常にファッショントレンドにおいて確固たる地位を築いてきた、ロゴアイテム。特にストリートファッションシーンには欠かせない存在であり、近年ではVETEMENTSを筆頭にモードシーンにも浸透してきている。そんなロゴアイテムにおいて重要なのが、フォントだ。
今世界で最も大流行しているフォントといえば、Kanye Westが最新アルバム『The Life Of Pablo』のマーチャンダイズに使用したOld Englishフォント。リリース後に大ヒットを記録し、数々のファストファッションブランドがこぞってコピーをしたことでも知られている。
そんな大旋風を巻き起こしたKanye West、そしてジル・サンダーやディオールのブランドデザインを手がけた事で知られているデザイナーのRaf Simonsが現在注目しているフォントこそが、Planet Kosmosである。
このフォントは既にKanye Westとadidasの新しいコラボレーションラインCalabasas(カラバサス)の未発表のスウェットパンツに使用されている他、Raf Simonsの2017S/Sコレクションでも使用されているのだ。
前回流行を巻き起こしたOld Englishフォントは、LAのアーティストCali Thornhill DeWittによるものだが、ネクストトレンドフォントと呼ばれているこのPlanet Kosmosを手がけたのは、Mads Rydahlだ。彼は1996年にナイトクラブなどで使用されるためにこのフォントをデザインしたと言う。
今回、Kanye WestとRaf Simonsは、デザイナーであるMads Rydahlに、このフォントを営利目的で使用するにあたって、正式な契約を結ぼうとした。しかし、Mads Rydahlが契約の見返りとして提示したものは、「Compact disc with something you love or have created yourself(あなた自信が愛着を持つ、または制作したCD)」であった。
よって、フォント使用に対する補償金や賠償金などは発生せず、代わりにKanye Westからはいくつかのアートプロジェクトやレゲエアルバム、Raf Simonsからはデザインデータや自身のコレクションピース数点をMads Rydahlに送ることとなった。このクールな取引がさらに話題を呼び、一層Planet Kosmosの人気に火をつけるきかっけになるのではないだろうか。
Mads RydahlはPlanet Kosmosをデザインした当時、1996年にこのフォントを「近未来を描いた漫画に出てきそうな、超高速な電動バイクをイメージしたようなもの」と形容している。
Planet Kosmosが使用されている Kanye WestとadidasのコラボレーションラインCalabasas(カラバサス)は現在キッズ向けとしてプロジェクトが進んでいるが、今後大人向けのラインも発表されることに期待したい。
雑誌「エルガール」のオフィシャルキュレーターを務めながら、フリーライター兼モデルとして活動中。映画を中心に、ファッション、カルチャー全般の執筆を行っている。
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