【インタビュー】YDIZZY 『DIZZiNESS』| 仲間と笑うために戻ってきた

FEATURED  2017.06.24  FNMNL編集部

kiLLaのメンバーであるYDIZZYが6/7にデビューアルバム『DIZZiNESS』をリリースした。東京の次世代クルーとして、台頭を現してきたkiLLaの中でもYDIZZYの存在感は格別だ。

リリックの中に表現される強烈な自己肯定と攻撃的な姿勢が、もっとも体現されるのがライブだ。自身でもライブは楽しいと語るYDIZZYのパフォーマンスは、その動きやオーディエンスへの煽りも含め、文句無しの輝きを放っている。

Chaki Zuluが全曲のプロデュースを行った『DIZZiNESS』は、これまでのトラップスタイルの楽曲だけではなく、90年代的なトラックや、ディスコテイストのトラックなどYDIZZYというアーティストのキャラクターの幅をグッと広げた意欲作だ。

しかしこのアルバムを制作していた期間にYDIZZYには、精神的な危機も訪れていたという。彼はそれをどのように乗り越え戻ってきたのか、アルバムについての話などとあわせて話を聞いた。

取材・構成 : 和田哲郎

写真 : 横山純

- フランスのライブはいかがでしたか?

YDIZZY - フランスは初めてライブ見る人多かっただろうし、自分たちがやった分盛り上がるから楽しかった。久々の感じ。ライブの良さはその時によって、お客さんも違うし、自分も違うところ。何が出るか、どうなるかわからないから楽しいじゃん。ライブ中は何も考えてないね。無意識の極致、終わったあとは覚えてないし。体が勝手に頑張っちゃう。終わったあとはもっと出来るって思うから、難しい。ライブはもっと頑張るから、ファンによろしくねって言っておいて。

- Circusでのリリパにも行ったんですが、めちゃくちゃでかいモッシュサークルができてて。

YDIZZY - やっとだよね、おれらのライブも最初はああじゃなかったから。けど徐々になっていったから、これがもっと大勢の人になっていくんだろうなって思うし、なっていったら気持ちいいよね。

- FLJのインタビューでバスケをずっとやっていたと話してましたよね。YDIZZYさんの音楽って自己肯定的なものが前面にでてるじゃないですか。バスケもそういう部分が必要なスポーツかなと思ったんですが。

YDIZZY - バスケとラップは違うけど、似てるところは何も考えないところかな。試合中もライブのときも何も考えないから。何も考えずに時間が過ぎる。ちょっとは考えてるかもしれないけど、感じてる部分の方が大きいんだと思う。

- バスケのプレイヤーとしてはどういう選手だったんですか?

YDIZZY - ポイントガード寄りのシューティングガード。3ポイントを打つ選手。代々木公園でめっちゃやってて、(ストリートバスケの大会)ALLDAYにも出てた。大会ではダメだったね、バスケセンスない。でもずっと好きだったからやってた。ストリートバスケだけじゃなくて部活もやってたけど、最初はストリートからだったのかな。見た目は中学くらいのときはSean Johnの白のダボダボのセットアップで、髪をスプレーで全部立てて、ヘアバンドをして。

- kiLLaのメンバーでチームを組んでたんですよね。

YDIZZY - ほとんどそうだね、Arjunaも、Blaiseも出てた。バスケは今も好きだから、週一くらいでやるようにしてて。体動くしフレッシュな気持ちに毎回なれるし。あと代々木公園の雰囲気が好き、この前もALLDAY見に行って、出てる選手も結構知り合いだから。おれの中学のバスケの先生がLEGENDとかに出てたCHIHIROで。たまたまALLDAYを小六くらいの時に見に行ったんですよ。そしたらCHIHIRO先生が出てて、それで中一のときに入ったバスケ部に行ったら、顧問としていて「あっつー」って。部活だけどストリート的なスタイルも教えてもらえるし、代々木行ったらいるし。

- そういうバスケで培ったメンタリティーとラッパーとしての自分って関係あると思います?

YDIZZY - (即答で)あると思う。あとチームワークかな。kiLLaは全員元々ずっとスポーツやってきたから、やっぱりチームワークは強いよね。

- ラップを始めることになるまでは自分でやろうとは思ってなかったんですよね。

YDIZZY - そうだね、でも音楽は好きだった。最初はこの曲でみんなで書こうよってなって、kZmにできたのを送ったんだよね。そしたら「意外といいじゃん」ってなって録ったんだよね。それまでもクラブには遊びには行ってたけど、全然プレイヤー側とは思ってなくて、楽しんでただけだった。

ydizzy

- ラッパーになる前、将来何かやりたいことはあったんですか?

