Wu-TangもKanyeもラッパーはなぜリリックに「あるマスタード」の名前を使用するのか?

MUSIC  2016.10.13  FNMNL編集部

“I be burnin’ MCs like Betty grandson. Smokin’ grey poupon boy.” — Busta Rhymes

“Yeezy, Yeezy, Yeezy, this is pure luxury. I give ’em grey poupon on a DJ Mustard, ah!” — Kanye West

“From futons to Grey Poupons, in church tryna’ get a little savings, yeah coupons.” — Big Sean

金、ウィード、MDMA、車、宝石、豪邸、女、ストリート、ライフ。誰に聞いたってヒップホップの歌詞と言えば、このようなキーワードがあげられるだろう。

 

しかし、それらと同じほど…とは言えないが、ヒップホップの歌詞に頻出するキーワードがある。それが「Grey Poupon」だ。

Grey Pouponとは南フランス、ブルゴーニュ地方のディジョンという街の名産品のマスタードだ。Grey Pouponは1970年から1980年代にかけてアメリカの「イエローマスタード」が独占していたマスタード界に割って入って、一躍メジャーになった。

(しかし、アメリカのGrey Pouponはフランス産ではなく、カナダのマスタードを使っているライセンス商品)

ただのマスタードであるGrey Pouponは1996年のGhostface Killahの作品に2度登場し、20年の時を経て2016年のKanye Westのアルバム『The Life of Pablo』にも登場している。

そこでアメリカのVOXがGrey Pouponと 調査を開始した。

1981年、Grey PouponのテレビCMが放送されると、Grey Pouponは大人気商品に。 手が届く高級食材として、認知されるように。

1991年、Grey Pouponはその人気を確固としたものにするべく、新たなチューブ型パッケージにリニューアルし、新しい広告をリリース。

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その同じ年にイースト・コーストのラップ・デュオDas EFXがデビューアルバムをリリース。そして翌年1992年にリリースした"East Coast Rocks"の中に初めてGrey Pouponの商品名が登場した。


それからGrey Pouponがリリックに入った曲は毎年のようにリリースされ、その数は増えているという。

ラッパーのMike EagleはGrey Pouponの「ライムの利便性」が頻出の一つの理由ではないかと考える。CouponやFuton、Crouton、Neutronなどと韻を踏むことができるからだ。

Grey Pouponが登場した118曲のうち、Couponとセットで登場したのは20回、FutonとCroutonは7回とのことだ。

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またGrey Pouponはある種の上位のステータスを表す言葉として機能しているという。 また時には卓越したラップのスキルをGrey Couponで表現することもあるという。もしくはFutonと掛けることでSexの暗喩にもなるという。

2007年以降Grey Couponの使用頻度が一気に上昇した理由をVOXは追う。

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2007年のLil Wanye、Jim Jones、Nelly、T.I、Kanye Westなどの人気曲に登場したGrey Pouponは、一気にラップ界で伝染病のように飛び火していったのではないか、とVOXは推測する。オランダではGrey Pouponは販売されていないのにも関わらず、オランダ語のラップにもGrey Pouponというワードが発見されたりもした。

Grey Pouponを販売する会社も「理由は分からない。無意識のものなのか、Grey Pouponがどこでもあるものだからなのかなぁ」と取材に対して答えている。

とまあ、ここで動画は終わるのだが、一つの言葉がラップに登場し、それが意味するもの、そしてそれが爆発的に広がるさまをざっと確認することができる。

こちらはGrey Pouponという言葉が入ったSpotifyのプレイリストだ。

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