Licaxxxインタビュー | 新メディア『シグマファット』と愛を持って外枠をつくること

- 日本でそういうファッションと音楽の自然なつながりが出てくるとしたら、どこからだと思いますか?

Licaxxx - 2タイプだと思っていて、ストリートカルチャー寄りのところ、FNMNLはそっちだと思うんですよ。Diaspora skateboardsがflashbacksと繋がっててみたいな。

もう1個はめっちゃハイブランドの方がショーで音楽を使うとか、TOGAとかは今でもそうですけど、日本のブランドでイケてるブランドはどんどん出てきてるんですが、気鋭のアーティストをショーでいきなり使いましたっていうのは、もうちょっとあってもいいのかなと。PRADAとかにいくともっと斜めな音楽とショーのクリエイティブで攻めてたりするので、そういうものが発生してくるんじゃないかなって思いますね。

- ちなみに今のドメスティックなブランドで面白いなと思うのはどこですか?

Licaxxx - 服で注目しているのはDRESSEDUNDRESSEDで、結構グイグイきてるんじゃないかなと。コレクションかデイリーにも着れるか、とかはさておき、日本という括りで見るとsacai、FACETASM、TOGAの次の世代として来るんじゃないかなって思いますね。

- 逆にファッションのシーンにリーチできる国内のプロデューサーは誰だと思いますか?

Licaxxx - madeggとかは国内を飛び越えていけるんじゃないかなって。シーズンごとのイメージに映像を積極的に使っているブランドとかは音楽もすごい気にしている印象。服以外のクリエイティブ部分を気にしているブランドはカルチャーとしての感度が高いと思う。そういうところに刺さると思います。

- ぐっと戻るんですが、i-Dのインタビューで中高でバンドをやっていたと言っていたんですが、どこらへんのバンドを聴いてたりしたんですか?

Licaxxx - Arctic Monkeys、Bloc Party、 Kasabian、the Enemyとか私が中学生とか高校生のときに出たてだったUKロックはめっちゃ聴いてましたね。あとはHadouken!とかCrystal Castlesとか。

- ファッションを好きだったのもその時くらいから?

Licaxxx - その時はそこまで別にオシャレだったわけじゃないんですけど、周りの女の子たちがNon-No的なファッションをしている中ではバンドTシャツをたくさん買って、ライブに行くためにスニーカーたくさん買ってみたいなところはあったかもしれないですね。

- 女性DJ代表的に捉えられることもありますけど、そういう女性性みたいなものを背負っているわけではないですよね?

Licaxxx - ないと思いますね、自分も最早感じてないですしレセプションとかに呼ばれやすいくらいじゃないですか、女性向けのブランドの方が多いし。言われることもないですしね、いよいよ女子縛りのパーティーにも呼ばれなくなりましたね。(笑)

- FNMNLはいろんなカルチャーをフラットに取り上げるということでスタートしたんですが、今の時代におけるフラットさっていうのはどういうものだと思いますか?ネットもいま息がつまるような感じになっていて、その先に進むためのフラットさっていうのはどういうものかなと

Licaxxx - そうですね、うちのサイトに関しては実はフラットというよりも斜めって言ってて、ていうのもフラットに切り取りたいっていう意識がありつつも、1個の特集記事を作るのにこのアーティストに普通にインタビューしても、まずあんまり読まれないなって時に、じゃあどうするかってカメラマンとアーティストは関係値があってもなくても、ハマるだろうなって連れてくる。

このアーティストの背景がファッションでも伝わるように、服もちゃんと選ぶ。そうすると服が好きな人が検索して記事を見てくれるかもしれないな、じゃあ今度服を好きな人が読んでも意味がわからなきゃダメだから、切り口はどうしようかなってときに、前にSANABAGUN.の高岩遼を取材したときはワイルドっていうのをテーマにして、段々音楽の内容になっていくみたいな感じにしようって発想で作りました。

Licaxxx

Licaxxx -それが他にないっていうことで斜めってことなんですけど。あとは引っかかってくる要素が多い方が裾野はちょっとは広がるんじゃないかなって。アーティスト本人と関わってる人たちも直接は繋がってはなかったけど、この人にこういうテーマでインタビューをやりたいっていう感覚を、いいねって言ってくれる人たちを集めているので、現場で初めて会っても気まずい感じにならないというか、ハモってくれる確信が持てるまで相手のことを知ってくっつけるみたいなところがあるので、そのハモっている感じがどんどん広がって行ったら嬉しいなと。

自分自身は音楽が強いと思っているので、その人の音楽を他の人に聴いてもらえればいいなっていうのもあるし、着てる服に興味持つとかカメラマンは誰なんだってなったりとか、読者の興味が広げるのが私の仕事かなと。

ただ流行ってる人をくっつけても勿論ハモるわけはなくて、関わる全キャストの背景とかを知ってぶつけることが私の当然の役目でありながら、アーティストへのリスペクトです。そんなコミュニケーションをとってる間に、カメラマン、スタイリスト、アーティストとかが企画を持ってきてくれている。それでどんどん自分では思いつかなかった企画を出してくれたりとか、普段の仕事ではできないような企画を持ってきてくれます。

- 今回のメディアを作るにあたって参照にしたものはありますか?

Licaxxx - カテゴリによらずにカルチャーとして打ち出している、ハニカムですね。注目のブランドをそのブランドのルック並みに良いカットを撮ってたり、尖ったアーティストをちゃんと呼んだり。タイアップなんだろうなっていうのをあまりタイアップぽくなく面白い記事にしている。ハニカムは尖った大御所の方が多数出演しているので、それのもっと若くて気鋭なバージョンができたらなと思いました。

あとは隙間産業みたいな感じで、流行ってるメディアは何個かあるけど、ファッション好きな人だけとか、音楽好きな人だけ、サブカルっぽすぎておしゃれな人は見づらいのとか、そういうのをたくさんみてて、自分がアーティストとして出たいし、読者として読みたいものを目指しました。

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