©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon

鷹野隆大の個展『距離と時間』が11/26からNADiff Galleryで開催

CULTURE  2016.11.13

11/26から東京・恵比寿のNADiff Galleryで写真家の鷹野隆大の個展『距離と時間』が開催される。

 

鷹野はこれまで、私たちの慣習を形成する社会的・歴史的なまなざしについての批評的な考察から、 「セクシュアリティ」「都市」「近代」等といったテーマを基軸とした作品を発表してきた。

本展では、私たちの世界の多種多様な様態を写し取っている毎日写真シリーズと、光をテーマにモノクロ・フィルムで 撮影しているPhoto-Graphシリーズから、距離、時間という2つのテーマで選び取った作品により展示構成を行う。

1998年から現在まで1日も欠かさず撮り続けている毎日写真シリーズは、「なんとなく気になったもの」だという日々の異なる時間の中で巡り合う、様々な対象を分け隔てなく撮影するというもので、人の眼がその時々で見ていると りとめがない離散的な個別性を扱いつつ、視覚そのものを類型化することへの抵抗をその制作態度から示しているともいえる作品だ。

鷹野隆大
©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon
鷹野隆大
©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon

身近な被写体であるという理由から断続的に定点観測し撮影している東京タワー、そしてセルフポートレートによる「時間」をテーマにした作品では、写真を時系列に連続して配置させることで、対象の物質的、肉体的な変質が、写真と写真のあいだに介在しているかもしれない目に見えない差異を感知させ、写真という静止画からとりこぼれた時の経過が汲み取られている。

もうひとつの「距離」をテーマにした作品は、街を行き交う人々の往来や建物が路面に落とす影そのものを捉え、影単体によって生まれる空間の「距離」を写し出そうとするもの。同時に、鑑賞者がどの距離で作品を見るのが適正か、という問いかけもこの作品は内包しており、見る人の身体にも訴えかける。

鷹野隆大
©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon
鷹野隆大
©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon
鷹野隆大
©Ryudai Takano, Courtesy of Yumiko Chiba Associates, Zeit-Foto Salon

本展は、「時間」「距離」という、いずれも物質的な輪郭を持たない対象について、極めて視覚的なメディアである写真を媒介して顕わそうとする実験的な試みであると共に、鷹野の写真特有の視触的な生々しさの精緻な表現や、人間の気配を感じさせるスナップの魅力も備えた内容となっている。

鷹野隆大の2年ぶりの個展であると共に、Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku(東京・新宿)で行われる 『光の欠落が地面に届くとき 距離が奪われ距離が生まれる』との同時開催展となり、同名の写真集も限定部数で発売。展覧会初日にはオープニングトークとして、新藤淳氏(国立西洋美術館研究員)、作家を迎えたトークイベントも開催される。

「距離と時間」 -毎日、自分の顔を撮っている。だが、昨日と今日の写真を比べてみても、どこにも違いは見当たらない。昨日と今日で変化がないとしたら、論理上は何年経っても顔は今のまま、のはずである。ところが実際は着実に老けている。ということは、まったく同じに見えるこの二枚にも老いの変化が確かに写り込んでいることになる。それはそれで凄いことではないか。というわけで、恥ずかしながら自分の顔写真の公開である。

毎日、東京タワーを撮っている(遠方に出張に出たときは別だが)。写したいのはその日の天気で、東京タワーに特別な意味があるわけではない。たまたま自宅の屋上から見えるから、目印にしているだけである。こうして日々記録しながら思うのは、記録というのは未来に向けた行為であるということだ。あるいは、いつの日か、現在に帰って来るための行為と言ったほうがいいかもしれない。それがいつどんな形でやって来るかはわからない。もしかすると永遠に来ないかもしれない。いずれにしろ、我々を絶え間なく移動させ続ける時間は、常にこのわからなさに直面している。そしてこのわからなさに向き合い続ける記録は、時間そのものをなぞる行為であるように、僕には思われる。

物理学の世界では、距離と時間は同じことを意味するという。時間が存在するためには距離が必要なのである。距離は時間なのだ。ただし距離も時間も一定不変ではない。光速に近づくにつれ時間の進行は遅くなり、距離はどんどん圧縮される。そして光と同じ速度で移動するとき、時間は止まる。したがって、老いもなくなる。つまり、光は老いない。と言われても、まるでイメージの湧かない話だが、しかし「老いた光」は本当に存在しないのだろうか。なにはともあれ、距離をテーマにした写真も、数点展示する。 2016年10月鷹野隆大

<Info>
鷹野隆大『距離と時間』

2016年11月26日[土]-2017年1月9日[月・祝] 年末年始休業 2016年12月29日[木]-2017年1月3日[火]

NADiff Gallery

150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
TEL. 03-3446-4977

Opening Talk

2016年11月26日[土] 14:00-15:30 出演=新藤淳(国立西洋美術館研究員)、鷹野隆大

会場:NADiff a/p/a/r/t 店内 定員:50名
入場:1,000円 / NADiff a/p/a/r/tにて新刊写真集お買い上げの方は無料でご参加いただけます ご予約:TEL : 03-3446-4977

 

鷹野隆大

鷹野隆大・最新写真集 『光の欠落が地面に届くとき 距離が奪われ距離が生まれる』

11月中旬発売予定
テキスト:野田吉郎
仕様:B4 変型、60 頁、並製本、日/英 部 数 : 限 定600 部( エ デ ィ シ ョ ン 有 り ) 発行:edition.nord 発売:ソリレス書店 価 格 : 5,500 円( 税 別 )

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