Town」そう、タウンを作ってしまうのだ、この4泊5日のフェスのために。だだっぴろい何もないフィールドに大きな街ができあがる。街というよりもう都市で本当に圧巻。日本の友人に説明したところ「万博みたいなことだね!?」と言われてあー的確!て思ったのだ。

ステージの構成はChina Town、Mayfair Avenue 、Wild West、Old Town、Whistlers Green & Kidztown、dstrkt5、Barrio Loco、Trench Town、Sector9とそれぞれ独自のテーマに沿って作られた9つの街から成り立つ。そしてその街のなかに数多くのステージやお店がずらり。ステージ、その数、なんと100以上。大きいど派手なステージから、Townの中のライブハウスやブース、小屋、森の中、など・・・

音楽のジャンルも実に様々。ドラムンベース、ジャングル、ハードテクノ、サイトランス、ダブ、レゲエ、ダブステップ、フォーク、パンク、スカ、ファンク、もう実にランダム!ダンスミュージックが中心かと思いきや、バンドもかなり多い。

 

一見はっちゃけた激しいフェスではあるがこんなアコースティックなステージもちらりほらりと。ここではみんなゆったりのんびり。

天気にもとても恵まれ、久しぶりにやってきた夏日の週末なんてラッキー。イギリスのフェスといえば泥だらけ、どしゃぶり、長靴が必須でグラストンべリーはほぼ毎年恒例かと。でも長靴なんてまったく活用せず。むしろビーサンでもいいくらいカラッカラ。おかげで砂埃もえらいことになっていたのだが雨より数倍ありがたい!

諸事情により2日目からの参戦でお昼に到着。駐車場から私のキャンプサイトへの距離は徒歩で30分以上。丘と谷を使ってつかわれるこのフェス、要するにのぼったりくだったりで軽く常に山登り感覚。

さっそく参加者のタフさがみえてくる。通過するエリアは、まずはKidztown。子供用の遊び場や、ラグジュアリーなスパエリアなんかも。ファミリーキャンプ向けで、子供連れで夜は早めにテントに戻ってゆっくりというオーディエンスが集まっているエリアのよう。丘の上からタウンを見下ろすとこんな様子。

さて、無事に私たちのテントサイトエリアのChinatownへ。ここはこのフェスのどセンター。要するに四六時中プレイが行われている。テントの設置も無事終わり、さあ一息、というところで、真っ青な青空に灰色の雲…あらあら、雨かしら?と思ったら、雲ではない…煙!

なんとカーパークで80台もの車が燃える火事が発生。BBCニュースにもなるほどのまさかの大惨事!無事に火は消し止められたが、燃えた車の持ち主の方々を思うといたたまれない・・・怪我人がいなかったのが何より。

そろそろ出陣しますかということで、まずはHidden Woodsというまさに森の中にあるステージへ。ロンドンのバンドGeneral Rootsを観にいったが、何よりこのステージがすばらしい。天気にも恵まれて汗をかくほどの暑さ、森のなか、地面は砂なので裸足の人も多数。ちょうどよい日陰とナチュラルなデコレーション、ウッドデッキで眠ったり、踊ったり、各々に楽しむのがイギリス流。

しばらくそこで楽しんだ後は、ニューヨークを代表するレゲエ、スカバンドのThe Slackersを。Wild Westエリアの中にあるステージまで観に行く。さすが大御所!圧倒されるパフォーマンス。オーディエンスの空気も一気に巻き込まれていき、元気なスカでハッピーに。写真はなにかに巻かれたお兄さん。

といっている間にChimpoを見逃す、もうすでにこの時点で何組も見逃している…フェスあるあるだ。ここにきて、Gorgon Soundもかぶっていたことに気づく。急いでなんとかCommodoは間に合う。またどセンターまで戻ってくる。この日、このステージはDEEP MEDi take over(!)。DEEP MEDiのメンバーを中心に、次々に1時間~1時間半セットをやっていくというなんとも贅沢なステージ!

他にはGantz、Special Request、Om Unitなどなど。ダブステップ好きにはとんでもないtake over!

いいベース、Commodo!Gorgon SoundのNeek氏達とも合流し、その後少しだけ一緒にうろうろした後、我らがブリストルのRSD aka Rob Smith&Joe Peng 氏をみるため、Tangled Rootsというこれまた森の中のステージへ。どでかいSound Systemが3つ横に並べられたこのステージ、もうすでにRSDのプレイは始まっていたが、何度みても最高。時々日本にプレイしに来るので是非逃さずにみてほしい。何度みてもすばらしい!

