寺田創一インタビュー - 甘い季節の再来 -Pt.3

FEATURED  2016.07.09  FNMNL編集部

昨年オランダのRush Hourからリリースされたアルバム『Sounds from the Far East』をきっかけに世界的な再評価が起こっている、日本のハウスミュージックシーンのパイオニア、寺田創一。昨年おこなったインタビューでハウスの時期を甘い季節と述べていた彼に、その季節が再来している今の活動や世界各国でおこなっている公演などについて聞いた。こちらはPt.3

写真 : 横山純 取材/構成 : 和田哲郎

寺田創一インタビュー - 甘い季節の再来 -Pt.1

寺田創一インタビュー - 甘い季節の再来 -Pt.2

寺田創一インタビュー - 甘い季節の再来 -Pt.4

-- 僕が見たことがあるハウスのライブをする人はそんなにパフォーマティブではない人が多いんですが、寺田さんはパフォーマンスって要素が多いじゃないですか。Rainbow Disco Clubでもホウキでベースをプレイされたとかで、そういうものはもともと用意されてるんですか?あとそうしたパフォーマンスを含める理由を教えてください。

寺田創一 - Rainbow Disco Clubはテント型のステージで、そこの設営の人が掃除に使ったと思われるホウキがテントの中にあったんですよ。で、これはいいなあと思った。普段はエアーでやってるけどホウキがあったらわかりやすいと思って、普段エアーしていないパートもエアギターとエアベースにしようというのは当日に決めました。Rainbow Discoはとても開放的でスペースも広いから、ものすごい大きなモーションをやってちょうどいいなと思って、気まぐれに決めたんですけど、結構評判だったから今度からホウキを機材として持ち込もうかどうか今考え中です。荷物が増えて怪しまれるけどね。パフォーマンスを含めるのは、無意識にそれをやりたくなってしまうんですよね。

あとはどうしてもDJのように臨機応変に曲を変えて、その場の感じを見て流れを変えていくっていうのはできない分、DJと違うところをアピールしたいっていうのもあります。でも自然となってしまうんですよ。あとはハウスセットの曲順を考えたときに、ここでは楽器を弾いて、ここではこういうアクションをしようっていうのを楽器を弾くのと同列に考えたんだと思います。自分は音楽と同化したいんです、自分自身が自動的に音を出すレコードみたいな感じになりたいと。自分自身が音の一部になりたいんですね。DJは自分 vs 自分がプレイするレコードとかオーディオがあるけど、自分の場合はそのレコードとかオーディオに同化したいっていう欲求があって、境界線をなるべくなくしたい気持ちから動いちゃうことになるんだと思います。

寺田創一

-- 7月にはフジロックの出演も決まっていますが、フジはクラブなどに比べるとステージも大きいかと思いますがステージの規模感で変えることとかってありますか?

寺田創一 - そんなに変わることはないと思うんですけど、1つヨーロッパを回っていて気付いたことは、スペイン語圏だと英語でアナウンスしてもなかなか通じないけど一言「ムチャスグラシアス~」とか言うとリアクションがあって、スペイン語圏に行ったときになにかスペイン語を出す方法があったらいいなということですね。6月のSonarは会場がバルセロナだし。でも基本的には大きい会場では動作を大きくすること、それだけだな(笑)

-- 世界を回っていて色んなDJに日本の音楽について聞かれることって多いですか?寺田さんの音源やAlixのコンピレーションなどで話題になっていると思うんですが

寺田創一 - 日本の音楽について聞かれることはあまりないです、あるいは充分に詳しくて自分よりも遥かに知ってると思うようなDJ達にたくさん会いますね。興味のある人はとことん調べているので、逆にDJがかけてる日本語の曲を自分からこれは何?って質問したりするくらい。イベントにもよるんでしょうけど、日本の70~80年代のディスコとかにフォーカスしたイベントとかではもちろんたくさんかかりますね。でもそうじゃなかったら大きな流れの中で突然1曲かかるとか、それくらいだと思います。特にフライヤーでは謳ってないけど、その日はどう考えても日本の曲にフォーカスしてるなってイベントとかはありました。この曲はなんなのって聞いたりとか、逆にこの曲は日本語でなんて歌ってるのって聞かれたりとか。あと日本語だけじゃなくて中国語の妖しいディスコの曲とか、そういうのもありました。明らかに東アジアのエレメントがたくさん入ってるんだけどグルーヴ感はすごいあって、すごいかっこいいのになぜか笑っちゃうような曲とかありましたね。

-- Rush Hourのクルーと一緒に回られることも多いじゃないですか、普段は彼らとどんな話をされているんですか?

