Interview with Sinden

00年代後半のエレクトロ/フィジェットハウスのムーブメントから現れた、UKのトップクリエイターSinden。現在は自身のレーベルGrizzlyを主宰し、SBTRKTなどの新星の発掘からもちろん自身のリリースなどでシーンに大きな存在感を示している。4/19にWOMBで開催された「☆Taku Takahashi Presents INTERGALACTIC」で来日を果たした彼に、現在の自身のダンスミュージック観やUKのシーンについて聞いた。

- 最近ではどんな音楽にはまってますか?

Sinden - それは結構難しい質問だね、だけど今はハウスがやっぱり好きかな。最近はまたシーンの中でハウスがフレッシュになってきてるよね。僕が感じるのはノイジーなダブステップが流行ったあとに、みんなまたクラシックなハウスを掘り出したよね。今はダンスミュージックにとって、とてもいい時期だと思うよ、いろいろなジャンルの音楽があるしね、だけどやっぱり僕は結局ハウスに戻ってきているね。Hip Hopに関しては気持ちがさめたり、高まったり時期によって違うかな。まあ好きなんだけど、嫌いでもあるみたいな。<br>常にいい音楽が周りにあるから、新しいジャンルの音楽を探しもとめるんだけどハウスミュージックは僕の原点だし、本質的な部分でもあるよね。

- 最初の答えに似てるんだけど、あなたのレーベルのGrizzlyも最近は結構ハウスよりの音をリリースしているけど、UKではハウスとかガラージが再燃してきたと思いますか?

Sinden - まさにそうだね、Grizzlyは今、三年目なんだけど、まさにそうゆう風にディレクションしてるし、最近のリリースもハウシーだし、ハウスミュージックレーベルを設立しようと思ってるよ。ほかのジャンルをまったくやらないという意味ではないけど、ハウスミュージック寄りの方向性に進んでいきたいと思っている。Grizzlyは今までいつもマルチなジャンルのレーベルとしてやってきたけど、今はハウスミュージックに範囲をしぼっていきたいんだ。

- これまで色んなスタイルの音を作ってきたけど、自分で作っていてフィールするのはどんな感じの音?

Sinden - どうだろうね、本当にラップスタイルは好きだね、僕もそうだけど、僕のまわりのトラック作ってる人もやっぱりHIP HOPを聞いて育ってきたからね。だからハウスを作って、ラップミュージックを作って、時にはハウスミュージックとラップミュージックのコンビネーションをしたりするのが大好きだし。強制的じゃなくてこの二つのジャンルを混ぜ合わて曲をつくってくることにずっと魅了され続けてきてるね。

- だからあんまり、はやりとかは気にしない?

Sinden - ないね、この世界に長くいて、色々なトレンドが大きくなったり、なくなっていったりみたけど、今は自分のやりたいことをやるのが正しいと感じるよ、でもやっぱり自分はラップミュージシャンに曲を作るのもすきだしね、常にオープンマインドなプロデューサーでいて、いろいろな違った音楽を作っていきたいと思ってるよ。

- ラップミュージシャンをフューチャーするのが好きっていってるけど、Mad Decentからリリースした"G Like Me"でもう解散しちゃったアラバマのラップデュオG-SIDEをフューチャーした理由はなに?

Sinden - このコラボレーションは僕の友達がサウスのラッパーたちと仲がよかったことからなんだ。彼がG-sideを紹介してくれて、彼のソウルミュージックのようなサンプル使いが気に入ったね。それでアラバマに行って、彼とレコーディングしてむこうでビデオをとったんだ。自分的にオーセンティックなサザンヒップホップぽい曲をとりたかったんだ、自分のバイブスはもちろん残してね。Mad Decentも協力的だったね。DiploもG-Sideとかアラバマのラップがすきだったし、彼自身、サザンラップのサポーターだったしね。それで是非やろう!みたいなね。

- 次のGrizzlyのリリースはいつになりそうですか?

Sinden - 次のGrizzlyのリリースはRitonとWafaのダブルネームになると思うよ。彼らは二人で二曲つくったんだ、それを僕がエディットした感じだね。そのあとは僕のソロリリースでニューヨークのプロデューサーのPhysical Therapyの曲かな。彼はとてもいいよ。彼は最近、友達を介して知り合ったんだ。

- あなたはいままで、色々なアーティストとコラボレーションしていますが、誰が一番クレイジーでしたか?

