Licaxxxインタビュー | 新メディア『シグマファット』と愛を持って外枠をつくること
- 今はメディアのことしか考えられないと思うんですが、新しくチャレンジをしたいこととかありますか?
Licaxxx - えー、なにが新しいんだろう。そうだなあ、イベントはもうやってるし基本これを媒介にして、なんでもできるからこの枠にしてるんですけど、ちゃんとした展示とかをやりたいですよね。アート・テクノロジーらへんが記事的にも足りてないし、もともと大学でメディアアートをやっていた部分もあるので、そこはもうちょっと生かして展示とかに落とし込みたいですね。キュレーター目線になりますが。私は天才でも、技術者でもないけど、くっつける発想が得意だからそれを一生懸命やる。ハモる人同士を見つけるというか。全部のジャンルに好きな部分があって、何かが突出してやりたいわけじゃないっていうのが私の弱みであり強みです。
- それを考えると編集っていうのはすごい向いてることですよね。
Licaxxx - そうなんですよね、向いてるっぽくなりますよね。もともと広告代理店に入りたかったっていうのがあって、それも自分は特殊技能ないわってなったところからで、じゃあ好きな人たちにお金をふれるほうになろうみたいな。多分そこらへんから複合的にプラン立てて、何か1個やるとかお金つけるとかっていう意識の元、それをウェブベースで考えると編集になるのかなって。
- 自分が技術者タイプではないっていうことは昔から感じてたことなんですか?
Licaxxx - 物心ついた時から意識してたわけじゃないんですけど、人と違うなってことはわかってたんですよ。みんな違うんですけど、結構外れたがるんだなって感じてましたね。実際ピアノ習ってても小学校入ったらもっと上手い子いたし、バンドやっても中高生になると男子がメキメキ出てきた。
でもDJはいろんな曲を周りの条件に影響されながら良くかけるのにプラスして、調子が上がったり下がったり生物っぽくて面白い。大学入ってプログラミングを始めて、周辺を重視したメディアアートを作りたくてモノは思いつくんだけど、とにかく完成までに時間がかかったり。
ってときに制作やってる人とかプログラマーの人とかから、作りたいものが先に浮かぶのは技術系じゃないから、そういう人達をまとめる人になったほうがいいんじゃないっていうのを言われて、認めざるを得なく、そこからは振り切って外枠を作る人になりました。自分を人集め係って呼んでます。
作るのは外枠なので中身が厚いかどうかは呼んできた人に頼ってるんですけど、唯一自信があるのが現場で見てる数とか、実際に自分で見たものしか自分でも呼ばないから、そこには流行ってるから呼ぼうとか、流行ってるからくっつけとけばいいじゃんとかじゃなくて、本当に愛をもって「この人たち絶対ハモる」っていう感覚を裏付けて温めて産み出すみたいな。
日常生活と繋がってるというか、どこにでも行けるし、どこにでも行く気力があるっていうか、アーティストに対する愛とリスペクトだけは自信があるので、愛を持っていろんな人にお願いして集まってもらってます。
- でも1人でやるだけだと大変じゃないですか、今どういう人がサイトにいればいいと思いますか?