寺田創一 - AntalとHuneeと話すときは他愛もないことをしゃべるときも多いし、自分の語学力の限界もあるんですけどFacebookの使い方みたいなことについて話したことがあったな。どこまでFacebookにプライベート的なところを載せるかみたいな話をAntalとHunee夫妻とRainbow Discoのときにして。Antalが子供達と日本に来てて、娘達のなにかの写真をFacebookに載せたとき、彼の友達に「危険じゃないかって言われた」って話からその話題になって。Facebookが今や色んな集団の感情の代弁者みたいな機能を持ってきているのが、不気味だけどいいのか悪いのかどうなんだ、って展開になりました。

通常の英会話のスピードには自分はついていけないところもあるんですけど、特に4人以上とかの会話になるとついていけないことも多いです。でもFacebookが感情や世論のデジタイズを目論んでいるって話は面白いなと思いました。自分はSNSはあまり活用してないんだけど、Facebookを通常の連絡とかに使ってる人とかもいるから、そこでFacebookがたまにシステム障害とかが起こるとその人と連絡取れなくなって困るので、SNSが日常的なものではあります。あと当然色んなイベントの告知も直前になってFacebookですることも多いです、もっと事前にお知らせしなくちゃいけないのにね。

-- 日本だとまだアーティストエージェントに所属しているクラブ系のアーティストは少ないと思うんですが、Octopus Agencyがどういう仕事をしてくれるのかを教えていただけますか?

寺田創一 - Octopus Agencyがやってくれるのはライブパフォーマンスのブッキングと、どの飛行機に乗ってどういう人がピックアップドライバーで、どういう人がドロップオフドライバーでその人の電話番号は~でみたいな全体の旅程に関わることと、あとは宿泊予約をやってくれる現地のプロモーターは誰々でとか、そういうのがプロモーターと並行して自分にも送られてきて、それに沿って行けば、単身でも迷わずパフォーマンスできるスケジュールを組んでくれるってことですね。あと特定の期間の金・土曜日を色んな複数の国でのブッキングで埋めてくれるっていうことをやってくれます。

得意な地域があってヨーロッパとかはすごく強いとか、やっぱりRush Hourのディストリビューションと繋がってるところがあるみたい。アメリカは1つの国の中でマーケットが巨大だし、アメリカで海外のアーティストがパフォーマンスやる壁みたいなものもあるから別かもしれないです。あと東アジアも独特だから得意じゃないかもしれないけど。とにかくヨーロッパとRush Hourのディストリビューション関係あるところは全部やってくれます。ヨーロッパでもアメリカでもメインストリームのダンスミュージックはEDMとかであって、自分はそうじゃないアンダーグラウンドなところだからそこでのやり方しか分からないのですが、エージェントがやってくれる事やそれに対して感じることはアーティストそれぞれ違うとは思います。

-- 先ほど、スペイン語圏ではスペイン語をしゃべるとリアクションが良いって仰ってましたけど、他に世界を回ってみて自分にフィードバックするものはありましたか?

寺田創一 - あります。大変なトラブルとかあったとしても、自分自身を無くして音と同化したときに楽しくできるから、細かいことを気にしない事とはまた別に、無心で音と一緒になった時に自然なパフォーマンスができてるなという実感がありました。事前にこうしてやろうとかああしてやろうとか作戦的なものを持っていたとしても、自分を無くす楽しさが自然に出るのがいいと思いました。例えばホウキを弾いていてもおれはベースプレイヤーだみたいなことが恥ずかしいとかでなく、本当にベースプレイヤーになって楽しい気持ちでやるみたいなことですね。

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