Sinden - Switch以外で?笑 まあたくさんいるよ笑 Riff Raffとかかなり狂ってるよ笑 彼はMad Decentとサインしてるサウスのラッパーなんだけどね、逆にHerveとかはノーマルだよ。曲を一緒につくる時以外はね笑

- 次のあなたのリリースはいつになりそうですか?

Sinden - 次のリリースは五月に三曲入りのremixもつけた、フルEPをFools Goldから出すと思うよ。そのあとはUKのUnknown to the Unknownってレーベルからで夏にGrizzlyからかな。

- ダンスミュージックシーンはすごいスピードで変わっていっていますが、なぜこんなにスピードが早いと思いますか?

Sinden - どうなんだろうな、すごいこれに関しては同意するよ、ここ5年、10年と比べるとね。みんな次の音楽をはやく求めすぎてると思うよ。僕が思うにシーンはもうちょっと時間をかけて定着させていくべきだとお思うよ。みんな次のトレンドをはやく追いすぎてると思うよ。僕はもっと時間をかけて育てていくべきだと思うよ。

- 最近好きなアーティストはいますか?

Sinden - うーん誰だろうな、。好きなアーティストとはだいたい一緒に仕事しているし、楽しいよ、次のGrizzlyのリリースのMatrix Manだとか。ずっと一緒に仕事している、MIkky Blanco、Phisical Therapy もね。僕のレーベルまわりは最高だし、すごいいいチームを作ってると思うよ。自分のレーベル以外だと、ブルガリア出身のKINKかな、彼の作品はどれも好きだよ。うーんやっぱりKINKが好きかな、だけど僕はすべての音楽を聞くのが好きなんだ、そしてフィルターを通していいものと悪いものを判断してね。だけど本当にいい音楽はいっぱいあるよ。

- これからのUKはアメリカと違いもっとハウス的な要素が強くなっていくと思いますか?

Sinden - そうだねUKはこれからもっとハウスよりになると思うよ。確かにUSはEDMだったり、ラップだったり、ダブステップだったりだけど、それでもまだいいレーベルもいっぱいあるしね、Dirty Birdだったりね。ヨーロッパはハウスだったりテクノの方向に向かってるよ、だけどヨーロッパの人もEDMが好きな人もいるんだよ、やっぱり根底にはハウスやテクノがあるよね。やっぱりヨーロッパはまだ多様性を備えているよね。だけど今UKはハウスネーションなんだよね。一番売れるのはハウスミュージックだし,Disclosureがいい例だよね、彼らは一番になったし、もうアンダーグラウンドミュージックではなくポップミュージックのひとつだよ。

- トラップミュージックに関してはどう思いますか?

Sinden -トラップミュージックは大きくなっているけど、そこまでUKでは大きくないような気がするよ。ハウスやテクノほど大きくはないと感じるよ。だけどビーツはおもしろいし、音の境界線を越えた音はとてもいいと思うよ。だけど結構同じような音が多いと思うし、いったん様式ができてしまうと、同じ音の繰り返しだからそれはシーンを殺す原因になるからよくないね。だから常にフレッシュであるべきだね、だけどもちろんトラップシーンでもクールな人たちもいるね。

RELATED

【インタビュー】5lack 『report』| やるべき事は自分で決める

5lackが今月6曲入りの新作『report』をリリースした。

【インタビュー】BES 『WILL OF STEEL』| 初期衝動を忘れずに

SCARSやSWANKY SWIPEのメンバーとしても知られ、常にアクティヴにヒップホップと向き合い、コンスタントに作品をリリースしてきたレジェンドラッパー、BES。

【インタビュー】CreativeDrugStore 『Wisteria』| 11年目の前哨戦

BIM、in-d、VaVa、JUBEEのMC4名、そしてDJ/プロデューサーのdoooo、ビデオディレクターのHeiyuuからなるクルー、CreativeDrugStore(以下、CDS)による、結成11周年にして初となる1stアルバム『Wisteria』がついに発表された。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

WONKとThe Love ExperimentがチョイスするNYと日本の10曲

東京を拠点に活動するWONKと、NYのThe Love Experimentによる海を越えたコラボ作『BINARY』。11月にリリースされた同作を記念して、ツアーが1月8日(月・祝)にブルーノート東京、1月10日(水)にビルボードライブ大阪、そして1月11日(木)に名古屋ブルーノートにて行われる。