Licaxxx - 実質的にはライターとか更新してくれる人とかですね。でも一緒になって遊んでくれる人とかも欲しいですね。それこそ松原(裕海 higher-frequency編集長かつシグマファットでライターとして活動)とかは言ってなくても同じようなところで会って、ていうところからお願いするようになった。
あとは特集記事以外のところにもレビューとかイベントのチョイスとかがあるんですけど、これのレビューを書いてくださいじゃなくて、チョイスから一任したい部分があるので、私と同じくらいライブやパフォーマンスを見るのがとにかく好きで現場に遊びに行ってる人と出会いたい。
普通の音楽インタビューをしてれば普通の回答が返ってきて、ファンはこれどっかでも読んだことあるわ、間違ってないけど面白くない。リスクはあるけど、実際に感じた感覚を裏付けにして、アーティスト同士くっつけることで、本人たちにも、ファンにも面白いって思ってもらえてっていうのをやりたいので、現場に呼吸するように常にいるタイプの人がいいです。
- 例えばD.A.Nのインタビューだと着てた服が好きな人が、ああこういうバンドいるんだって気づくってことですよね。今はほんと散り散りになってる感じが強いですよね。
Licaxxx - そうそうそう。でも「個人的にかっこいい」ってカテゴリだけで括ったっていいんじゃないかと。
- そうですよね、アメリカだとまだそこが一体になっててKanyeとかもバカにされつつちゃんとKanyeの着てる服は注目されるし、そこはうらやましいし日本もそうなったほうがいいでしょっていうのはありますね。
Licaxxx - 日本に来たら音楽聴いてるやつ全員ダセえみたいなのイヤじゃないですか。最近はDJとしてラグジュアリー系のブランドのレセプションとかにも呼ばれるようになったんですけど、音も本国のチェックが厳しいみたいで。EDM的なのは世界的に流行ってるけど、うちのブランドはそういうのは使いたくないみたいな。
だから世界中にある店舗のレセプションのBGM一つでも音をチェックする、ていうのを聞いたときに、日本はそういう周辺を気にする力が足りないなと。そしてアパレル側からもトラックメーカー側からもアプローチが足りないというか。自分の作ってるものをより引き立たせるために、周辺のカルチャーにも気を配った方がいい。そしてそれらを繋げるためのエージェントやキッカケが足りないですね。
- そこも繋げられたら繋げたい?
Licaxxx - そうですね、いきなりくっつけてやれって感じじゃないですけど、くっつけた段階で他ジャンルの人が知ってくれて、そこで噂になりついにあのデザイナーから連絡が…みたいな、いろんなジャンルの人が参考にしたくなるサイトになればなと。
- 今具体的にやりたい企画はありますか?
Licaxxx - 現段階の売りが写真も映像も短期間かつコストの割にかなりハイクオリティ、そして差したい層にきちんと刺さる。という他の代理店と違う点として売りにしているので、いろんな映像や写真の形とかを、もうちょっと繰り返していきたい。
あとは、若いクリエイターはなんかやりたいって言ったときに、個人でいきなり予算を引っ張ってくるのは難しいけど、シグマファットがエージェントとして面白いものに広告案件を持ってこれたら楽しいなと思います。今は私がひたすらオファーしてる感じですけど、巷で広がって、企画を持ち込んでこんだけのことやるから、こんだけの予算くれよみたいな感じでいろんな人がきたらさらに面白くなるんじゃないかな。お互いチャレンジだっつって。わかった私は営業行ってくるわみたいな感じで、大人に相談して。
- なんか24歳の人がやることじゃないというか、まだ自分が自分がってなりがちじゃないですか
Licaxxx - もちろん自分もDJですしもっと出たいですけどね、ゆくゆくはシグマファットにも自分も出てくるんですけど。(笑)とはいえ、当初から人の音楽が好きすぎて、自分の曲より人の曲を最大限によくかけるタイプのDJなので。全部をやるのはもちろん大変だし1つのことをやってる人からみたら、邪道だろ、実際何やりたいの?ってなるかもしれないけど、若いからこそ全部やりたいし、自分の名前が残らなくなっても、カルチャーやつながりが何も残らないといことはまずない。
自分の好きなカルチャーは自分だけが盛り上がっても広がっていくもんじゃないから、日本国内で必死に曲を作って最強の曲ができたところで、その曲に歌詞があるわけじゃないから、Mステ見てみんなが口ずさむわけでもない。それを超えていくためにはカルチャーという名の複合的な要素があるムーブメントが必要。1人だけでは楽しくないというやつですね。孤高の存在にはちょっとなれないかな。自分が出たいような渋いイベントがめちゃくちゃ盛り上がってて乱立するぐらいの勢いが理想です。
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