【対談】ZEN-LA-ROCK × G.RINA | アルバム『HEAVEN』とヒップホップの外側から

7月にZEN-LA-ROCKが5年ぶりとなるアルバム『HEAVEN』をリリースした。今作には、過去5年間でリリースしてきたシングル曲などを収録しつつ、リード曲となっているのは、G.RINAがプロデューサーとして参加し、鎮座DOPENESSをゲストに迎えた"SEVENTH HEAVEN"だ。最近のG.RINAの楽曲のスタイルにも通じる、80~90'sテイストを巧みに落とし込みつつ、しっかりとアップデートも加えた同曲は、この夏の定番となる1曲で間違いないだろう。この曲でZEN-LA-ROCKはG.RINAに自身のボーカルも含めディレクションを依頼したという。

FNMNLではZEN-LA-ROCKとG.RINAに、"SEVENTH HEAVEN"やアルバム『HEAVEN』について、そして2人の共通するスタンスなどについて話してもらった。

取材・構成 : 和田哲郎

写真 : 横山純

- そもそも2人が初めて会ったのは?

ZEN-LA-ROCK - いやあ、本当に会っただけとかなら、90年代のクラブとかかな。その時は自分はまだ音楽もやってなかったから、一緒にやるとかは思ってなかった。

G.RINA - たぶんお互いそうですね。

ZEN-LA-ROCK - 基本はDJだったんで。「なにやってる人ですか?」って聞かれたら「DJです」って。その時はラッパーとしてやるっていうのは1秒も考えたことなかったです。

G.RINA - マイクをもつのを考えたのはいつ?

ZEN-LA-ROCK - DJしながらもマイクは握ってたんですけど、友達にラップしてよっていわれて歌詞を考えても、リリック難しいなと思って、全然そんな気はなかったんですよね。毎日が楽しければそれでOK、最高って。アホな若者の極みみたいな。G.RINAさんと会ったときも、遊びに行ってただけで、どこまでも浅い海で泳いでました。

G.RINA - ラッパーとしてフロウとかライミングで影響を受けた人とかいます?あんまり誰かの影響を感じさせないなあと思って。

ZEN-LA-ROCK - そういう風にやりたいなって思うことはあるんですけど、できないんですよね(笑)

ZEN-LA-ROCK

G.RINA - ふふふ(笑)じゃあすごい好きだったラッパーは?

ZEN-LA-ROCK - すごいかっこいいなって思ってたのはTwigyさん。特に『7th Dimensions』のときとか。あのアルバムは何千回は聴いたかな。

G.RINA - スタイルを追うという感じではなく?

ZEN-LA-ROCK - でもすごい聴いてましたね。あとはキミドリとか。でもYOU THE ROCK★氏が好きで、それはラップというよりスタイル含め全部が良くて、一時オールドスクールになったじゃないですか、そのとき自分もオールドスクールがすごい好きで、チェーンかけて、カンゴールとかかぶってたんで。それでそのとき遊んでた友達と、まだ若かったんで、「ノリでYOU THE ROCK★に会ってラップ聴かせにいこうぜ」ってなって。酔っ払った状態で、クラブに入って「おれのラップ聴いてくれよ」って言ったら、もう「はあああああ?」みたいな(笑)「どういうことですか?」って感じでリアクションが薄くて。「あれ?滑ったんじゃね?」って思って(笑)

G.RINA - 同志みたいになれると思ったんだ(笑)

ZEN-LA-ROCK - 当たり前ですけど、なるはずなくて。当時は超ガキだと思うから、怒る気にもならなかったぽくて。

G.RINA - 最近そういういきなりフリースタイルされるって話聞くけど、そういうのあるんですね。でもそこから仲良くなって?

ZEN-LA-ROCK - 仲良く...そうですね。それで回を重ねるごとにいろんな関係値ができてきて。

- 確かにZEN-LAさんの日本語ラップでどういう影響を受けてきたって話はあまり聞かないですよね。

G.RINA - ね、系譜を感じさせないから(笑)でもそれも魅力だと思います。

ZEN-LA-ROCK - でも日本語ラップはすごい好きですね、あとTOKONA-X氏からも影響を。

G.RINA - どんな風に?

