Story About Nico Yaryan - 晩夏のサウンドトラック -

MUSIC  2016.09.18  FNMNL編集部

今夏、Andy ShaufやWhitneyらによる70sフォークメロウに身を委ねた人々へ、彼のアルバムは届いているだろうか。遠くアムステルダムで知り合ったガールフレンドのため、仕事もバンドもなげうった男が綴る愛の歌は、ときにフォークロックのような物腰で、ときにR&Bのような甘さでもって、閉じかかった夏の夕方に、緩やかにグルーヴする。
カリフォルニア州サンタクルーズ出身、現在はロサンゼルスを中心に活動するSSW Nico Yaryanのファーストアルバム『What a Tease』には、去っていった恋人とのロマンス、その喪失感と悔恨を穏やかになぞったラブソングが並ぶ。その筆致はしかし、失意よりもいくらかロマンチックな余韻を残すものだ。

気怠いギターストロークとビート、恍惚を誘うシンセサイザーの音色のもと、ブルージーな歌声は男の中に湧き上がり続ける分かち難い記憶を綴り("Your Love Never Lets Me Down")、かつて二人の間にあった魔法を確かめる("The Magic")。

1曲1曲で語られる赤裸々な言葉は、過ぎていった季節に横たわったまま、確かにそこにあったムードを反芻する。

ほど良く力の抜けた演奏と歌声はルーズに光り、楽曲のフィーリングと綴られたリリックはどこまでもロマンチックに漂っている。
その心地は確かなもので、夏の断末魔に適したサウンドトラックを探す人々の耳をのどかにさらっていく。(miyano mafuyu)

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