Machinedrumインタビュー!変化がもたらした新作『Human Energy』を語る

FEATURED  2016.09.30  Tetsuro Wada

Travis StuartのユニットMachinedrumが本日新作『Human Energy』をリリースした。LAに引っ越したことや、婚約をしたこともあり心機一転、サウンドのアプローチがより暖かく、カラフルになった今作はこれまでのMachinedrumの作品でも、一番アーバンでポップな内容になっている。トレンドのダンスホールサウンドをMachinedrum流に調理した先行シングル"Angel Speak feat. MeLo-X"やD∆WNをフィーチャーしたバンガー"Do It 4 U"などはMachinedrumにとっての新しい時代を宣言する曲だ。8月に来日公演を行ったMachinedrumに様々な変化がもたらした今作の制作についてなどを聞いた。(写真はCircus Tokyoでの来日公演の模様)

取材・構成 : 和田哲郎 写真 : 横山純 取材協力 : Beatink

 

- 新作『Human Energy』を聞かせてもらって、1stアルバムみたいな瑞々しさを感じました。

Machinedrum - 今回のアルバムは3ヶ月という短い期間の中で作ろうってアプローチでやったから、あまり凝りすぎてないというか、できたままのサウンドやクオリティーになっているから瑞々しさにつながっているんだと思う。

- 今回のアルバムは本当に聴きやすい内容になってると思います。

Machinedrum - もちろんシンプルな部分というのはあると思うんだよね。よりみんなに受け入れられやすい内容にするっていうのはあったと思うんだけど、自分の中では今までよりも複雑な部分もあるんだ。音の細かい要素、グリッチとかサウンドエフェクトもそうだけど、あとは昔作ってたものの部分を組み合わせたり。音の要素が5つくらいだったのが10個くらいになったりとかね。今作の目標の1つは、全部のサンプルを自分が作ってきたものにするってことだったんだ。

- LAに引っ越して、婚約して、新しいスタジオと新しいコンピューターも買ったんですよね。NYから引っ越した住環境の変化も大きいですか?

Machinedrum - LAに引っ越していい意味でリラックスの仕方がわかってきたんだ。それがすごくアルバムに反映されているよ。NYにいるとプレッシャーも大きいし、お金を稼ぐために本当にシリアスにならないといけない。それも、もちろん大事なことだと思うけど、リラックスすることや、物事をもっとシンプルに考えることのバランスが取れてないとダメなんだ。常にプレッシャーからベストなものを作ろうとしても、クリエイティビティーも落ちてくるから、自由であることや、制作をエンジョイすることも大事だね。LAの人たちとは自分のアイディアを共有できるし、お互いにモチベーションを高め合ってるんだよね。そういう部分がアルバムにも大きく反映されているよ。

Machinedrum

- 前作のタイトルも『Vapor City』でしたし、あなたは他のアーティストより街から大きな影響を受けやすいのでしょうか?

Machinedrum - いつもそのことについて聞かれるんだよね。僕が作る世界はその街そのものというより、実際の世界と想像の世界をミックスして自分の世界を作りだすことが多いんだ。環境と同時に自分自身がどういう人間であるかっていうのも、作品に影響されるよ。例えば前作の時はNYからベルリンに引っ越して、ベルリンからNYに引っ越してって時に作っていたから、家と呼べる場所がなかったんだよね。なので自分の家を創造したのが、前作だったんだ。今はLAに引っ越してきて1年なんだけど、たった1年なんだけど家と呼べる場所にいるという感覚が強いんだ。それに自分自身が人間として、ミュージシャンとしてもより自信を持ててるし、自分自身もいい道に進めてると思う。その両方が自分の音楽に現れているよ。

- お祖父さんがヒーラーで、擬似科学などにも最近向き合えるようになったということなんですが、なぜこのタイミングで向き合えるようになったのでしょうか?

Machinedrum - 自分が自信を持ててるっていうこともあるし、LAに引っ越して、周りの人とそうした考えをシェアできたりする機会も増えたんだ。LAではそういったことがタブーというよりオープンになっているから、それがきっかけになって向き合えるようになったんだと思う。最近自分でも関心を以前よりも持つようになって調べたりすると、科学的根拠もあるっていうのがわかってきたんだ。ただヒッピー的な価値観じゃなくて、根拠があるってわかったからますます興味をもつようになったよ。音楽自体もそうした超科学的なものだと思うよ。自分の音楽は実在しない世界の要素も入っているし、存在しないコミュニケーションの仕方だったりとか、自分たちの眼にはみえない空間だったりとか、そういうものが表現されてると思うんだ。だからみんな音楽が好きなんだと思う。

- そういう世界と向き合うようになって、音楽の作り方も変わったりしたのですか?