ZEN-LA-ROCK - ズルムケで、あとラップが上手い。噂等は聞いていたんですけど、歳は一個くらいしか変わらないんですよ、意味がわからない。Maccho氏とかもそうだし。おれが中学生のときから雑誌に載ってて、一個上か。。。って。あと超初期のSD JUNKSTAを見たときは腰が抜けるかと思いました。

G.RINA - いつ頃?

ZEN-LA-ROCK - 2005年とかすかね。ステージでラップしてグラフィティー描いて、ブレイクダンサーが踊って、ヒップホップの4大要素をマジでやってて、やべえみたいな。

- G.RINAさんは日本語ラップの現場は?

G.RINA - すごい行ってました、『さんぴんキャンプ』がほぼ最初の衝撃で、あとは『亜熱帯雨林』とか。来日アーティストのライヴも足繁く行ってましたね。

ZEN-LA-ROCK - 『亜熱帯雨林』(YOU THE ROCK★やTwigyなどが結成した雷家族のメンバーが開催したイベント)行ってたんですか!!!半端ないですね、意外過ぎます!!!

G.RINA - 『鬼だまり』(同じく雷家族が1996年に川崎チッタで開催したイベント)も行ってたし、ほんとに日本語ラップめちゃくちゃ好きで。

ZEN-LA-ROCK - あの頃は今くらいのムーブメントでしたもんね、形は違うけど。

ZEN-LA-ROCK

- 今回の作品だとBron-Kさんはすごい意外でしたね。

G.RINA - 意外でした!

ZEN-LA-ROCK - 長い付き合いでして。

G.RINA - すごーーくいいですよね、あの曲。

ZEN-LA-ROCK - Bron-Kはラッパーだよね。

- 参加者だと一番ちゃんとヒップホップという感じですよね。

ZEN-LA-ROCK - 相模原のNate Doggだから。歌詞はすごい繊細で。一時期近くに住んでたことがあって、それが一番のきっかけでしたね。みるくの時くらいから知ってたんで、じゃあちょっとやっちゃおうかって。Bron-Kのいい魅力を引き出せたかなって。やっさん(Yasterize)のビートも良かったな。

G.RINA - Yasterizeくんのやってるビートは全部良かった。

ZEN-LA-ROCK - 今回のメインプロデューサーくらいな感じで。砂原さんのマスタリングが終わったあとのデータを送って、すぐ電話くれたのもやっさんで。「なんなんですか?このマスタリング」って。おれはずっと聴いてから、異質すぎちゃって、これいいのかなって思ったんだよね。「ん?」みたいな。でも改めて聴くとそれこそ"Seventh Heaven"の印象とかすごかったです。出るとこ出て、ギューボンって感じで。DJするときにもかけてるんですけど、すごいいいバランスで鳴ってるなって。RINAさんも言ってた808のブーンって音は、「これ、これ」って音になってたし。いやあこんなにすごいものだとは。

- マスタリングを砂原さんにってアイディアは?

ZEN-LA-ROCK - Kashifくんのアルバムをやってて、カフェでKashifくんからその話を1時間くらい聞いてしまって。それが楽しい旅行の話を聞いたみたいな感じで、じゃあおれもお願いしたいなって。それでダメ元でオファーをしてみたら、OKをいただけたんで。

G.RINA - トラックメイカー、ミキサーも曲ごとに違うし、作った時期も違うけど、それがマスタリングでかなり調整されてるなって。

ZEN-LA-ROCK - "Ice Ice Baby"とかもすごい新鮮に入ってきたりとか。

- 砂原さんにどういう風にしてほしいって言ったんですか?

ZEN-LA-ROCK - 「お会いしたこともないのに本当に恐縮なんですけど、昼か夜かって言ったら夜で、ちょっとキラキラしていて、80'sとか90'sの匂いもあるんですけど」ってことをすごいシンプルに添えて送って。聴くとまさにそんな感じはしたっすけどね。でも制作の最後にRINAさんと一緒に作ってたときは大変でしたね、Red Bullのスタジオのときとか、ほぼ記憶にないもん。

