HyperJuice & Habanero Posseインタビュー - 日本のベースミュージックシーンの臨界点と彼らに必要な「アティテュード」

もうそろそろHyperJuiceは20代半ばで、若者感も薄れてきたけど、Habanero Posseから見て彼らはどう見えるんですか?

Gunhead - 僕らは彼らにある種フックアップしてもらってる感はありますね。

ネットでわいわいする層って、同世代以上の人とはわいわいしないじゃないですか。ぼくら年齢とかバレてるから。

そうですか?お二人ともお若く…

BINGO - いや、どう見ても同世代ではないよね。(笑)

Gunhead - 思ったよりHyperJuiceの世代の子たちはぼくらのこと上に見てくれてるんだなって思うわけですよ。うれしさ半分、かなしさ半分。ぼくらは2011年結成だし、キャリアはHyperJuiceとかとほとんど一緒なんですよ。もっと絡みたいけど、ちょっと違うというか。

マルチネ世代というか、そこらへんのちょっと後の世代って感じがするんですが。

Gunhead - 僕自身初めて曲作ったのが30超えてからだし、初めてリリースしたのはマルチネだから。キャリア的にはみんなとほぼ一緒と考えてもらってもいい。感覚は同じなんですよね。

それは感覚がフレッシュすぎませんか? (笑)

Hara - この2人が一番話しやすい先輩ですよね。歳は離れてるけど。同じ目線で話せるというか。GunheadさんがTwitterでふざけてるのとか見てると同じ世代感が。(笑)

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日本の「ベースミュージック」には閉塞感みたいなものはあるわけじゃないですか。どのジャンルも経験することだとは思いますが。さあ「ベースミュージック」っていう言葉は根付いたけど、これからどこにどう行こうか?っていう迷いもあるような気がして。そういうことは感じたりするんですか?

Hara - それとはちょっと違うんですけど、去年くらいからいろいろ感じることはあって。マルチネの10周年イベント「天」とHyperJuiceのリリースパーティが去年あって、集大成的な年になったんですよね。そして今年の夏に、渋谷のクラブの店長をしている方の誕生日のパーティがあって、ベースミュージック界隈のアーティストとかも大集合した結構エモいパーティがあったんですよ。

そういうのが続くと、そこまでのストーリーがあるイベントじゃないと、もうこの1年位あったイベントを超えられないな、という気持ちがあるんですよね。もう同じようなメンツで、同じイベントをしても、それをもう超えられないというか。これでHyperJuice第一部は終わったかなと思ったりもしました。

お客さんも、アーティストもなかなかモチベーションを保つのも難しいと思うもんね。あと25歳を超えると友達がだんだんクラブに来なくなるでしょ。

Gunhead - 切実ですよ。(笑)

Hara - アーティストも減っていきますからね。

そもそも自分はやってる音楽を色んな人に届けたいという気持ちがあるので。じゃあもっと間口を広げてという感じですね。

BINGO - ベースミュージックってそもそもどう見られてるのかな?そもそもわかんないんだけど。

Fazerock - 普通に自撮りのアイコンの女の子がプロフィールに #ベースミュージック って書くくらいポップですよ。

BINGO - EDMの次の音楽ってことなのかな?

Hara - 最近はBASSじゃなくてBASE MUSICってフライヤーに書かれてるのも見ますよ。

それは嘘やわ!

Hara - ほんとですって。誤植と思うでしょ。めちゃめちゃ多いんで。

それはもちベースミュージックネタでしょ。

Fazerock - それはさすがにそれは知らないなー。

Hara - 最近ベースミュージックっていうのは、そういう認識のされ方をしてる、っていうのを表してると思うんですよね。

BASE MUSICってどういう意味なの?基地?

Gunhead - 映画の『TOP GUN』でしょ。

一同 - (笑)

Hara - ぼくらが共通認識で持ってるベースミュージックと言えば「UK発のサウンドシステムカルチャー」っていう認識以外の考え方が「ベースミュージック」という言葉にはもうあるのかもしれないですね。それはTRAPなのかもしれないし、EDMのDUBSTEPとか。

そういうベースミュージックという言葉がいろんな意味がある現状と、その反対に、これは別にこっちがリアルなっていう意味じゃないですけど、ぼくらが考えるベースミュージックシーン自体の閉塞感もあって、ベースミュージックという言葉やシーンの中にあるギャップがすごくなってきてる。

Gunhead - ぼくらも他人から見れば、いろんなことをしててズレてると思われてるポジションだと思うんですよ。例えばダブステップずっとやってる人からすると、いろいろやってんなと思われてると思うんですけど、それは知った上で、同じような事をしてもいけないから。

だからぼくらは自分たちのことをベースミュージックって言えないですよね。色んな意味で。ただ勝手なものをでっち上げたいとは思ってはいるんですけどね。

じゃあ今回のコラボとイベントで、色んなものから自由になろうとしてる、っていう感じなんですかね。

Hara - 今回の"Fiyahhhh"は聴く人にとってはいろんな捉え方をされることがあるんですよ。最初はUK FUNKYのつもりで作って、いろいろ要素を加えていって、それで全然違う音楽になったんですけど。

聴く人にとってはEDMの派生のジャングルテラーというジャンルに聴こえる人もいるし、テクノって言う人もいるし。

BINGO - 一般の人にはどう聴こえるのかは気になる。

Hara - あとはJ-REXXXさんのファンにはどう聴こえるのかなって。

HyperJuiceは自分たちの音楽のことをどう思ってるの?

Hara - HyperJuiceは最近ミクスチャーっていう言葉を使うようにしています。ミクスチャーなダンスミュージック。

Hara - tofubeats君がWIREDのインタビューで「ぼくらはもっと楽しく、音楽をやりたいんです。音楽だけをつくって、意気揚々と暮らしたい。そのために、いまがんばってるだけです」って言ってたように、自分もそのために考えて、がんばらなきゃって。

Gunhead - 自分が生きていくためにって考えたら、必然的に空いてるポジションに付くしかないわけですよ。海外にあるのに、日本にないポジションを見付けて。必然的に見えてきますよね。常に神経を使って見てるから。

今のリスナーって耳がベースミュージックやEDMになってるから、もっとベースミュージックのアーティストは必要とされてくると思うんですよね。ベースミュージックっていう音楽がアンダーグラウンドのシーンに入ってきて10年、そしてインターネット以後のベースミュージックが定着し始めてから5年位経つ。そこで力を蓄えたアーティストが外へどんどん出て行ってほしいって思うんですよね。

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