YDIZZY - 小二の時はヤクザになりたかった、幼稚園の時は医者、ヤバくない?おぼっちゃまぽくない?昔おぼっちゃまだったからさ(笑)でもそのあとはずっとバスケ選手になりたくて、でも全然無理だってわかって。メンタルが弱すぎたんだよね。センスはめちゃくちゃあって、始めてすぐに上手くなったんだけど、そこからどんどん落ちていって。捻挫が癖になっちゃって、それが気になって、気になって高く跳べないとかで。あと背ものびねえみたいな。

- メンタル弱いっていうのは意外でした。

YDIZZY - そう?おれはあんまメンタル強くないけど、弱くはないかな。

- 今回のアルバムでも、そういうことを歌ってますよね。でもそういう弱さみたいなのも含めて、自分の存在を強く押し出してるっていうのが、YDIZZYさんなのかなと。

YDIZZY - 弱いところを言うのって、恥ずかしい、かっこ悪いことみたいな部分もあるけど、だけどおれは自分のことをかっこいいと思うし、それが本当だから、別に隠すことじゃない。

- あとkiLLaが最初に出てきたときに、すごいクールな東京っぽいグループが出てきたなと思ったんですね。ただYDIZZYさんの最近の曲、例えば"牡蠣"とか好きなんですけど、ユーモアもあるというか変わってきてるなと思うんですよね。

YDIZZY - すごいよね、成長してるっていうかさ。おれがやってるのはトラップだから、言ってること面白くないとダメなんだっていうのに気づいて。そこからちょっと変えたかな。

- "MURI MURI"も攻撃的なところがある曲ですけど、中毒性あるのはフックがユーモラスだからかなって思うんですよね。

YDIZZY - あれはおれが落ちてて、誰とも会えないし、喋れないっていう辛い時期があって。その時にkiLLaのメンバーが家にきて、おれに色々やってくれるんですよ。それで「今日のライブ出てよ」とかお願いされるんだけど、それに対して「ほんと無理、無理、ほんと無理だから」って言ってたことが曲になってる。本当におれが無理だった時期に、これは曲にした方がいいなと思って。

- 弱さが上手くでてる曲なんですね。

YDIZZY - そうそう、ありのまま出したかな。

- すごいYDIZZYっていうキャラクターの幅が広がってますよね。あと今回のアルバムは音の幅も広がってますよね。アルバムのトラックは全部Chaki Zuluさんがプロデュースですけど、YDIZZYさんにとって、Chakiさんはどういう存在ですか?

YDIZZY - ほっとけないお父さんかな。おれはお父さんいないからわかんないけど、22歳だったら、もうお父さんからは自立するじゃないですか。でもChakiさんはほっとけなくて、ちょくちょく会いに行っちゃうみたいな存在。それでおれの人生の中で大切な人だね。Chakiさんがいたから色々起きたし。あと出会うの早くて良かったかな、いろんなChakiさんを見たし、Chakiさんもいろんなおれを見て、でもまだ一緒にできてるから、すごく意味のあるアルバムになったと思う。アルバムは2年間作ってて、それはお互い色々あったから。『Syndrome』シリーズは3ヶ月か半年ですぐできる。自主制作だから好きなタイミングで、言いたいことを言うだけだから出来る。

ydizzy

- Twitterに前に歌詞のメモ帳をアップしていたのを見たことがあって、それを見ると結構緻密に書き込んであったんですが、ちゃんと書くほうなんですか?

YDIZZY - 書く方かな。紙に事前にある程度ポイントを書いておいて、ハメてく感じかな。歌詞はすぐ書けるね。

- ラッパーとして自分はやっていけるかなって思ったのはいつ頃ですか?

YDIZZY - 最初は趣味程度だったから、ラッパーとしてやってくつもりはなかったけど、やっていくうちに自分がもっと出来るってイメージも、頭に浮かんだし、あと出来るよって期待してくれる大人が増えていった。でも最初から自信はあったんだよね。高校のときに、なんの根拠もないのに23歳で社長になるって言ってたし、思ってたし。でもラッパーとして自信を持つようになったのはAnarchyさんと遊ぶようになってからかな。「お前は本当に特別なんだ、わかるのか、スーパースターになれる準備出来てるのかよ」ってずっと言われて、最初はあんまりその言葉の意味とかわからなかったけど、徐々にわかるようになってきて。色んな言葉をもらって変わったかな。大人の存在は大きいね、やっぱりわからないことばっかりだから。でもその人の言葉をどうやって頭の中に置くのは自分だから。

- アルバムの中でチャレンジしたと思う曲はなんですか?

YDIZZY - "Deep Love"かな。Chakiさんにこういうトラックを作ってくださいって言って、トラックができてきてラップをしたら、最初に思ってたのとは全く違う感じの曲になっちゃった。もうちょっと明るい感じの曲になるのかなと思ったら、ラブソングになってたし、ラップの仕方も違うし。でも自分じゃ聴かないよね、友達があれを流したらすぐ帰ると思う。もちろん好きなところもあるんだけど、男友達と聴くものじゃないと思うから。おれと聴くなって思う。

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