Ena & Ryo Murakami インタビュー | ベルリンのフェスBerlin AtonalとサテライトイベントNew Assembly Tokyo
東京でのNew Assembly Tokyoにはそのような雰囲気を期待しますか?
Ryo Murakami - 東京の日曜日のラインアップを見ると、ダンスミュージックの要素はかなり少ないもんね。
Ena - 土曜日は踊れる感じだよね。
Ryo Murakami - Atonal Berlinも踊れるフロアもちゃんとあるからね。3日通してグルーヴは出ると思うけどね。それが上手く伝わるといいなと思うね。
そもそもこういうイベントって日本に少ないでしょ。こういうのをいろんな人が見て聴いて、感じてくれるかって話だと思うし。これでなにか動くかもしれないし。そういうのを提示できるいいチャンスだと思う。こういう表現の仕方もあるんだ!って。
Ena - 日本でも小さいところでは起こってるけど、これくらいのキャパシティで起るっていうのはチャレンジだと思う。キャパが全てではないけど。
Ryo Murakami - 日本にいるからそう思うのかもしれないね。海外はこういうフェスは普通にあるから。
こういう挑戦的なイベントを目前にしてなにか不安に思ってることはありますか?
Ena - Rashad Beckerとライブをするんだけど、何をするか全く決まってないところかな。(笑)なんとかなると思うけど、来週からリハーサルをはじめる。
Ryo Murakami - そう言えば2015年に「日本でやりたい」ってBerlin Atonalのチームが言ってたんだよね。その時は実は心の中で「やってほしくねー」って思ったんだよね。今はその気持ちは変わったけど。
それはどうしてですか?
Ryo Murakami - やっぱりあの会場があって、雰囲気があってこそのBerlin Atonalって思ったんだよね。けど、今では日本でやった時にみんながどう反応するかっていうのを見たいっていう気持ちのほうが強くなってる。どういう風にイベントをまとめ上げるのかなって思ったり。
Ena - 日曜日は渋谷のContactでコンサート形式なんだけど、Contact自体も初めての試みだから。どうなるか楽しみではある。
Ryo Murakami - スペース的にもContactでコンサート形式のイベントは合うと思うんだけどね。Contactの中にはいっぱい部屋があるから、いい雰囲気になるんじゃないかなって思うんだよね。
Ena -こればかりはやってみないとわかんないもんね。
Ryo Murakami - Berlin Atonalを再現すればいいってもんじゃないと思うんだよね。せっかく日本を選んでやるわけだし。違う雰囲気になってもいいし。面白い印象があればそれでいいですからね。それで興味とか持ってもらえばいいよね。
Ena -Berlin Atonalも2015年までは人が入らなかったっていうからね。2015年に一気に人が来て、2016年は全日ソールドアウト。
楽しみなことはありますか?
Ena - 去年Berlin Atonalで見たAlessandoro Cortiniによるオーディオ・ヴィジュアル・パフォーマンスの「AVANTI」かな。叙情的で。ああいうのもどんな感じで聴かれるのかな?って。
Ryo Murakami - 自分の子供の頃の映像とか流したりね。
Ena - 拒絶反応起こす人もいるかもしれない。
Ryo Murakami - エモいからな。普通に気持ちいいけどね。
Ena - あのエモさをキャッチーと取っちゃうか、ディープと取るか。2つに別れちゃうかもしれないけど。おれはすごく好きだけどね。よかった。
Ryo Murakami - やっぱりEnaくんとRashad Beckerでしょ。これは楽しみでしょ。
Ena - (笑)。何やろうかって感じだよ。プレッシャーってことでもないけど、やるからには裏切りたいなっていう思いもあって。
Ryo Murakami - 裏切りっていうか想像つかないんだよ。
Ena - それは俺も見えてないから。
Ryo Murakami - だからすごく楽しみ。
何が起るか分からない組み合わせがヘッドライナーとしてラインアップされているってことも無いじゃないですか。普通は。
Ryo Murakami - それもおもしろさの一つではないですかね。ワールドプレミアっていう。
Berlin Atonalの歴史を説明しても、日本のラインアップだけ見れば、そもそも何が起るかわからないから、Berlin Atonalのらしさはありますよね。とにかくコラボレーション形式のライブは今回限りじゃないですか。
