【対談】ZEN-LA-ROCK × G.RINA | アルバム『HEAVEN』とヒップホップの外側から

FEATURED  2017.08.03  FNMNL編集部

7月にZEN-LA-ROCKが5年ぶりとなるアルバム『HEAVEN』をリリースした。今作には、過去5年間でリリースしてきたシングル曲などを収録しつつ、リード曲となっているのは、G.RINAがプロデューサーとして参加し、鎮座DOPENESSをゲストに迎えた"SEVENTH HEAVEN"だ。最近のG.RINAの楽曲のスタイルにも通じる、80~90'sテイストを巧みに落とし込みつつ、しっかりとアップデートも加えた同曲は、この夏の定番となる1曲で間違いないだろう。この曲でZEN-LA-ROCKはG.RINAに自身のボーカルも含めディレクションを依頼したという。

FNMNLではZEN-LA-ROCKとG.RINAに、"SEVENTH HEAVEN"やアルバム『HEAVEN』について、そして2人の共通するスタンスなどについて話してもらった。

取材・構成 : 和田哲郎

写真 : 横山純

- そもそも2人が初めて会ったのは?

ZEN-LA-ROCK - いやあ、本当に会っただけとかなら、90年代のクラブとかかな。その時は自分はまだ音楽もやってなかったから、一緒にやるとかは思ってなかった。

G.RINA - たぶんお互いそうですね。

ZEN-LA-ROCK - 基本はDJだったんで。「なにやってる人ですか?」って聞かれたら「DJです」って。その時はラッパーとしてやるっていうのは1秒も考えたことなかったです。

G.RINA - マイクをもつのを考えたのはいつ?

ZEN-LA-ROCK - DJしながらもマイクは握ってたんですけど、友達にラップしてよっていわれて歌詞を考えても、リリック難しいなと思って、全然そんな気はなかったんですよね。毎日が楽しければそれでOK、最高って。アホな若者の極みみたいな。G.RINAさんと会ったときも、遊びに行ってただけで、どこまでも浅い海で泳いでました。

G.RINA - ラッパーとしてフロウとかライミングで影響を受けた人とかいます?あんまり誰かの影響を感じさせないなあと思って。

ZEN-LA-ROCK - そういう風にやりたいなって思うことはあるんですけど、できないんですよね(笑)

ZEN-LA-ROCK

G.RINA - ふふふ(笑)じゃあすごい好きだったラッパーは?

ZEN-LA-ROCK - すごいかっこいいなって思ってたのはTwigyさん。特に『7th Dimensions』のときとか。あのアルバムは何千回は聴いたかな。

G.RINA - スタイルを追うという感じではなく?

ZEN-LA-ROCK - でもすごい聴いてましたね。あとはキミドリとか。でもYOU THE ROCK★氏が好きで、それはラップというよりスタイル含め全部が良くて、一時オールドスクールになったじゃないですか、そのとき自分もオールドスクールがすごい好きで、チェーンかけて、カンゴールとかかぶってたんで。それでそのとき遊んでた友達と、まだ若かったんで、「ノリでYOU THE ROCK★に会ってラップ聴かせにいこうぜ」ってなって。酔っ払った状態で、クラブに入って「おれのラップ聴いてくれよ」って言ったら、もう「はあああああ?」みたいな(笑)「どういうことですか?」って感じでリアクションが薄くて。「あれ?滑ったんじゃね?」って思って(笑)

G.RINA - 同志みたいになれると思ったんだ(笑)

ZEN-LA-ROCK - 当たり前ですけど、なるはずなくて。当時は超ガキだと思うから、怒る気にもならなかったぽくて。

G.RINA - 最近そういういきなりフリースタイルされるって話聞くけど、そういうのあるんですね。でもそこから仲良くなって?

ZEN-LA-ROCK - 仲良く...そうですね。それで回を重ねるごとにいろんな関係値ができてきて。

- 確かにZEN-LAさんの日本語ラップでどういう影響を受けてきたって話はあまり聞かないですよね。

G.RINA - ね、系譜を感じさせないから(笑)でもそれも魅力だと思います。

ZEN-LA-ROCK - でも日本語ラップはすごい好きですね、あとTOKONA-X氏からも影響を。

G.RINA - どんな風に?

ZEN-LA-ROCK - ズルムケで、あとラップが上手い。噂等は聞いていたんですけど、歳は一個くらいしか変わらないんですよ、意味がわからない。Maccho氏とかもそうだし。おれが中学生のときから雑誌に載ってて、一個上か。。。って。あと超初期のSD JUNKSTAを見たときは腰が抜けるかと思いました。

G.RINA - いつ頃?

