Gold Panda Interview

FEATURED  2013.05.30

6月に3年振りのアルバム「Half Of Where You Live」をリリースするGold Panda。オリエンタルなメロディーとジャンルにとらわれない自由な発想と彼ならではのサンプリングサウンドで人気を集めている鬼才に4月の来日時に今作のアイディアや最近の音楽シーン、そして日本でのお気に入りスポットについて聞いた。取材 和田哲郎(WASABEAT) 写真 寺沢美遊 取材協力 よしもとアール・アンド・シー

- 6月にリリースされる予定のアルバム「Half Of Where You Live」を聞かせてもらいました。このアルバムはあなた曰く「都市のアルバム」とのことなんですが、大都市にあるような先進的な部分と古い部分を同時に感じられるアルバムになっていると思いました。

Gold Panda - 自分は同じようなアルバムを作りたくなくて、でも前回のアルバムで気に入った要素はそのまま残して、前回のアルバムのいらないなと感じたレイヤーを削ぎ取ったんだ。そしたらこういう形のアルバムが出来上がったんだよね、前作より違う形にできて、しかも前回より気に入っているよ。

Gold Panda

- 今作で、一番気に入っている部分はどういったところですか?

Gold Panda - 今回の方が音楽的に自分がやりたいと思ったコンセプトが実現できたってことかな。前回のアルバムがヒットソングを集めただけのものってわけじゃないんだけど、今作の方が、1つの作品としてまとまりがあるのがいいかなって思う。特に「Junk City Ⅱ」と「My Father In Hongkong」が特に気に入ってるよ。なんでかはわからないけど笑ほんとにアルバムのコンセプト通りの音をそのまま実現できたんだ。

- またあなた自身、色んな都市を移り住んできていると思うんですが、その異なった都市の風景が1つにまとまって空想の都市のサウンドトラックになっているなと思ったんですがいかがでしょうか?

Gold Panda - "Junk City Ⅱ"はまさにそんなイマジナリーな都市についての曲になっているんだ。ディストピアだけどね。かつてのまだあまり発達していない東京が舞台で、でもその昔の東京が現代に蘇ってくるかもっていう感じなんだ。経済が悪化したりしちゃうと、またそういうことに実際なるかもしれないからね。反対に「Brazil」は実際に自分が行ったときの感覚を曲にしたものなんだ。半分は空想、半分は実際に自分が行った場所を基に作った感じなんだ。

- "Brazil"を聞くと実際のブラジルっぽいと思いつつも、テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』っぽいクールでインダストリアルな雰囲気も同時に感じました。

Gold Panda - 実際行ってみると、映画のなかのブラジルと現実のブラジルがあんまり違ってない風に感じたんだよね。

- そうだったんですね(笑)

Gold Panda - 未来的なんだけど、誰もコントロールできない都市と行った感じでね。『未来世紀ブラジル』と実際のブラジルに行った経験が同時に影響を与えたっていうのはすごい偶然なんだけど。元々のこの曲のイメージはブラジルに行った時に空港から車に乗って、どんどんクレイジーな街の風景があらわになっていくところを音にしたんだ。『未来世紀ブラジル』は"Junk City Ⅱ"にも影響を与えているよ。

- 今回のアルバムでは"Enoshima"という曲も地名がついているんですが、日本に住んでいたときに江ノ島に行ったことはありますか?

Gold Panda - 多分あると思うよ。鎌倉とかと一緒に行ったと思う。この曲は住んでいたときじゃなくて、去年の正月に来日したとき江ノ島に行って友達と楽しい時間を過ごせた事をテーマにしてるんだ。テープを使って、岩に打ち付けられる波みたいな音にしているんだ。日本から帰ってすぐ作ったね。

Gold Panda

- 江ノ島は夏になると海の家というビーチハウスが出来て、そこでパーティーをやったりするんですが、あなたなら江ノ島の海の家でどんな音楽をDJでプレイしますか?

Gold Panda - 僕ならダンスミュージックじゃなくて、ジャズとかをプレイするかな。でもドラムマシンを持ち込んで、結局自分の曲をライブでしちゃうかもね。あなたならどんな曲をプレイする?House?

- Hiphopですかね

Gold Panda - Hiphop!今のHiphop?それとも90年代?

- ブレンドして両方プレイすると思います

Gold Panda - それはクールだね!

- でもビーチであなたのライブもチルできそうで、とても見てみたいです。

Gold Panda - フィリピンで一回ビーチでライブをやったことがあって、会場がちゃんとしたクラブじゃなくて竹で出来た家みたいなとこだったんだ、そのとき大嵐が来て竹のあいだから水が漏れてくるし、雷もずっと鳴り続けていて機材も危なかったからオーディエンスにお尻を向けてライブをしたんだ(笑)あれはビーチパーティーのイメージとはかけ離れてたね(笑)

- 今回はあなたの"Marriage"のリミックスをやった、Star Slingerと共演しますが、彼についてはどう思いますか?

