【メールインタビュー】Merry Delo | 17歳の衝動と自由

兵庫・加古川の17歳のラッパーMerry Deloの名前を初めてみたのは、先月のことだったと思う。ミックステープ『INFERNO2』に収録された"Scooter"のオリジナルバージョンのミュージックビデオで、荒々しくも不思議な魅力を放つ彼のラップは、そのキャッチーなフック部分と共に耳に残った。

それからすぐにDJ TY-KOHが、自身のクルーFly Boy RecordsのKOWICHIも参加し"Scooter"のリミックスバージョンのミュージックビデオを公開。Zot On The Waveのビートに差し替えられスムースさを増したリミックスバージョンのミュージックビデオは、公開から1週間弱で7万6000回再生を超え、この突如として現れた新鋭ラッパーに日本のラップリスナーは戸惑いつつも、少しずつ衝撃を受けているようだ。

16歳でラップを始めたという彼は、どういったきっかけでラッパーとしての道を歩き始めたのだろうか、メールで聞いてみた。

「小さい頃から何でもいいからスターになりたいと思っていた」Merry Deloは、たまたま見たTVドラマに出演していたAnarchyの姿に目を奪われる。「(Anarchyの)髪型とかファッションがかっこいいなと思って、ネットで調べたらラッパーって出てきて、YouTubeで曲聴いたらかっこいいなと思った」という。

さらにこのラップブームという環境も彼にラップを始めさせるのをさらに容易にした。「MCバトルが流行っていて、これくらいやったら絶対できるって思って地元のサイファーに行き出したのがきっかけ」でラップをスタートさせた。

「小さい頃にEXILE入るのとか憧れてて、全然ヒップホップなんか聴きもしなかったんですけど、その頃から人前に立つのが好きで、なんでもいいから有名になりたいっていう気持ちが強かったです」という目立ちたがりだった彼にとっては、ラッパーの自由さは性に合っていたようだ。

「ラッパーって自由にやりたい事を気にせず出来る所が最強に面白いですよね(笑)」という彼は、元は違う名前で活動していたが、「ちゃんと曲も作ってラッパーとして売れたいなと思った時に名前変えようと思って、その時友達からデロって呼ばれていたんでDeloにしよう!ってなったんですけど、なんか物足りひん気がして、しっくりくるやつ探していたんです。僕は祭りとか楽しい事が大好きで、それを英語にしてみたらmerryってでてきて、Merry Deloにしよう」とその名前の由来を答える。

ただそんな陽気な祭り好きのMerry Deloだが、陽気さと背中合わせで楽曲にはダークで破壊的な側面もある。影響を受けたラッパーはあまりおらず、友達に曲を教えてもらうという彼が名前を挙げてくれたのは、UKの破壊的なサウンドで人気のラッパーScarlxrdだ。

数万人の客がモッシュピットを作る光景に憧れている彼は、「人をおかしくさせたり暴れさせてしまうような、衝動的な音楽が好き」で、まさに現在のサウスフロリダの若手ラッパーたちの作り出す狂気とすれすれのパワーを持った音楽としてラップを捉えている。

Merry Deloは地元の加古川について、「ゆったりとした感じで、気持ちいい街」だと評する。一方で「事件がたくさん起きてるので治安は良くはないですね(笑)」と笑い飛ばす街で、彼はどんな友人といるのだろうか。

「僕の友達はヤンキーというか、クレイジーでおもろい人が多いですね(笑)ダンサーしてるL1kuってやつがいるんですけど、駅の公衆電話の上にいきなり登りだして、尻をだして三点倒立したのがまあまあ笑ったっす(笑)Instagramに乗せてたんですけど、運営に消されてました(笑)なんか、しょーもないことなんですけど友達とおるだけで笑ってまうし、いろいろ手伝ってくれるんでまじで感謝してます」と友人たちについて話す。ただ"Scooter"でも言及しているように、「単車乗ってふかして暴走とかしてたらかっこいい、女にもててるみたいな勘違いしてるやつが好きじゃない」とも言う。

またミックステープ『INFERNO2』に参加している他のラッパーについては、「姫路・加古川のラッパーで、anddy君と太陽君は僕より年上で、ljは僕の一個下です!かっこいいんで、SoundCloudで、DONA JEEZYと、MAISONDEって調べて聴いてみてください。524は同じ17歳で、僕の中学校からの友達です!ミクステに入ってる、"life guard"って曲でラッパーデビューしたんでこれからって所」と紹介してくれた。

名前を知られるきっかけとなった"Scooter"については、「元々はミックステープ『INFERNO2』の中でも、メイン曲じゃなくて、曲と言うより、「音」って感じに仕上げたかった曲」だと話す。「Instagram用の編集したLIVE映像とかに使えたらかっこいいやろなってゆう曲を作ってみたら、出来上がった感じ」というが、"Scooter"というタイトル自体も後付けだった。

「"Scooter"ってのは後付けで、元々は曲全部をガヤとか、擬音の様な物で歌詞っぽい歌詞は入れないつもりだったんですけど、最初のスクーって言うのは元から入れるって決めてて、でも僕は人と被りたくないんで、スクーって言ってるけど、実はスクーターって言ってる事にしようって思いついて、ちょうど原付に乗ってるしこれで書こうって決めました(笑)リリックはたまたま思いついて、いい感じに仕上がった感じです!意味を込めたと言うより、聴き心地がいいフローを目指しました」という同曲は、DJ TY-KOHが気に入りリミックスバージョンが作られることになる。

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「TY-KOHさんから曲をやろうと声をかけていただいて、僕のミクステ送ったら、"Scooter"いいねってなって」リミックスを作ることになったが、「KOWICHIさんが入ってくれるのは当日スタジオで知って正直ビックリしました(笑)」というようにサプライズもあったようだ。

リリックで言及されているスピード違反は、「バイト遅刻しそうになって、急いで70キロくらいだしてたら取られた(笑)」もので、スクーターについては「良いところと悪いところは、早いけど寒い」とこれもまたリリックと同じ感想を述べてくれた。

またリミックスバージョンのミュージックビデオに批判的なコメントがついていることについても、「観てくれている時点で僕に興味あるって事だと思うんで、これからの活動楽しみにしておいてください!!手の平返すと思うんで(笑)」と余裕の様子だ。

最後にどういったラッパーになりたいかと聞いたら「曲で洗脳させるようなラッパーになりたい」と答え、こう続けている。「ありきたりですけど、不可能を可能に変えたい。日本人の客質はまだまだ海外とは程遠いとおもっていて、それは客が悪いんじゃなくて、アーティストが本気で客を作れてないからだと思っています。よくトラップをしてる若いラッパーで、客がノリ悪かったらやる気をなくしたり、キレてたりする人みるけど、それは曲がださいとかそれ以前に自分の力不足で、どうしても客を飛び跳ねさせたかったら、飛ばざるをえない雰囲気作りをして、ここで飛ぶよって分かりやすくかっこよく伝えなくてはいけないと思ってます!そこから、それを続けていったら客もわかってきて当たり前になっていって進化していくと思ってます!それは、Jin Dogg君や、Young Coco君のライブをみて凄いなとおもいました!僕は日本じゃ無理っぽいことを実現させるラッパーになりたいです!」と話してくれた。

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Merry Deloは、普段ライブをしている姫路のCLUB CASSIDYでワンマンライブを7月に開催予定だ。楽曲を聴き、インタビューを読んで興味が湧いた17歳でのワンマンという大舞台をチェックしてみてはどうだろうか。

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