G.RINA - スタジオで2人(ZEN-LA-ROCKと鎮座DOPENESS)の歌入れをしてて。

ZEN-LA-ROCK - あんまり曲が固まってなくて、歌のところもRINAさんにディレクションしてもらいたいなと思っていて。1人でやると自己完結だから。

G.RINA - 1日目は2人でスタジオに入って、できたものを送ってもらって、2日目に私も行って、ここはこうして欲しいって感じで。

- G.RINAさんも、前お話伺ったときにプロデュース的な立場でもっとやりたいって言ってましたもんね。

ZEN-LA-ROCK - それを読んだんですよ。

G.RINA - ははは(笑)あー良かったそれは。

ZEN-LA-ROCK - それにRINAさんのこのあいだのアルバムの鎮さん(鎮座DOPENESS )との曲"想像未来"が最高すぎて。それでアルバムのリード曲どうしようってなったときに、絶対できそうだなって絵が浮かんで。RINAさんの最近の2作はクラシックスですね。そこの流れに無理やり乗っけていただいたみたいな。

- でもZEN-LAさんも、もちろん90'sとか80'sの曲はDJとかでかけてたりとかしてましたよね。

ZEN-LA-ROCK - まあまあそうだけど、でもRINAさんは当時のものからアップデートしてるからそこが好きだし、すごいなって思いますね。それ風な音楽とかやってる人はいるとは思うけど、そういうのは良いなとは思わなくて。でもRINAさんのは自分でトラックを作ってるのもすごいし、プロダクションがいいなあって。作り方もキメ細やかじゃないですか。でも今回の"Seventh Heaven"はできてよかったあ。

- G.RINAさんはどういうことをレコーディングのときに伝えたんですか?

G.RINA - えっと、そもそも、私は日本語ラップもすごい聴いてるけど、こんな人いないなってずっと思っていて。とにかく今までの曲もトラックメイカーの人選がすばらしいなと。「組み合わせ~」とかよく言ってるけど、ホントに組み合わせ力がすごいんですよね。だから私でいいのかなと思いつつ…。私たちは好きなものが近いのかなと思うんですけど、ヒップホップもブラコンも偏愛している感じ、でもフレッシュなサウンドにしたいっていう。だから依頼があったことも、すごい嬉しくて。ZEN-LAくんは、いわゆるヒップホップ的なマッチョさがなくて、私をプロデューサーで呼んでくれるのもありがたいなって思ったし、色んなことを指示してほしいって言われたんで、ラップをのせた音を送ってくれたあとも、もっとこうできる、もっとこうできるって、時間がない中でもしつこくやりとりさせてもらいました。

ZEN-LA-ROCK - おれも送ったデモには、あんまり自信がなかったけど、やってます感は出して送って。「しっくりきてないですけど、今日はこのテイクが一番よかった」って。でもラップになっちゃってて、もうすこし歌っぽい感じでやりたくて。

G.RINA - 「もっと歌って、もっと歌って」ってすごいしつこく言って(笑)

ZEN-LA-ROCK - おれもどうしようって感じになっちゃって、最後の方にTy Dolla $ignのリンクをRINAさんから何個か送ってもらって、ああそうかと思って。じゃあこういう気分で書いてみようって。

G.RINA - こんなに明かしていいのかな(笑)トラックが90'sぽい音色を入れたりしてるから、新しい感じにするにはZEN-LAくんも新しい面を見せてほしいっていうのがあって、普段はZEN-LAくんのラップにプロデューサーがいろいろ言ってくることはないだろうなって思ったので、絶対違うところも見れるはずだと思って、言わせてもらうことにしました(笑)

ZEN-LA-ROCK - いやあ、でも9回裏2アウトまで何も出てこなかったですね。

G.RINA - 節をつけてほしかったんです。声質がユニークだし、気持ちオートチューンかかるくらいの感じにしたら絶対気持ちいい感じが出るんじゃないかなって。鎮くんはどんなものでもメロディーつけて返してくれるだろうなって思っていたので。

ZEN-LA-ROCK – ビートは本当にちょっとニュージャック風なところにアップデートされたものが入ってて、そこでラップを普通にしたらなんかちょっと、これが1曲目???って感じになっちゃうなって思ってて、それでやり取りを繰り返して、できて良かったなあって。

G.RINA - スタジオに行ったときに「もっとセクシーに、コミカルさいらないから」って言ってて(笑)だいぶ困ってたと思うんですけど、それでちょうどいいくらいのコミカルさになったかな?と。

ZEN-LA-ROCK - あれが限界でした(笑)面白かったですねえ、自分が作ったらこうはならないっていうか。ぼんやり完成形は描いてましたけど、また全然違った曲にはなったなっていうか。

