インドのPR・マーケティング会社「TBWA\India」がメッセージアプリのSnapchatを、虐待などの難しい問題について相談するためのプラットフォームとして利用する取り組みが注目を浴びている。
虐待を受けているティーンたちを救うためにTBWA\Indiaは「Snap Counseliors(スナップ・カウンセラーズ)」と呼ばれるサービスを今年3月8日にスタートさせた。
TBWA\Indiaは、ボランティアによって運営される2つのNPO団体「LoveDoctor」「Chayn India」と協力して、恋人や親しい人から虐待を受けた女性をテクノロジーで支援する。
「親密な人からの虐待を受けた時に、それを解決するための社会的な取り組みが無いことに気づいた」ことが、Snap Counsellors設立の背景にあると、クリエイティブ・ディレクターのRajshekar Patilさんは語る。
インドの若者の人口は世界最大規模であるにも関わらず、基本的なカウンセリングサービスはほぼないか、アクセスすること自体が難しいのです。それに付け加えて、インドの保守的な10代同士の交際やデートは冷ややかな目でみられ、若者たちは孤立していきます。
このギャップの問題に対処し、なるべく多くの人にリーチするためにテクノロジーを利用することが、本質的な解決のためのフィールドでした。
Snap CounsellorsがSnapchatに目を向けた理由は、一つに「痕跡を残さずにコミュニケーションができること」そして「どこからでもアクセスできるだけでなく、匿名でいながら虐待されている人が個別の判断を仰ぐことができる」からということです。
ご存知の通り、Snapchatのメッセージは一定時間を経過すると消去されるため、虐待する人にスマホを見られて、相談していることがバレるということが起こりにくいと考えられています。
「Snapchatはマーケティングツールとしての利用されてきたものの、現実に起こっている問題を解決するためにSnapchatを活用しているのは私たちが初めてではないでしょうか」と彼は語ります。
さらにSnap Counsellorsが優れている点として、カウンセラーと利用者がより感情移入したかたちで対話できるという点にあります。
カウンセラーはその利点をこのように説明します。
カウンセラーとして、Snapchatの機能は本当に最高だと思う。ビデオ通話もできるし、短い動画を送ることもできる。しかもリアルタイムで反応することができる
Chain IndiaのNida Sheriff氏は「ティーンはSnapchatだとシンプルに安心できるんだよ。Snapchatだとカウンセラーに心をひらいてくれるんだ。もちろんSnapchatが秘密でコミュニケーションできるということも大事だけど、それよりもカルチャー的な意味の方が大事なんだ。それは今Snapchatがクールってこと。キッズたちはイケてるものを信じるからね」とSnapchatを利用するメリットを語る。
Snap Counsellorsは3つのステップを取る。まず10代の利用者がSnap Counselorsに連絡を取る。その時点でChayn Indiaから虐待などについての情報が入ったパックを受け取る。
次にSnapchatを通じてカウンセラーとの1対1のカウンセリングを行う。最後はローカルのサポートを紹介される。
それと同時にSnap CounsellorsはSnapchatのストーリーを利用して、メンタルヘルス、健康的な人間関係について、虐待などの情報をフォローしているアカウントに提供する。
今後、スペインでのローンチを予定しているが、これはスペイン語話者の多いアメリカでのサービスを開始することを念頭に置いているとのこと。もちろん隣国であるパキスタンも潜在的なマーケットとして考えている。
Snap Counsellorsは今後、Snapchatを利用したカウンセリングサービスの領域を虐待などの問題から、メンタルヘルスなどの問題などまで拡大していくかもしれないということだ。
via the Drum