Ryo Murakami - それはすげー楽しみだな。
Ena - 外したら外したまでだけど。
一度しか見れないわけでしょう。音源になったらそういうのはリリースはされないわけですし。
Ryo Murakami - 外したのは見れないもんね(笑)
クラブイベントとは違う楽しみ方を期待して行くととても楽しみにして行けると思うんですよね。
Ena - そういう概念を持って来てくれると良くなると思うけどね。
ショーケースやクラブイベントやフェスっていうのはある程度の期待を持って行くわけじゃないですか。けどこれはもっと何が起るか分からないですし、それを楽しみにして音楽に向かっていくっていうのはもっと文化になってほしいなって思います。
Ena - 2015年もそうだったけど、2016年のBerlin Atonalはその感じが強くなってて。いわゆる「置きに行ったアーティスト」は外してたイメージがある。印象を残しに来たアーティストは受けがよかった印象がありますね。全部観れたわけじゃないけど。
オーディエンスは置きに行かないアーティストを求めているわけですね。
Ena - 逆に置きに行くと客が引いちゃうっていうのもあったね。
そうなると観る方も出る方も刺激的ですよね。
Ena - 逆に言うと外すのを観に来てもいいし。(笑)
オーディエンスも試されているというか、求められているというか。
Ena - けど、なんか期待を煽りすぎるのもどうかなと思うんだけどね。
予定調和でないのが予定調和になっちゃうような感じですか?
Ena - そうするとつまらなくなっちゃうよね。逆に。
エレクトロニック・ミュージック=ダンスミュージックみたいな9割方の人が思ってるでしょう。今回のイベントではそうじゃない見方を提示できるのが新しいんじゃないかな。Berlin Atonalの後ろの方で座ったり寝転んで見てる人もたくさんいたけど、そういうのもありだと思うし。勝手に好き勝手やってる感じ。
ダンスの方のエレクトロニック・ミュージックか、踊れないエクスペリメンタルのどちらかしかないっていうのはもったいないですもんね。
Ena - けど言葉にするのは難しいね。後はまかせるよ(笑)
じゃあ、ここで「行くしか無い!」っていうコメントを入れておきますね。(笑)
Ena - たぶんね出てる人は勝手にやってるだけだから。受けを取ろうとか考えずにやるつもりだけど。
Ryoさんはどうですか?
Ryo Murakami - どうかなぁ。考え中なんだよね。電子音を少なめにやろうと思ってるけど、それは言わない。
このイベントはやってみないとわかんないってところがいいよね。もちろんやってる方も何が起るかわかんないのに、来る方もわかんないだろうけど。
Ena - 予定調和にならないと思うけど、何が起るかわかんないっていうか。
日曜日のBlacksmokerがキュレーションするフロアもレコードボックスから何が出てくるか分からないユニークなDJの人たちですから楽しみですね。
今日はありがとうございました!
---
Ryo MurakamiとEna + Rashad Beckerは2月19日(日)にContactに出演
http://www.contacttokyo.com/schedule/berlin-atonal-presents-new-assembly-tokyo-2/
Berlin Atonal presents - New Assembly Tokyo
Berlin Atonalは音と光を実験的な表現で探索するフェスティバルです。1982年に西ベルリンで始まり、創造性豊かなパイオニアたちが芸術、特に音を使った表現の全く新しいアイディアや可能性を試すためのプラットフォームとなりました。しかしベルリンの壁の崩壊と共に、1990年に一度休止しました。
2013年、フェスティバルはベルリンに復活し、それ以来ヨーロッパでも代表的な、新たなオーディオ・ビジュアル・アートの創造、発表、発展の場として定着しつつあります。芸術、スペース、音と光に対する、先進的で妥協を許さないアプローチの代名詞として。
2017年2月、Berlin Atonalはその歴史の新たなページを開き、初めて日本は東京へと旅をし、New Assembly第一回を開催します。3日間に渡る音の冒険には、今回のために企画された全く新しいプロジェクト、国外からのアーティストと日本のアーティスト、そして過去のBerlin Atonalのハイライトが含まれています。