美術館で自撮りをしようとして起きた悲劇たち

また貴重なアート作品が誰かの自撮りによって犠牲となったニュースが報道された。先週、ロサンゼルスの現代美術館に訪れた女性が携帯電話で自撮りをしようとした際に、バランスを崩して尻もちをついてしまい、作品が置かれていた台座が次々とドミノ倒しとなり作品を損傷。被害総額2000万円以上となったことで話題となったこのニュース。しかし今の時代、これはめずらしいことではなくなってきている。誰かの自撮りのためにアート作品が破壊されたことはこれまでに何回もあるのだ。

これが先週のロサンゼルスの現代美術館で女性が自撮りをしようとして台座をドミノ倒しにしてしまった様子を写した監視カメラの映像。

これまで過去に他にも自撮りをしようとした客が貴重なアート作品を破壊した事件がいくつもある。

ポルトガルの国立古美術館のブラジル人の男性客が、18世紀に作られた彫像と一緒に自撮りをしようと背中を向けて後ずさりをした際に、背中が像にぶつかり転倒。幸いなことに修復可能だったとのこと。

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これはとある生徒が19世紀のイタリアの銅像の膝の上に座って自撮りを撮ろうと、よじ登ろうとしたところ、足を折ってしまった事件。


イタリアで、観光客二人がヘラクレスの像に登り自撮りをしようとした際に、掴んだ上の大理石の王冠を破壊してしまったことも。

ポルトガルの駅に設置されていた19世紀に作られたセバスティアン1世の像も自撮りをしようとした24歳の男性が破壊。

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さらにはこんな事件も。ドイツの大学に展示されていた大理石でできた女性器の作品で、おもしろい写真を撮ろうと中に脚を突っ込んだ生徒が抜け出せなくなってしまい、消防隊員が出動する騒ぎに。

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もちろん彼らは悪気があって作品を損傷したわけではないのは分かっている。海外の美術館は写真撮影OKの場所が多く、国立の美術館などでも作品の撮影を許可していることが多い。しかし次々と起こる自撮りによるアート作品の破壊。駆け出しのアーティストにとってはSNSで拡散してもらうことはメリットともなるかもしれないし、思い出として残して共有することも大事である。だが本来じっくりと目で見て楽しむはずの美術館で、カメラを通してばかり作品を覗いたり、作品に背中を向けて自撮りを頑張ってするのはどうなのだろうか。美術館内での自撮りは許可するべきか禁止するべきか、議論を呼んでいる。

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