ZEN-LA-ROCK - 2005年とかすかね。ステージでラップしてグラフィティー描いて、ブレイクダンサーが踊って、ヒップホップの4大要素をマジでやってて、やべえみたいな。

- G.RINAさんは日本語ラップの現場は?

G.RINA - すごい行ってました、『さんぴんキャンプ』がほぼ最初の衝撃で、あとは『亜熱帯雨林』とか。来日アーティストのライヴも足繁く行ってましたね。

ZEN-LA-ROCK - 『亜熱帯雨林』(YOU THE ROCK★やTwigyなどが結成した雷家族のメンバーが開催したイベント)行ってたんですか!!!半端ないですね、意外過ぎます!!!

G.RINA - 『鬼だまり』(同じく雷家族が1996年に川崎チッタで開催したイベント)も行ってたし、ほんとに日本語ラップめちゃくちゃ好きで。

ZEN-LA-ROCK - あの頃は今くらいのムーブメントでしたもんね、形は違うけど。

ZEN-LA-ROCK

- 今回の作品だとBron-Kさんはすごい意外でしたね。

G.RINA - 意外でした!

ZEN-LA-ROCK - 長い付き合いでして。

G.RINA - すごーーくいいですよね、あの曲。

ZEN-LA-ROCK - Bron-Kはラッパーだよね。

- 参加者だと一番ちゃんとヒップホップという感じですよね。

ZEN-LA-ROCK - 相模原のNate Doggだから。歌詞はすごい繊細で。一時期近くに住んでたことがあって、それが一番のきっかけでしたね。みるくの時くらいから知ってたんで、じゃあちょっとやっちゃおうかって。Bron-Kのいい魅力を引き出せたかなって。やっさん(Yasterize)のビートも良かったな。

G.RINA - Yasterizeくんのやってるビートは全部良かった。

ZEN-LA-ROCK - 今回のメインプロデューサーくらいな感じで。砂原さんのマスタリングが終わったあとのデータを送って、すぐ電話くれたのもやっさんで。「なんなんですか?このマスタリング」って。おれはずっと聴いてから、異質すぎちゃって、これいいのかなって思ったんだよね。「ん?」みたいな。でも改めて聴くとそれこそ"Seventh Heaven"の印象とかすごかったです。出るとこ出て、ギューボンって感じで。DJするときにもかけてるんですけど、すごいいいバランスで鳴ってるなって。RINAさんも言ってた808のブーンって音は、「これ、これ」って音になってたし。いやあこんなにすごいものだとは。

- マスタリングを砂原さんにってアイディアは?

ZEN-LA-ROCK - Kashifくんのアルバムをやってて、カフェでKashifくんからその話を1時間くらい聞いてしまって。それが楽しい旅行の話を聞いたみたいな感じで、じゃあおれもお願いしたいなって。それでダメ元でオファーをしてみたら、OKをいただけたんで。

G.RINA - トラックメイカー、ミキサーも曲ごとに違うし、作った時期も違うけど、それがマスタリングでかなり調整されてるなって。

ZEN-LA-ROCK - "Ice Ice Baby"とかもすごい新鮮に入ってきたりとか。

- 砂原さんにどういう風にしてほしいって言ったんですか?

ZEN-LA-ROCK - 「お会いしたこともないのに本当に恐縮なんですけど、昼か夜かって言ったら夜で、ちょっとキラキラしていて、80'sとか90'sの匂いもあるんですけど」ってことをすごいシンプルに添えて送って。聴くとまさにそんな感じはしたっすけどね。でも制作の最後にRINAさんと一緒に作ってたときは大変でしたね、Red Bullのスタジオのときとか、ほぼ記憶にないもん。

G.RINA - スタジオで2人(ZEN-LA-ROCKと鎮座DOPENESS)の歌入れをしてて。

ZEN-LA-ROCK - あんまり曲が固まってなくて、歌のところもRINAさんにディレクションしてもらいたいなと思っていて。1人でやると自己完結だから。

G.RINA - 1日目は2人でスタジオに入って、できたものを送ってもらって、2日目に私も行って、ここはこうして欲しいって感じで。

- G.RINAさんも、前お話伺ったときにプロデュース的な立場でもっとやりたいって言ってましたもんね。

ZEN-LA-ROCK - それを読んだんですよ。

G.RINA - ははは(笑)あー良かったそれは。

ZEN-LA-ROCK - それにRINAさんのこのあいだのアルバムの鎮さん(鎮座DOPENESS )との曲"想像未来"が最高すぎて。それでアルバムのリード曲どうしようってなったときに、絶対できそうだなって絵が浮かんで。RINAさんの最近の2作はクラシックスですね。そこの流れに無理やり乗っけていただいたみたいな。