G.RINA - あと私が仮歌で入れた歌詞をZEN-LAくんが空耳して「Seventh Heaven」って言ってる箇所があって、面白いから”Seventh Heaven”ってディスコクラシックからフレーズサンプリングして歌を入れてみたりして。空耳から始まっていい具合にハマったので、結果的にタイトルにもなったし、そういう偶然もいい流れでしたね。

ZEN-LA-ROCK - DJ Kaoriさんのラジオでたら「いいね」って言われましたよ。これでビデオが出るとまた違う感じになるとは思うんですけど。どうなんですかね?あのビデオ(笑)

G.RINA - どうなんですかね(笑)

ZEN-LA-ROCK - ビデオは曲以上にぶっつけ本番でやったんですけど、でも珍妙なビデオにはなったかなって、チープさは全然なくて。

G.RINA - ビデオは女の子がやる気のあるバージョンが使われたけど、やる気のないバージョンもいいかなって思いましたね。

ZEN-LA-ROCK – あっちもよかったですか?振りを韓国のモデルの女の子にやってもらったんだけど、リップシンクしてとか、振りやってとか無茶ぶり気味で、結構嫌がってて。韓国語で絶対「もう無理」って言ってる・・・って感じで。ようやく撮影2日目は楽しみはじめてくれて、撮れた感じで。撮影クルーには究極の感謝です。

G.RINA - ビデオを見て思い出したんですけど、私は最初こんな歌うはずじゃなかったんですよ。2人が全部歌うか、ビデオみたいに誰か別の人を立てて、私はトラックとかディレクションに徹するつもりだったんですけど、私が仮歌で歌ったところを「そこは残しで」って言われて、いつの間にか、あれそうなんだ?!って。

最初に依頼されたときにちょうどBruno Marsのアルバムが出たあとだったし、私たちが愛してきたものを、どうやってアップデートするかっていうのがテーマで、「Tuxedoでさえちょっと古いかもしれない」的なこともZEN-LAくんに言われて。だからキラっとしたものを作りたいなとは思ったんです。

ZEN-LA-ROCK - 鳴りがBruno Marsの方が良くて。今回のアルバムはそういう鳴りには気をつけましたね、自然にやるとビンテージっぽい方向性にいっちゃうから。

ZEN-LA-ROCK

G.RINA - ところでMAGiC BOYZの曲は最初クレジット見ずに聴いていたので、誰がラップやってるんだろう、女の子なのかなって思ってすごく新鮮でした。歌詞は誰が書いてるの?

ZEN-LA-ROCK - おれですね、歌唱指導もして。トラックはOhm(Sam is Ohm)ですね。

G.RINA - OhmくんとYasterizeくんのトラックはすごいシームレスだよね。

- 2人ともダンスミュージックがバックにありますよね。

ZEN-LA-ROCK - サンプリングしないし。このビートはサンプリングだけど、定番すぎてサンプリングには入らないよね。Ohmは若いのに、ちょっとおっさんぽくていい。

G.RINA - Ohmくんはハウスクラシック好きすぎじゃない?それにしてもZEN-LAくんのスタイルはかなりポップでダンサブルだと思うんですが、日本だと荒波の中を進んでみえるような感じなのは、なんでなんだろうと思って。

- ZEN-LAさんみたいにパーティー感覚が反映されているラッパーもそんなにいないじゃないですか。

G.RINA - 内面とかをあまり歌わないよね。そういう方向に徹してるのかなと思うんですが。(笑)

ZEN-LA-ROCK - 内面全然ないですね、雰囲気とかを歌う。

G.RINA - だからヒップホップがスタイル・ウォーズだとすればすごいスタイルを持ってると思うんですよ。

ZEN-LA-ROCK - そこだけしか自分の武器がないっていうか。

G.RINA - ヒップホップってほんとうは懐深いんだよな〜ってことを再認識しますよね。

ZEN-LA-ROCK - 5年ぶりだったんで、その分のものは上手く入れられたかなって感じはするんですけどね。

G.RINA - どういう人に聴いてもらいたいとかは?

