Kendrick LamarやSolangeがグラミー賞の結果を批判。YGは「Hood Grammy」賞の設立を示唆

59回目のグラミー賞は、初めてストリーミングだけで作品をリリースしているChance The Rapperが最優秀新人賞を獲得するなど、権威ある賞に新風が吹いた。

しかし授賞式の前にFrank Oceanがグラミー賞には文化的なバイアスがかかっていると批判していた通り、AdeleがBeyonceなどとの争いを制し、主要賞を独占。図らずもFrank Oceanの批判を体現する形になってしまった。

Adele自身はBeyonceの『Lemonade』こそが最優秀アルバムだとライバルを褒め称えているが、ブラックミュージックサイドからの批判がすでに巻き起こっている。

Beyonceの妹SolangeはFrank Oceanがグラミー賞を批判したTumblrのポストとともに同意を示すポストをTwitterに行った(すでに削除済み)。

さらに同じく削除済みのツイートでSolangeは過去20年間で最優秀アルバム賞を受賞した黒人アーティストは2人だけだと、グラミー賞の文化的バイアスについて言及し、グラミー賞の選考システムの問題についても批判を行った。(実際はLauryn Hill(1999)、Outkast(2004)、Ray Charles(2005)、Herbie Hancock(2008)の4人が最優秀アルバム賞を受賞している)

昨年自身がTaylor Swiftに最優秀アルバム賞争いで負けたKendrick Lamarは最優秀新人賞を獲得したChance The Rapperを祝福しつつも、Beyonceが最優秀アルバム賞を受賞できなかったことについては激怒しているとLamarのレーベルTDEのボスがツイートしている。

さらにラッパーのYGは別の賞(Hood Grammy賞)を立ち上げる必要があることをツイート、Snoop Doggに手伝って欲しいとツイートしている。

確かに音楽賞はセールスや人気とは切り離されて考えられるべきだし、受賞したAdeleの『25』に全く間違いはない。ただChance The Rapperの作品を候補作にするような時代にあった変革をグラミー賞が求められているのは間違いなさそうだ。

 

RELATED

Kendrick Lamarの評伝『バタフライ・エフェクト ケンドリック・ラマー伝』が河出書房新社から刊行

トップラッパーKendrick Lamarの初の本格的な評伝『バタフライ・エフェクト ケンドリック・ラマー伝』が、河出書房新社から12/2(木)に発売される。

YGの2014年の楽曲“Meet The Flockers”が「反アジア系のリリックを含んでいる」としてアルバム『My Krazy Life』がストリーミングプラットフォームから一時削除

アメリカでは昨年から今年にかけ、アジア系の人々をターゲットとした暴力事件が多発し、大きな問題に発展している。そのような状況の中、YGの2014年のアルバム『My Krazy Life』に収録されている楽曲“Meet The Flockers”が問題視されている。

2021年グラミー賞の受賞者が発表|Megan Thee Stallionが最優秀新人賞、H.E.R.が最優秀楽曲賞を受賞

今年もいよいよ幕を開けたグラミー賞の授賞式。以前よりそのノミネーションが批判の対象となり、The weekndがボイコットを表明するなど例年と比べ波乱の展開を見せた今年のグラミー賞だが、その受賞者が発表となった。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。