- でもZEN-LAさんも、もちろん90'sとか80'sの曲はDJとかでかけてたりとかしてましたよね。

ZEN-LA-ROCK - まあまあそうだけど、でもRINAさんは当時のものからアップデートしてるからそこが好きだし、すごいなって思いますね。それ風な音楽とかやってる人はいるとは思うけど、そういうのは良いなとは思わなくて。でもRINAさんのは自分でトラックを作ってるのもすごいし、プロダクションがいいなあって。作り方もキメ細やかじゃないですか。でも今回の"Seventh Heaven"はできてよかったあ。

- G.RINAさんはどういうことをレコーディングのときに伝えたんですか?

G.RINA - えっと、そもそも、私は日本語ラップもすごい聴いてるけど、こんな人いないなってずっと思っていて。とにかく今までの曲もトラックメイカーの人選がすばらしいなと。「組み合わせ~」とかよく言ってるけど、ホントに組み合わせ力がすごいんですよね。だから私でいいのかなと思いつつ…。私たちは好きなものが近いのかなと思うんですけど、ヒップホップもブラコンも偏愛している感じ、でもフレッシュなサウンドにしたいっていう。だから依頼があったことも、すごい嬉しくて。ZEN-LAくんは、いわゆるヒップホップ的なマッチョさがなくて、私をプロデューサーで呼んでくれるのもありがたいなって思ったし、色んなことを指示してほしいって言われたんで、ラップをのせた音を送ってくれたあとも、もっとこうできる、もっとこうできるって、時間がない中でもしつこくやりとりさせてもらいました。

ZEN-LA-ROCK - おれも送ったデモには、あんまり自信がなかったけど、やってます感は出して送って。「しっくりきてないですけど、今日はこのテイクが一番よかった」って。でもラップになっちゃってて、もうすこし歌っぽい感じでやりたくて。

G.RINA - 「もっと歌って、もっと歌って」ってすごいしつこく言って(笑)

ZEN-LA-ROCK - おれもどうしようって感じになっちゃって、最後の方にTy Dolla $ignのリンクをRINAさんから何個か送ってもらって、ああそうかと思って。じゃあこういう気分で書いてみようって。

G.RINA - こんなに明かしていいのかな(笑)トラックが90'sぽい音色を入れたりしてるから、新しい感じにするにはZEN-LAくんも新しい面を見せてほしいっていうのがあって、普段はZEN-LAくんのラップにプロデューサーがいろいろ言ってくることはないだろうなって思ったので、絶対違うところも見れるはずだと思って、言わせてもらうことにしました(笑)

ZEN-LA-ROCK - いやあ、でも9回裏2アウトまで何も出てこなかったですね。

G.RINA - 節をつけてほしかったんです。声質がユニークだし、気持ちオートチューンかかるくらいの感じにしたら絶対気持ちいい感じが出るんじゃないかなって。鎮くんはどんなものでもメロディーつけて返してくれるだろうなって思っていたので。

ZEN-LA-ROCK – ビートは本当にちょっとニュージャック風なところにアップデートされたものが入ってて、そこでラップを普通にしたらなんかちょっと、これが1曲目???って感じになっちゃうなって思ってて、それでやり取りを繰り返して、できて良かったなあって。

G.RINA - スタジオに行ったときに「もっとセクシーに、コミカルさいらないから」って言ってて(笑)だいぶ困ってたと思うんですけど、それでちょうどいいくらいのコミカルさになったかな?と。

ZEN-LA-ROCK - あれが限界でした(笑)面白かったですねえ、自分が作ったらこうはならないっていうか。ぼんやり完成形は描いてましたけど、また全然違った曲にはなったなっていうか。

G.RINA - あと私が仮歌で入れた歌詞をZEN-LAくんが空耳して「Seventh Heaven」って言ってる箇所があって、面白いから”Seventh Heaven”ってディスコクラシックからフレーズサンプリングして歌を入れてみたりして。空耳から始まっていい具合にハマったので、結果的にタイトルにもなったし、そういう偶然もいい流れでしたね。

ZEN-LA-ROCK - DJ Kaoriさんのラジオでたら「いいね」って言われましたよ。これでビデオが出るとまた違う感じになるとは思うんですけど。どうなんですかね?あのビデオ(笑)

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