ZEN-LA-ROCK - 参加してるアーティストのファンには聴いてもらいたいですね。あとはtofuくん聴いてる人とか。ラップ聴いてる人にも、もちろん聴いてもらいたいと思いますけど、若い子はどう思うんだろうなって、そういう話を聞いてみたいですけどね。「ちょっとフロウが古すぎて..」みたいな、やっぱそうだよなーって。

G.RINA - 独特な声質を活かした、鳴らし方とかいろいろありそうだなってまだまだ思いますよ。

ZEN-LA-ROCK - 今回もテコ入れしたつもりなんですけどね、でも直らなくて涙 それも、もうちょっと続けていきたいなって思うんですけどね。常に課題、急にガラッとは変えられないんで。トラップ調の曲で、いきなり三連符ぽくなるのが俺の中では一番ダサいっていうか。塩梅が難しいですよね。

- ZEN-LAさんは結構自分を引いた目線で見ていて、それって元々DJだからなんですかね。

ZEN-LA-ROCK - そうかもしれないね。やっぱラップよりサウンドの方に最初は惹かれてたし。最近もらわなくなったけど、昔はもらったデモトラックとかをよく聴いてて。デモCDは良いのがあるっていうか。たまに送ってくれる人いるけど、結構そういうのを聴くのが好きで。ドキドキするっていうか。その人の何かが垣間見えるじゃないですか。

G.RINA - うんうん。本当にいろいろ想像を喚起させられますよね。突拍子もないものも含めて(笑)

ZEN-LA-ROCK - それはそれですげえなって(笑)なんでこのデモをおれにとか。最近全然ないですね、でもそういうので良いなって思ったりとかが。

ZEN-LA

G.RINA - ちなみに「組み合わせ」とか、「Yep,Yep」とか定期的にキャッチフレーズを入れ込んでくるのは?

ZEN-LA-ROCK - あれはなんか日常が楽しくなるというか。最近は「侍」っていうのが流行ってるんですよ。MVの撮影で韓国行ってたときは、鎮座侍とか言ってましたね。「組み合わせ」とかは突発的にすごい面白いのが降りてくる日があって。

G.RINA - あはは、元々どうやって生まれたの?

ZEN-LA-ROCK - MVに出てるJOYってオトコがいるじゃないですか。JOYが歌が得意だって言い出して、友達の結婚式とかで、毎回JOYが歌うとかなりの人数が泣くって言ってて。「そしたら今度試しに歌ってみようよ」って言って、"New Jack Your Body"作ってるときにスタジオに来て。最初は全部ラップ入れてたんですけど、「JOY、ここに入って「組み合わせ~」って言ってみ」ってやらせたら、良くてそれでいこうってなって。MV撮影のときにJOYが、「組み合わせ~」ってあのポーズをやったら、スタッフ全員めちゃくちゃ盛り上がって、爆笑みたいな。それで定着して、ひどいときは会話全部があのフロウになってた。

- ZEN-LAさんから生まれたワードとか多いですよね。

ZEN-LA-ROCK - 最近はないけどね、侍くらい。

G.RINA - 組み合わせ、組み合わせ言うだけあって、ZEN-LAくんはファッションもそうですけど、コーディネート力が本当にすごいなあと思います。

ZEN-LA-ROCK - ありがとうございます、でもここ5年間くらいそれがイマイチ、ピンときてなくてようやく出来たって感じなんですよね。

- 毎年でもちゃんとトレンドとかをうまく取り入れてますもんね。

G.RINA - 新しいサウンドを面白がるのも大事だなと思うんですけど、ヒップホップの今の潮流をそんなには入れてないですよね。

ZEN-LA-ROCK - それはできないっていうのもあるし、それこそ誰かがプロデュースしてくれたらできるのかもしれないですけど。自分でやると本当に、こういう組み合わせでってことばっか考えちゃう。そういうのが自分で作ってて楽しいものでもあるんで。そんなヒップホップぽいのは作り方がわからないっていうか。

G.RINA - リリック的に内面はあまり出さないって言ってましたが、そんな中でも自分の内面が出たものってありますか?

ZEN-LA-ROCK - "別にいいんじゃない"とかですかね。あと"PLANET 808"はスマーフ男組やA.D.S.で活躍していたマジアレ太カヒRAWこと村松さんへのオマージュ的な曲ですけど、あれはGhetto Hollywood先生に昔の映像も使ってビデオとってほしいなって。

- やっぱりスマーフ男組の影響は大きいですか?