その後はDEEPMEDi takeoverのトリ、ボス、Malaをみに再度センターのステージへ戻る。オーディエンスの盛りあがりも最高潮に。ただなぜか音はCommodoよりも出ていない。Malaのセットは何度かみてきたけれど、いつもMalaになった瞬間に音が変わるというか、ベースの出の違いに圧倒されるのにこの日はなぜか???…と、友人の話によると他のステージから音を下げろという注意がきたとのこと。さすがDEEPMEDi、そのレベルでずっとやり続けていたようだ(笑)

最後にはお決まりBob Marleyの"Is this love"を大合唱。なんだかジーン。この日は沢山の移動もろもろに疲れてしまったのでMalaの後には早々にテントに戻って終了。過酷なフェスはつづく。

さて夜もあけてフェス3日目。

若者達のスタミナには、どこへいっても驚かされる事が多々なのだけれど、朝からみんな元気…みんな、いつ寝た?という、午前中から行動するみなさんの元気っぷり。そしてお天気もかわらず快晴、恵まれすぎていて逆に怖い。(晴れの日が続くと不安になるのがここイギリス)

さてシャワーを浴びるためには、シャワーや水洗トイレが設置されたエリアに入るための追加料金を払ってのリストバンドが必要になる。そのため、4泊5日シャワーを浴びない人も多数。かといって、水場もほんの少ししかないのでそのあたりで頭洗ってる~なんて雰囲気もない。だいたいトイレと水場の数が圧倒的におかしい。来場者数と比例していない(笑)

そして要するに基本的に設置されているトイレは、完全なるぼっとん便所を想像してほしい。フェスなんていうと、クリーンではないトイレは許容範囲だから…ただ決して日本のフェスのトイレを想像しないで来てね!ということで、Boomtown然り、イギリスのフェスに行ってみようと思う人は、もし水洗トイレが有料でもあるならば、ぜひお金を払うことをオススメする。イギリスをなめてはいけない。わたしが女だからということではない。イギリス人の友人達ですら、あのトイレは地獄だ、とつぶやくほど(苦笑)

そういうわけでそのリストバンドを取りに少し離れた別のキャンプサイトへ。メインのステージがたくさんあるエリアからは離れていて、とても落ち着いた静かなエリア。BBQなんかもやったり、本格的にキャンプ自体も楽しんでいる人が集まっているという雰囲気。近くの森の中はチルアウトエリアのようでハンモックがずらり!ヨガをやっている人々や、なにか森のツアー?ガイドさんと共に木などをみている人々など。

dodgyなレイヴパーティーから始まったこのフェス、今はkidztownしかり、ラグジュアリーエリアしかり、本当にオルタナティブなフェスになっている。街のとある一角。ここもみんなの休憩所に。色々なアーティストの作品をみられるのもこのフェスのみどころ。

本日一発目はChina townの中にあるパンクやスカバンドが多く演奏しているステージへ。そう、ここ実はパンクスもわりと集まるフェス。もうこのフェスに来てしまえば、一度にイギリス音楽文化に触れられる!?なんだかすごく茶色く日焼けしたお兄さんがひとりいたのでパチリ…。余談だが、このフェスではコスプレ?というか仮装をする人もかなり多い。それもひとつの楽しみなのだそう。次回参加するときはわたしもなにかしたいところ。

その後は、Lion’s den、そう、名前の通り、レゲエとダブのメインステージへ。山を登り、森を抜け…人人人!!!もう日差しが痛い!暑い!焼ける!目的は、The Skints feat Tippa Irie & Horseman!こちらはロンドンのバンド。グルーヴがうねるうねる。お客さんのノリも最高潮。演奏スキル、グルーヴ、のせ方、ただ圧倒されるばかり。その後はこの、粉の掛け合い合戦!!!みんなおおはしゃぎ!この後みんなカラフルに(笑)

それからはブリストルの名物イベントでもある、Tribe Of Frogへ。これ、完全にテクノ~サイケトランス。朝から朝まで、もう、完全にハード。ただ森の中で、この雰囲気の中で聴くサイケトランスは気持ちが良い。デコレーションもとてもきれいでサウンドもすばらしい。

