ロンドン市長がFabricの閉鎖に対して声明を発表

名門クラブFabricが営業ライセンスを剥奪され、閉鎖に追い込まれることがほぼ確定した。地元ロンドンのシーンはもちろん日本にもその衝撃の余波は確実に届いている。

イズリントン区議会での決定を受けて、ロンドン市長のサディク・カーンが声明を発表した。カーン自身はFabricの閉鎖にもともと反対する立場であり「イズリントン区議会とロンドン警察と一緒に、クラブ利用者の安全とクラブの未来を守るための方策を探そう」と閉鎖決定前にコメントを発表していた。

今回の声明でカーンは「ロンドンの象徴的なクラブは私たちの文化的景観の一部として欠かせないものだった。クラブで遊ぶのは安全でなければならない、だがFabricとイズリントン区議会と警察が公共の安全をどうやって考えていくべきかという点で一致できなかったのに失望を覚えた」と述べている。

また「この結果によって、ロンドンのナイトライフに欠かせない場所だったFabricで遊んでいた多くの人々がいなくなってしまうだろう」と声明は続き、さらにカーンはこの8年でロンドンのクラブの半分がなくなってることを指摘し、「ロンドンが世界レベルのナイトライフを保ちたいなら、この後退は必ず食い止めなければいけない」とロンドンのナイトライフを守ることを再度宣言している。

しかしカーンに対してはDJたちから批判も飛んでいる。Fabricでも活躍していたJackmasterは昨夜市議会が開かれている間に、カーンがGQのパーティーに出席し今年のベスト政治家賞を受賞したことにふれ「これはジョークだろ。サディク市長はいまGQの授賞式にいる」とTwitterで皮肉めいた投稿をおこなっている。また新鋭プロデューサーのE.M.M.A.はカーンを「1000枚のプレスリリースは出すが、1つも行動しない」と手厳しく批判した。

Fabric側はこの決定に対して「Fabricを閉鎖することは薬物問題に対する私たちのようなクラブが予防の取り組みをすることの答えにはなっていない。今日は私たちをサポートしてくれた人にとってとても悲しい日になった。特に仕事を失ってしまう250人のスタッフには」とコメントを発表した。

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