Gold Panda - まだたまに一緒のパーティーとかに出るくらいだから、彼のパーソナリティーはわからないんだけど、あのMarriageのリミックスは本当に素晴らしかったよ。僕はサンプリングをしたりMPC、808とかを使ったHiphop的な方法で曲を作るんだけど音はHiphopにはならないんだ。でも彼は僕と同じやり方でクラブでプレイできるHiphop的なトラックを作れるのがすごいと思うんだ。MCともコラボレートするスタイルがすごい好きなんだ。僕は絶対にできないよ(笑)

 

- 質問は変わるんですが、日本に来ると絶対に行くとことか食べるものはありますか?

Gold Panda - 市川と本八幡に友達が住んでるから毎回行くよ、市川は何もないけど、Hard Offがあるよ(笑)本八幡には毎回行く居酒屋があって、片目だけの大将がいてそこで魚の串揚げを食べるのが好きなんだ。毎回食べるのは肉まんだね。冬にきたらお茶漬けを食べるよ、こないだは渋谷の24時間開いている居酒屋で飲みまくったあとに食べたよ。

- 逆にまだ行ってなくて、行きたいとこはありますか?

Gold Panda - 広島と九州はまだ行ったことがないから行きたいんだ。今はとても忙しいからショーのためにしか来日できないから全然時間がないんだよね。だからショーがなくて自分の時間のためだけに来日したいんだよね。

Gold Panda

- でもショーがなくて来日しても結局ライヴやってと頼まれそうですよね。

Gold Panda - そうなんだよね、前回福島の友達にただ会いに行ったら、「DJしてよ」って頼まれて、既にフライヤーに名前が書かれていたんだ(笑)だから本当の意味で休暇に来たいね。

- 日本に住んでいたときから結構時間が経ったと思いますが、日本のどういうところが変わったと思いますか?

Gold Panda - とても変わったと思うよ、まず渋谷のレコードショップがめちゃくちゃなくなっちゃったよね。あと道ばたで売っていた、なんだっけ、マジックマッシュルームも(笑)あと、東京はもっと西洋化したと思うよ、世界が狭くなったってことかもしれないけど。初めて来たときは、東京で買えなかったものが前回来た時には普通に買えたりね。

- これまで日本でディグした中で、一番面白かったレコードはなんですか?

Gold Panda - うーん、郷ひろみのレコードかな、あでもdisk unionが作った、フィールドレコーディングの大会のレコードはヤバかったね。「あ」と「う」の話し方って言う曲は日本語の「あ」と「う」の音だけを男性がひたすら言っていたり、花火の音だけ入ってたり、なんか叩いてる音が入ってたりあれはクレイジーだね。

- 新しい音楽のディガーでもあると思うんですが、新しい音楽はどこで探してるんですか?

Gold Panda - 今住んでいるベルリンには近所にレコードショップがあって、なんでも試聴できるんだ。だから面白そうなのを試聴して気に入ったら買うって感じかな。DiscogsとかWeb Siteとかblogとか、インターネットも見るけどなるべくレコードショップには行くようにしてるんだ。ツアーで回った街のレコード屋にも行くね。

- 最近買ったものの中で、お気に入りはなんですか?

Gold Panda - The Trilogy Tapesレーベルの作品は全部好きだね。あとJam Cityのアルバム『Classical Curves』も本当に気に入ってるよ。でも最近は買っても、忙しいからなかなか聞けないんだよね。自分のレコードコーナーの中に新しく買ったセクションを作ったんだけど聞かずに増えてくばっかりなんだ。あとCaribouのサイドプロジェクトのDaphniもめちゃいいね。

- CaribouとかJam Cityの名前が出ましたけど、今はベースミュージックにハマってる感じですか?

Gold Panda - そうだね、でもベースミュージックのなかでも好きじゃないものもあるんだ。クリーンすぎてCubaseのデモそのままって音だったり、Abletonのお手本みたいな音とかは全然だね。Jam Cityは未来的でクリーンな音ではあるけど、ソウルフルでラフな部分があったりするんだよね。クリーンでプロデュースされすぎたものは、あんまり興味がわかないんだよね。具体的な名前は控えるけどね、というか知りもしないんだ。

- 前作をリリースしたときに、あなたはインタビューで『ダブステップぽい音だね』と言われて「全然違うよ」って言ってましたもんね。

Gold Panda - めちゃくちゃ嫌だったね、チルウェイブって言葉も嫌いだね。でもダブステップは昔のものは好きだよ、Cokiとかね。あとPearson Sound(Ramadanman)、Joy Orbisonとかの音は全然型にハマってないから好きだよ、彼等は音楽の深い知識を持っているし。USの機械的でウォーンって音がするようなダブステップはちょっとな…

- Skrillex?