Machinedrum - もともとそうした要素があったと思うけど、より強くなったと思うよ。自分自身がそれを意識したのは今回が初めてだけど、元々そういう要素はあったと思う。そこは何も変化はしてないよ。

- SepalcureだったりJimmy EdgarとのJetsだったりあなたは他のアーティストとのコラボレーションも多くしていますよね。そうした他人とのコラボワークも一種のスピリチュアルな経験なんでしょうか?

Machinedrum - 他のアーティストと共作することによって、よりディープな面に入りやすくなるのはあると思う。自分だけで作業しているときに、何か美しいなと思うアイディアが生まれたとする。でもそれが本当に美しいものか確信ができない。他のアーティストとコラボレーションをしていると反応がすぐ返ってくるから、それでその生まれたものの雰囲気をあるままに保てて、どんどんディープなところに入っていけるんだ。例えば誰かと3時間作業をしていて、一回息継ぎして聞いてみると、「自分たちはどこの世界にいたんだろう」っていう曲が出来たりするんだ。まるで夢の中にいたような曲になっていたりするよ。

- コラボ相手によって、色々なモードを使い分けてると思うんですが、どのようにコントロールしているのですか?

Machinedrum - お互いを信用して、それで新しいアイディアを試していって出来上がっていくと思うんだよね。自分だけだと自分の好きなようにどんどん出来上がっていくんだけど、他の人と意見が一致して、作り上げていくと自分じゃないものが出来上がっていくと思うし、それで変化とかユニークさが生まれていくと思うんだ。

- LAのアーティストで誰かコラボレーションしたいアーティストはいますか?

Machinedrum - Kendrick Lamarだね。Flying LotusとかGuslamp Killer、Bonobo、Thundercatはもちろん知り合いで一緒にショーも出てるんだけど、コラボのチャンスは今までなかったからやりたいな。

Machinedrum

- 今回のアルバムもコラボレーターの数も多いですよね。コラボレーターの相手はどうやって決めたんですか?

Machinedrum - 今回のアルバムはほとんどが友人が参加してくれたよ。2~3年前からの知り合いっていうアーティストもいるけど、そのアーティストとも会ったときから自然な化学反応があったんだよね。自分たちが信用しあえるっていうのが一番大事だから、そういう関係の近さとかをベースにラインナップを決めていったよ。

- 曲のタイトルに色の名前がついていたり、メロディーもすごいカラフルだったんですが、そこは意識したんですか?

Machinedrum - 今回はこれまでとメロディーのアプローチが違って、マイナーコードというよりはメジャーなキーを使っているからカラフルさにつながっていると思う。あとメロディーをちゃんとキーボードとかピアノで弾いたんだ。これまでのスタジオは狭かったから、本当のキーボードは使えなかったんだよね。今回はちゃんと鍵盤を使えたからよりカラフルで動きの多いメロディーになっているよ。

- シングルでリリースされた"Angel Speak"はトレンドのダンスホールサウンドが使われてましたよね。昔からダンスホールは好きだったんですか?

Machinedrum - ついに流行ったよね。僕が最初に作ったダンスホールトラックは2005年か2006年に、Kid606が主宰しているigerbeat6のサブレーベルShockoutからリリースされたEPに提供したものだよ。エレクトロニックのプロデューサーとダンスホールのMCがコラボするっていうテーマだった。ダンスホールには常に興味があって、前作にもダンスホールの影響はあるし、ドラムンベースだけどダンスホール的なフレーバーがあったりとかね。自分が元々好きだったサウンドがトレンドになってきていて嬉しいよ。トラップとかダメになったバージョンのダブステップが流行ってたから、明るくて軽い感じのトロピカルなサウンドが流行ってるのは新鮮だよね。

-  9月にアルバムをリリースしますが、今年他の予定は決まっていますか?

Machinedrum - 自分のアルバムが出たあとに全曲自分がプロデュースしたD∆WNのアルバムが出るよ。ビジュアルも取り入れたリニューアルしたライブショーもみんなに届けたいね。あと10月に結婚するよ。

- やはり結婚が決まったというのは安心することですか?

Machinedrum - 付き合い始めてから、もう安心を感じているよ。10年ずっと親友だったから、やっと付き合うことになってついにって感じだよ。彼女が自分の人生の中にいるってだけで安心感があるね。とてもリラックスできるし、心地いいよね。

Machinedrum

<Release Info>

Machinedrum

Machinedrum - Human Energy

release date: 2016/09/30
BRC-525 国内盤CD
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説書付き

商品情報はこちら:
http://www.beatink.com/Labels/Ninja-Tune/Machinedrum/BRC-525/

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