ZEN-LA-ROCK – やっぱりSun Raとか理解できてるのかはわからないけど、現代音楽とか、ヒップホップを違う角度から聴くとか、レーベルのフォントがヤバいとか、そういうものは村松さんだけから学んだわけじゃないけど、皆さんといて自然に入ってきたっていうか。あと当時ならRaw Lifeとかはスマーフさんとやってることで、おれも足を踏み入れてたと思うんで、そういうのは影響はでかいよね。

G.RINA - 私はGrandmaster FlashのラジオミックスのテープをOnewayで買ってたのが原点として大きいので、ZEN-LAくんはそういう当時のミクスチャー的な感覚を共有できる貴重な存在なんですよね。

ZEN-LA-ROCK – オールドスクールが好きだからですね、でもおれは『ゲットダウン』とかは見てなくて。なんか今観るのが違うなとは思っていて。勝手な思いなのですが。でもないものを作るっていう、当時からある精神はずっとフレッシュだなと思っていて。YMO2枚使いをブロンクスとかでみたいな。今はでもパーティーでも他のジャンルかかるの普通だもんね。昔は他の音楽聴いてると「なんで?」って感じだったから、それは進歩してて良かったなって。

G.RINA - オールドスクールも今もいろんなもののハイブリッドなのがヒップホップの好きなところだけれど、それでもコアなところでは保守的な価値観を求められるときもあるから、ずっとアウトサイダーな気持ちで。だからどうしても批評性を内側に持ってしまうんですよね。

ZEN-LA-ROCK - それは絶対ありますね、ナチュラルに負い目というか。ヒップホップに対してはそれはずっとありますね。ギャングスタにはなれないけど、このゲームに参加していたいんで、どうするかみたいな。

- でも曲を聴くと負い目を感じてやってるとも思わないですけどね。

ZEN-LA-ROCK – 東京にいるからっていうのもあるのかな、友達もいるからここらへんならわかってもらえるかなって。昔はちょっとキツかった。若いときは同世代の人数も多いし、クルーとかで、でもちょっと同世代も減って寂しい。

G.RINA - 孤軍奮闘というか。クルーとかって憧れるけど、そういう風にはならなかったなあ・・・っていうところもちょっとシンパシーありますね。

- 今後2人でなにかをやるとしたら、どういう形でやってみたいですか?

ZEN-LA-ROCK - 全然やっていただけるなら、またやってほしいですね。次は2曲やってみようとか。

G.RINA - すごい好きなものをそのままやるんじゃなくて、そこにどれだけ新しいものを入れられるかってところですよね。せっかくやるならZEN-LAくんの意外性を引き出したいし、女の子の心もつかんでほしい(笑)

ZEN-LA-ROCK - それは今すぐにでもやりたいんですけどね(笑)

G.RINA - 思いの外、骨の髄からコミカル具合が出てくるんですよね。自然に面白くしてこようとするから(笑)、もちろんそれも魅力だけれど、自分がプロデュースするときは少しだけ違う雰囲気を出せたらなって。

ZEN-LA-ROCK - 今回はレーベルのおかげで、いい感じで動けたので次も出せたらなって思うね。今回はサポートしてくれた人しかり、参加してくれた人しかりタイミングがよくてラッキーだったから、もう一枚くらいはブランニューな面を見せれるようにスキルアップしたいし。

ZEN-LA-ROCK

Info

Zen-La-Rock

アーティスト:ZEN-LA-ROCK

タイトル: HEAVEN

発売日:2017年7月12日(水)

価格: \ 2,100(税抜価格)+ 税

品番:GLUE-002

収録曲:

1.SEVENTH HEAVEN feat.鎮座DOPENESS & G.RINA ★リード曲

2.DOUBLE ROCK HEAVEN feat.YOU THE ROCK★ & BTB & Bobby Bellwood

3.ICE ICE BABY feat.JOY McRAW

4.MAGiC SUMMER feat.MAGiC BOYZ

5.黄昏LOVIN' feat.TOKYO HEALTH CLUB

6.別にイイんぢゃない feat Kick a Show

7.ロマンティック租界 feat.BRON-K

8.TELL ME UR SECRET feat.KIRIN

9.MOON feat G.RINA

10. PLANET 808 feat. ロボ宙

11.スペース☆ダンディfeat.嫁入りランド

12.Tropical Triangle(ZEN-LA-ROCK×鎮座DOPENESS×サイプレス上野)

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