お次はsector9というエリアへ。もうここは野を越え山を越え、だいぶ遠い。いったいどれだけ広いんだ、このフェス。ただステージは圧巻。ステージの出来映えをみるだけでも価値がある。本当にど派手、よくもまあこの4日の為にこんなステージをばんばんつくるものだなあと。

もうフェス一帯が、遊園地のようになっている。実際に絶叫系アトラクションもたくさん設置されており(イギリスには移動遊園地が多いため、こういうイベント時に絶叫マシンがやってくることが多々ある)ドラムンベースをBGMに、ぐるぐる回転させられたりする。

ローラーディスコなんかもあって、もうやりたいことがたくさん!計画をたてないとあっという間に過ぎていくこのフェス…

その後はPhyforest へ。名前のとおり、こちらもサイケトランスがんがんの森。照明も音もとってもきれい!みんなギラギラ。少し休憩した後に、今日とっても楽しみにしていた、Submotion Orchestra。このフェスの感じでは割とめずらしいブッキングかと思いきや、入場制限されるほどに大人気。久しぶりに鳥肌がたつほどのすばらしい演奏。1時間が本当に短く感じた、すばらしいライブを観た。

その後はMungo’s Hifi、China townの一角にあるAsbo Discoという小さなハコへ。そのとなりの建物ではダンサー達が踊っている。プロのダンサー達のダンスやファイアーショーなどもみどころなのがBoomtown。音楽だけではなく本当に色々な事が同時多発しすぎている為、何をみて、何を見逃したのか!?わからなくなってしまうフェスなのである。こちらは朝の写真だが、この黒い窓にそれぞれダンサーのお姉ちゃん達が入っていて、セクシャルなダンスを踊る。夜は人だかりで大混雑!一見の価値あり。そして夜はふけていくのであった。

Boomtown4日目。日曜日。最終日。今日も晴れ、暑い。天気のことばかり書いているが、イギリスでは必ず天気の話をする。イギリス人と絡む時はまず天気の話をすればだいたいOK。こちらはChina townにある大きなステージ、Bang hai palace。夜には花火や火を使ったど派手なショーもあったりと、なんというかとにかく派手なステージ。

ここは主にイギリスの若者に未だに人気のドラムンベースやジャングルがプレイされる。ドラムンベース的なリズムになった途端にぴょんぴょんと跳びはねはじめるので友人が「水を得た魚のようだ」と言っていたけどまさにそう。ピッチピチするのである。

シャワーを浴びてさて今日も楽しむかというところに、急に近くからなにやら太いベースがSoundsystemからきこえる。なんと最終日にテントから徒歩5分の場所に、新たなステージが設置されている。

しばらくダブをやっていたのでありがたくそこでダンスした後Hidden woodsの木陰でダブバンドをいくつか観て、まったりのんびり。Lion’s denへ行き、ジャマイカのレゲエバンド、Inner circleをみる。最終日の、青空、みんなのハッピーな空気にピッタリ。

ここからはちらほらと帰る人もいる。さすがに4日目、みんな疲れが…でて………いない。さすが、これまた酒飲みの国、イギリス。しっかし良く飲むなあと感心してしまう。しばらくのんびりと楽しんだ後、その日の夜はキャンプをせずに、わたくしも無事に帰路に着いたのであった。ちなみにこのステージでのトリはDamian Marley。Sector9のトリはDJ Hype B2B Hazard feat MCGQ 、Town CentreはParov Stelar、 Bang Hai PalaceではThe Upbeatsだった。

さて、Outlook Festivalのレポートでも書かれていたが、マスク!これが必須。砂埃は本当にはんぱない。まあここはイギリスなので、晴れていればの話。間違いなく、長靴とウォータープルーフのアウターは必要、あとは丘を上り下りする体力、砂の上で踊る脚力、どんなトイレにでも入れる勇気!トイレットペーパーはどこでも必須!あとは思う存分に楽しめる気力さえあれば、きっと今までに体験したことのないクレイジーなフェスを楽しめる。

来年は9回目。毎年どんどん規模が大きくなっていくこのフェス、次はどんな風になっているのか期待大!こんなちょっぴりど派手で若者が多い割に、意外にピースフルなフェス。知らない人とお友達になるのも醍醐味。グラストンベリーも良いが、イギリスには大~小まで本当に本当に沢山のフェスがあるので、是非、人生に一度は音楽の国、イギリスのフェスを体験してみてほしい。やみつきになること間違いなし!

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