Gold Panda - そう、でもこれは別に僕が気に入らないだけだから全く彼の問題じゃないよ。。

- Pinchにインタビューをしたときにも彼も自分の音楽には全くジャンルとか関係ないと言ってましたね。

Gold Panda - フィーリングが大事だと思うんだ。ある特定の方法で作るんじゃなくて自然に任せて作るのがいいよ。

- 今住んでいるベルリンはどうですか?あまりクラブとかは行かないと聞いたのですが?

Gold Panda - そうだね、あんまりクラブは行かないけどたまには行くよ。Berghainとか元々市民プールだったところを改装したStattbadという水が入っていないプールがあるクラブがあって、DJはプールの底でプレイしていてフロアも底にあるんだけど、なぜか斜めになっているから疲れるんだ(笑)でプールの下がBoiler Roomになっているんだ。本当のボイラールームを使っていて、すごいいい雰囲気なんだ。写真を撮ったら即退出なんだけどね。でも本当にプライベートで自由に楽しめるいい雰囲気だよ。でも自分はクラブシーンのために引っ越したわけじゃないんだけどね。クラブシーンを楽しむには年を取りすぎてる(笑)

- 今作の最後を飾る「Reprise」はセンチメンタルな女性ボーカルがレコードノイズと共に聞こえてきて、とても印象的だったんですが、あの曲もサンプリングが使われてるんですが?

Gold Panda - そう、自分の音楽は全部がサンプリングを使っているよ。あの曲は、アンチクラブトラックとしてのダンスミュージックを作ったつもりだよ。ヘビーなベースもあるしチョップされたボーカルもあるしビートもあるからクラブトラックぽいんだけど、常にリスナーがアレンジの予想がつかないものにしたくてそうはなりきらないものにしたんだ。あの曲が前作「Lucky Shiner」に一番近い曲だと思う。だからタイトルも「Reprise」だし前作への返答って感じなんだ。

- 昨日、2.5Dでプレイしたとおもうんですがクラウドの反応はどうだったんですか?

Gold Panda - (小声で)ほんとはDJする予定じゃなかったんだ。

一同 - (爆笑)

Gold Panda - 普段あまりDJしないのに適当に「やるよ」って言っちゃったんだ。でもやるとなると、何もアイデアが生まれなくて、結局自分の未発表曲をプレイしたよ。ちょっとやらなきゃ良かったって後悔してるよ。DJするときはレコードでしたいけど昨日は全然準備してなかったからね。インターネットで中継されるよって聞いて、あんまり見る人多くないからって言われてたんだけど。(担当者に)結局どれくらい見てたの?

担当者 - 3000人くらいです。

Gold Panda - (日本語で)すごい…!それだけの人が見てくれたのは嬉しいけど、もっと準備すれば良かったよ。でも一緒に出てた他の人と自分の音は全然違ったからそれは嬉しかったな。1人の人でも自分の音楽を好きだと言ってくれればいいからね。

- でも未発表の曲を聴けて、見てた人はラッキーでしたよね。ちなみにどれくらい未発表の曲があるんですか?

Gold Panda - みんなそれを分かってたかどうかは知らないけどね、なにこれ?!って思ってたかも(笑)未発表曲は1000曲くらいあるかな、15歳からずっと作ってるからね。リリースしないのは出来が単に出来が良くないからだよ(笑)

- あなたのファンはそういうのも聞いてみたいかもしれないですよ。

Gold Panda - それは聞かせたくないな(笑)

Gold Panda

- アルバムをリリースした後にしたいことはありますか?バカンスとか

Gold Panda - ツアーはしたくないな(笑)もう一枚アルバムを作りたいんだ。でも結局ツアーすることになるんだろうな。あとNYにガールフレンドの家族がいるからしばらくNYに住んでみたいと思ってる。まあほんと自由時間は全然ないからあんまり考えた事もなかったよ。あと音楽作りは趣味でもあるから家に帰ったらただ作るだけだね。

- 家にいるときはずっと作ってますか?

Gold Panda - そうだね、音楽部屋があって。でもその部屋にはXboxとかPS3とかもあるんだ。(ゲーム中に)ガールフレンドが「ちゃんと音楽作ってるの?」って聞いてきてもゲームやりながら「やってるよ」って答えるんだ(笑)Xboxしてレコードかけながらサンプルを見つけたりしてるのが本当に幸せだね。次のアルバムも全然違うものを作るつもりだよ。

- ありがとうございました。じゃあ最後にメッセージをお願いします。

Gold Panda - 日本のメディアしかその質問してこないから、何言っていいかわからなくなるんだ。今後メッセージって質問をしないで下さいっていうのがメッセージかな。

一同 - (爆笑)

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