豪雨の中ソウルでの写真展、Cakeshopでのアフターパーティ ― ソウルのクラブシーン フォトレポート PART.3

私は7月に自身の写真展開催のためにソウルを訪れた。その時に見たもの、出会った人、そして彼らによるソウルガイドを全5回に渡って紹介する。第2、3回は写真展とクラブイベントレポート。

文・写真 横山純


7月1日

写真展当日。大雨。ホステルの受付をしていたアメリカ人によると、今日から梅雨入りしたという。ありがとう教えてくれて。そして、記録的な豪雨が予想されているから今日は出かけない方がいいよ、とのこと。アニョハセヨ〜。ソウル市当局が携帯のSMSで大雨の緊急速報を住民に送信。ぼくには届かなかった。20キロ近い荷物を引きずって写真展の会場へ。

LONDON, BEYOND HATE

会場はCakeshopの姉妹店のPistil。こちらはロンドンのパブのようなシックな内装。100人ほどのキャパシティの小さなクラブ。テクノやハウス、4つ打ち中心の音楽を中心にイベントが組まれており、暗闇の中でクラブで我を忘れて踊りたければCakeshopよりこちらをおすすめしたい。このPistilを2日間、夕方からイベントが始まるまでの間を使わせていただいた。

ロンドンとソウルからおかしなダブを発表し続けていたYonkeeや、ロンドンに留学していたというファッションデザイナー、DJたち、そしてクラブの常連客たちが大雨にも関わらず写真展に来場してくれた。

クラブスタッフも仕事があるなしにも関わらず来てくれて、オーナーはスタッフ全員に物販用に私が用意したTシャツを買ってくれた。クラブスタッフや写真展のフライヤーデザインをしてくれたデザイナーであり、DJのShrimpが展示終了後、撤収の手伝いをしてくれた。私が写真展をした、大阪、京都、東京、ソウル、何も言わずに手伝ってくれる優しい人たちは、どうしてどこにでもいるのだろう。ありがとうございます。

Phantoms of Riddim at Cakeshop

写真展が終わったらそのまま荷物を持ってCakeshopへ。今晩は写真展の名前を付けたイベントをPhantoms of RiddimがCakeshopで開催してくれることになっていた。9時過ぎに展示を終え、10時にオープン。オープンから1時間DJをさせてもらったのだが、オープンの時間にも関わらずたくさんのお客さんが来ていた。

何よりも驚いたのはイベントを通じて、7割くらいは女の子だったということ。どうして、とDJに聞いた所、雨の日は男は外に出ないし、男はあんまり踊ったりしないとのこと。本当かどうかはわからないけど、とにかくイギリスでも日本でも見たことの無い光景だった。

私の次にDJ Fulltonoとのインタビュー記事も記憶に新しいCong Vuがプレイ。レゲエやダブからJukeにスルスルっと移行させていくプレイスタイルには驚いた。Von Buenoがダブやグライムをヴァイナルでプレイ。その後はRM360というレコード店のオーナーであり、クラブシーンの伝説的存在のDJ Soulscapeがオールジャンルのグッドミュージックをヴァイナルで、HiphopのDJらしくカットインさせながらグルーヴを紡いだ。Soulscapeが終わる頃にはCakeshopは熱気あるお客さんでパンパンになっていた。

次にDouble Clapperzが日本のグライムシーンからCakeshopに殴りこみ。ヴァイナルリリースしたばかりでノリに乗っているとはいえ、ソウルでどんな風に受け入れられるのかなと思いながら、マイクで彼らが紹介されるのを見ていた。そうしたら、有名DJかアイドルかと思わんばかりの歓声を受けていて内心「チッ」と思ったし、実際「チッ」と彼らに言った。

ソウルのオーディエンスは有名だからDouble Clapperzに対して歓声を上げたということではない(そらそうやろ)、オーディエンスは初めて見たDJでも、とりあえず一緒に盛り上げて、調子に乗ってもらって、いいムードでプレイしてもらって、こっちはみんなで楽しく一緒に踊ろう、というクラブカルチャーの基本の基本のスタンスを当たり前にしているだけなのだ。オーディエンスが一歩も引かず、この夜をリードするという気概を持っていたことに、本当に感動した。

そして昨夜CakeshopでプレイしたFaze Miyakeが特別にDJしてくれることに。まさかのサプライズに自分もPhantoms of Riddimクルーも、オーディエンスも湧いた。昨夜のセットより、Rawなグライムセットを披露。ほぼインストのグライムだったが、Boxedに代表されるような「インストグライム」ではない、BPM70あたりの、ヒップホップやトラップのストリート感あふれるFaze Miyakeのテイストが十二分に発揮されたDJだった。

同じ夜PistilでもプレイしていたQuandolがDouble Clapperzの後にプレイ。彼はグライムからスタートさせ、次第にBPMを上げ、ジャングル、ドラムアンドベースを経由させJukeへ。JukeからBPM80のダブやレゲエとつなぎ、最後は謎の韓国のシンセポップで出演者、オーディエンスを唖然とさせてしめた。あの曲はなんだったの?と聞いたら「韓国の長距離運転手が寝てしまわないように聴くための曲だよ」と答えてくれた。どうしてそんな曲を掛けたのかということは聞けなかった。

次回は私がソウルでさまざまな人に連れて行ってもらったレストランやソウルのDJたちによるソウルのトラベルガイドをお送りします。

RELATED

BlackEyePatchが小浪次郎による写真展『SCARS』を開催し同名の写真集を出版 | A-THUG、SEEDA、STICKYが登場

BlackEyePatchが企画しNYを拠点に活動する写真家、小浪次郎による写真展『SCARS』が12/15(土)から東京・原宿のCOMMON GALLERYで開催される。そして同名の写真集となる『SCARS』も出版決定。 この写真展のモデルとなっているSCARSとは、もちろんラッパーのA-T...

奥山由之が新作写真集『Los Angeles/San Francisco』を12月に発売

東京発のバイリンガル・ファッションマガジンUnion Magazineを出版するUnion Publishing Limitedから、奥山由之による写真集『Los Angeles/San Francisco』が12/13に発売となる。

ヨーロッパのアンダーグラウンド・レイヴシーンを撮影したMolly Macindoeの写真集販売を記念したサイン会を開催

東京・原宿のブックストアBOOKMARCで、ヨーロッパのアンダーグラウンド・レイヴシーンを撮影してきた写真家のMolly Macindoeが、10/15(木)に来日し写真集販売を記念したサイン会を行う。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。